全日本プロレスの潮崎豪(33)が20日、29日の後楽園ホール大会後に「進退伺」を出す方針を固めた。同大会では世界タッグ防衛戦を行うが、前哨戦では挑戦者の秋山準(45)に屈辱の2連敗。デビュー12年目で初めてどん底に突き落とされた。まずは全力で同王座を防衛した上で、その後の“去就”を団体側に委ねることになった。
いつもの爽やかな笑顔はない。潮崎は思いつめた表情でこう切り出した。
「言い訳できない状況ですよね。ここ数日は『このまま消えたいな』と思った。レスラーとしてダメなんじゃないかって。プラスのイメージが全く浮かばなかった」。出てくるのはネガティブな言葉ばかり。精神的ダメージは隠しようもなかった。
すべてはこの1週間で起きた。宮原健斗と世界タッグ王座を保持する潮崎は29日の後楽園大会で秋山、大森隆男組とのV3戦を控える。だが前哨戦となった秋山との約4年ぶりの一騎打ち(15日、名古屋)は完敗。翌16日の神戸大会で行われたキャプテンフォールマッチでも、秋山に3カウントを奪われる醜態をさらした。
社長でもある秋山からは「日に日に影が薄くなっている」「発信力がない」「タイトル戦までに何も残せなかったら終わり」と糾弾され続けている。この結果では、事実だと認めざるを得ない。
「歯車が狂っている部分もあって、自分の中でかみあっていない。すべて自分の責任」と潮崎は出口の見えない迷路に迷い込んでいる。
わずかな希望を求めてこの日訪れたのは、東京・西麻布の妙善寺。窮状を見かねた知人から的場徳雅住職(33)を紹介され「唱題行」と呼ばれる修行をした。題目(南無妙法蓮華経)を唱え続けて心をリセットするもので、潮崎は約1時間、無心で声を張り上げ続けた。「奮い立たせてもらった。世界タッグで全力を尽くせば、少しは自分自身が見えてくると思う。そこからどうするかは…、会社側の判断を仰ぐことも考えたい」。まずは防衛を果たした上で、王道マットは自分を必要としているのか否なのか――進退伺を出して決めるという。悩める若きエースは、レスラー人生の岐路に立たされた。
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