AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

クジラ牧場、開設に向け調査 太地町

 古式捕鯨発祥の地で知られる和歌山県太地町は、鯨類を核にしたまちづくりを目指す「くじらの町構想」を進めている。町内全域を「自然公園」と位置付け、湾内にクジラやイルカを放し飼いし、生態研究などを進める計画で、2013年度から現地調査に取りかかる。


 構想は04年度に打ち立てた。町の北側にある森浦湾には網で仕切り、クジラやイルカ約100頭を放し飼いにする「クジラ牧場」を造る。明治時代まであった干潟を再生し、海水浴場も整備する。和田の捕鯨基地の再現もする。町立くじらの博物館を充実させ、大型保養施設「グリーンピア南紀」の跡地に日本鯨類研究所の支所を誘致するなどして、世界に知られる鯨類学術研究の町を目指す。30年計画で進めており、ことしは9年目。

 クジラを放し飼いにする森浦湾の広さは28万平方メートル。13年度から現地調査に取りかかる。初年度の予算として海底の状況を調査したり、周辺の平面図を作成したりするため、1033万円を計上している。

 13年度中には湾内にいけすを設け、クジラやイルカを泳がせる。博物館近くにある畠尻湾内で08年から毎年夏に開いている「くじらと出会える海水浴場」と同じような取り組み。カヤックで近づいて観察もできるようにする。

 干潟の再生や海水浴場の整備は5年以内に着工したいという。

 これまでは、来訪者を温かく出迎えるため、公衆トイレをバリアフリーにしたり、新設したりするとともに、JR太地駅にエレベーターを設置。漁協市場を県内で初めて衛生管理型の施設に改築した。10年からは検討委員会を設立し、構想を練り上げてきた。

 太地町は近年、外国人らによる反捕鯨の活動に悩まされているが、「クジラと生きる町」をアピール。三軒一高町長は「先人がつくり上げてきたクジラの文化や歴史、捕鯨技術などを守り、世界に発信していきたい。そのためにクジラの学術研究の町にしたい」と話している。


【「くじらの町構想」でクジラやイルカが放し飼いされ、干潟の再生などが計画されている森浦湾(和歌山県太地町で)】

更新)


ロード中 関連記事を取得中...