作家であり、ラジオDJであるロバート・ハリス氏との付き合いは、今年で8年になる。一緒に番組を始めたのは4年前のこと。「他の局では出来ない、なんでもやりたいことがやれて、言いたいことが言えるラジオを、ずっとやりたかった」というロバートさんの意志で始まった番組である。これを書いている今は、月に一度の収録で4本+Podcastを収録し、さらに特番を録った帰路の、電車の中。
さっきスタジオで「マッドマックス見ましたよ」なんて話をしていたら「あ、俺、ジョージミラー監督、あいつを俺の車に乗せたことがあってさ…」なんて裏話が始まった。本当の裏話すぎて、ここに書いていいのか迷うけれども、ロバートさんが良いと言うので、ファンのために書こうじゃないか。
1986年頃の話。ロバートさんは、当時住んでいたオーストラリアで、石田純一さん主演の「カウラ大脱走 」という10時間に渡るテレビ映画の制作に携わっていた。役割はコーディネイターと脚本、そして出演。ドラマの監督はフィリップ・ノイスと、クリス・ヌーナン。そして、プロデューサーはジョージ・ミラー。先述の通り、「マッドマックス」の監督である。これはちょうど、彼がマッドマックス3の撮影をしていた頃の話らしい。
「カウラ大脱走」のクランクアップは、ロバート・ハリスvs 石田純一の銃撃の場面。見物人含め、大勢の人が見守る中での撮影。しかもその日のオーストラリアは極寒だった。
撮影すべきは、ロバートさん扮する日本兵が、撃たれて水の中へ沈んでいくシーン…。
クランクアップということもあり、テンションMAXになったジョージ・ミラー氏が「俺に、カチンコを鳴らさせてくれ!」と申し出て、そのシーンのカチンコは彼が担当した。
見事、沈み行く悪役を演じた後、ロバートさんは、ジョージ・ミラー氏と抱き合って、クランクアップを喜んだ。
そんなジョージ・ミラー氏がある日、ロバートさんの運転する車に乗ることになった。行く先が近かったらしい。「乗って行く?」と声をかけると、「乗るよ」と助手席に座ったジョージ・ミラー氏。ロバートさんが運転をし、しばらくすると…彼から信じられない一言が告げられたという。
「ロバート」
「なに?」
「ちょっとスピード落としてくれないか」
「えっ?」
「スピードを落としてくれないか!」
「えっ!?だってお前、マッドマックス撮ってるだろ!?」
「そうだ、でも、それとこれとは別だ!」
それとこれとは別だ!
それはそうだ。
まぁ…ロバート・ハリス氏の車に乗ったことのある私から言わせてもらえば…「気持ちすごくわかります…(しみじみ)」。
あぁ「怒りのデスロード」ってこんな近くにあったんだな。と、隣で居眠り中の、ロバート・ハリス氏を横目で見ております。V8! V8!