韓国と北朝鮮:南北高官が会談 板門店、地雷事件を協議

毎日新聞 2015年08月22日 21時44分(最終更新 08月23日 00時00分)

 【ソウル大貫智子】韓国と北朝鮮は22日、南北軍事境界線上にある板門店(パンムンジョム)の韓国側施設で高官会談を開いた。韓国側は青瓦台(大統領府)の金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長、北朝鮮側は金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の側近、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長が首席代表を務め、南北の現体制下では最もハイレベルの会談となった。22日は、北朝鮮が韓国による宣伝放送の中止を要求し、応じなければ軍事行動に出ると警告していた期限の日だった。韓国側は北朝鮮が埋めたとみられる地雷爆発事件の謝罪を求めるとみられ、南北の神経戦が当面続きそうだ。

 青瓦台によると、北朝鮮が21日午後、北朝鮮で対韓国政策を担当する金養建(キム・ヤンゴン)朝鮮労働党統一戦線部長と金室長との会談を提案。これに対し韓国は、金室長と同格の黄局長の出席を要求。22日、南北は両氏と金部長、洪容杓(ホン・ヨンピョ)統一相の4人が出席することで合意した。

 会談で、韓国側は地雷事件の謝罪や再発防止に加え南北離散家族再会事業の再開問題や、北朝鮮核問題なども協議したい考えだ。ただ、北朝鮮側は地雷事件は韓国側のでっちあげだと主張。さらに、米韓合同軍事演習の中止や、経済制裁の解除なども要求するとみられ、難航が予想される。

 今月4日、軍事境界線に沿って設けられた非武装地帯の韓国側で、地雷が爆発し韓国軍の下士官2人が負傷する事件が発生。韓国軍は、拡声機で北朝鮮の体制を非難する放送を11年ぶりに再開した。これに北朝鮮は激しく反発し、20日には軍事境界線に近い韓国側を砲撃。韓国軍も応射した。北朝鮮は22日午後5時(日本時間同5時半)までに放送を中止するよう求めていたが、一方で対話姿勢も示していた。

 北朝鮮の朝鮮中央通信は22日、会談実施の報道で、韓国について通常使う「南朝鮮かいらい」ではなく正式名の「大韓民国」と伝えた。ラヂオプレスによると、北朝鮮メディアが「大韓民国」と伝えたのは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2007年10月以来、約8年ぶり。黄局長らは昨年10月、仁川アジア大会閉会式出席のため訪韓したが、南北間の懸案を協議する正式会談には至らなかった。

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