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【放送芸能】

くいしん坊!万才 食べて食べて40年 6千回2万食紹介

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 国内外の料理を紹介する約五分のミニ番組、フジテレビの「くいしん坊!万才」(月曜午後九時五十四分)。放送開始から今年で四十年、六千回を超えて紹介した料理は二万を上回る。郷土料理の伝承が難しくなっていく中、映像で残そうとの意味も込めて始まった番組だ。携わって三十五年という前夷(まええびす)久志プロデューサー(56)と、若手の松沢祐介ディレクター(31)に、印象深い料理を語ってもらった。 (鈴木学)

 この番組は、「くいしん坊」と呼ばれるリポーターが各地を訪ね、地元の人と交流しながら土地の味を紹介する。

 視聴者の反響を呼んだ料理といえば、緑が鮮やかな「青梅のシロップ煮」(松江市、一九八二年放送)や、タチウオを竹に巻いて秘伝ダレで焼いた「たちまき」(愛媛県吉田町=現宇和島市、九二年)だという。シロップ煮は作り方、たちまきは販売店の問い合わせが殺到した。「ニシ」と呼ばれる貝(殻ごと)と焼いたみそ、魚をすりつぶし、水で溶いた「ニシ汁」(愛知県南知多町、九四年)は、九代目くいしん坊・山下真司の「見るからにおいしくなさそう」とのコメントに「どこで食べられるの?」との声が多く届いた。「もとは“胃薬”とされていたらしい。料理の背景を伝えることも大事にしている」と前夷さんは言う。

 美味や珍味では、「カジキマグロのこわたの煮付け」(千葉県鴨川市、二〇一一年)は酒飲みには格別だ。マツタケに酒をかけて奉書紙、さらに新聞紙で包み「いろり=ほど」で蒸し焼きにする「マツタケのほど蒸し」(岩手県葛巻町、一九九一年)は風雅な香りが評判だった。

 現くいしん坊の松岡修造に、記憶に残る料理を聞いた。サバの糠(ぬか)漬けの「へしこ」(福井市、二〇〇四年)は「日本の食文化の奥深さに感心した」という。もみ殻だけを燃料にする「糠釜」で炊いた「糠釜炊きご飯」(新潟県十日町市、一三年)は、あまりのおいしさに白米だけ食べて放送が終わってしまった。港でゆでて売っていた「鞆(とも)の浦のワタリガニ」(広島県福山市、同)は、内子(うちこ)と濃厚なカニミソの絡みが忘れられないという。

 週五回放送の時代もあったが、現在は週一回。ロケの総距離は地球約十四周分の約五十七万キロ。料理は役場などの情報に加え、過去の出演者ネットワークを生かしてスタッフが現地を回って見つける。ちなみに、くいしん坊のコメントに決まり事はない。「おいしければそう言うし、何より表情に出る」(前夷さん)とか。

 和歌山県田辺市には六百年、正月にもちを食べないことを続けた地区があり、愛媛県西予市明浜町では生石灰に水をかけて出る熱で焼き芋をつくる。発見は今もある。「まだまだ食べ尽くせませんね」と、前夷さんらは口をそろえた。

◆きょう記念特番

 四十年を記念した一時間スペシャル「歴代くいしん坊が厳選!世界に広めたい日本食」が、二十二日午前九時五十五分から放送される。松岡修造と梅宮辰夫、山下真司が出演。二代目くいしん坊の竜崎勝の娘・高島彩アナが松岡と司会を務める。歴史を振り返り、くいしん坊三人が「世界に広めたい日本食」をテーマにそれぞれが推す料理のいくつかを再現して食べる。

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◆番組お薦めレシピ サンマのすり身とろろ汁(静岡県松崎町)

<1>しょうゆ、みりん、だし(カツオ・コンブ・シイタケ)を1:1:8で合わせ、酒や砂糖を適宜加えて1時間ほど置き、2、3分火にかけてから冷ましておく

<2>サンマは三枚におろし、骨と皮を取り、身を包丁でたたいてミンチにする

<3>鍋に湯を沸かしてミンチを入れ、(1)の汁を加えて割りつゆをつくる

<4>皮をむき、すり鉢ですったジネンジョに、(3)の割りつゆを少しずつ加えながら伸ばす。アクを消すため、つゆは熱く。すった量の1.5倍が一つの目安

<5>麦飯は、うるち米と押し麦を合わせて炊く。茶わんに盛り、(4)をたっぷりかけ、きざみネギなど好みの薬味をのせて出来上がり

 

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