♪〜生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
10時5分になりました「くらしきらり解説」です。
きょうのテーマは、こちらです。
常夏の国の果物バナナについて考えます。
担当は広瀬公巳解説委員です。
広瀬⇒岩渕さん、バナナはよく召し上がりますか。
本当によく食べてます。
手軽にむくだけで食べられるのでおやつにしたり子どもにもよく食べさせています。
実はバナナは日本でいちばんたくさん食べられている果物なんです。
りんごやみかんよりも多いんですね。
スポーツ選手もよく食べますよね。
しっかりとエネルギー補給ができる、ありがたい食べ物だと思います。
そのバナナときょうのテーマの戦後というのはどういう関係があるんですか。
戦後、日本はさまざまな外国のものを取り入れてきました。
バナナはその代表だと思います。
いろんな栄養素を衛生的にとることができる食材として日本の戦後の食を支えてきたと言っていいと思います。
そこできょうは日本にどのようにバナナが入ってきたのか台湾産、エクアドル産、フィリピン産と産地の移り変わりを追いながら見ていきたいと思います。
そもそもバナナですがいつ日本に入ってきたんでしょうか。
実は、明治の終わりに日本が統治していた台湾からいわゆる輸入、買い付けが始まりました。
バナナは珍しい舶来の果物として少しずつ受け入れられていきました。
ところが昭和12年ごろから台湾からバナナを運んでいたバナナ船が軍に使用されるようになって入荷が減少していったんです。
そして太平洋戦争が始まるとバナナ船の日本への入港の遅れが出てバナナが腐って廃棄処分にするということが相次ぎました。
台湾産の生鮮バナナはいったん姿を消すということになりました。
戦争中ですから日本にないバナナは手に入らなくなったわけですね。
僅かな干しバナナで代用するという日が続くことになりました。
戦争が終わると台湾バナナの輸入は再開されましたが当時日本は外貨が不足していたのでいわゆるぜいたく品であるバナナの輸入量は制限されていました。
バナナは贈りものにしたり病気のときなどにしか食べられない貴重な食べ物という時代だったんです。
このバナナがたくさん食べられるようになったのはいつごろですか。
日本の国際社会の復帰これと結び付きが深いです。
日本は昭和30年にGATTに加盟しました。
国際貿易の枠組みに戻ったわけです。
昭和38年にバナナの輸入が自由化されることになりました。
これを機会に南米のエクアドルから大量のバナナが台湾産に加えて入ってくることになりました。
遠い異国の果物が高度成長の時代の日本の食を豊かにしていったということです。
今、バナナといえばフィリピン産が多いですね。
なぜフィリピンなのかを知るためにそもそもバナナはどんな果物なのかちょっと確認していきたいと思います。
バナナについての間違い探しクイズです。
間違いを探してください。
この中で正しくないものはいくつあるでしょうか。
3番は違うと思います。
青いバナナを見たことがあります。
現地に行って見てきましたので一緒に確認しましょう。
バナナの根元を見ると桃とかくりのような硬い幹はありません。
バナナは木ではなく大きな草なんです。
収穫はバナナが青いうちに行われていました。
種類も日本のように長いバナナだけではなく少し小ぶりのものが目立ちました。
生でも食べますが煮込んだり串に刺したり油で揚げたり食べ方も違います。
料理をするんですね。
この問題、どれも正しくないということです。
バナナは木ではありませんし種もありません。
株分けをして育てる栽培植物です。
日本向けのバナナは輸出用の品種で、現地で主に消費されているものとは異なります。
バナナは傷みやすいので青い状態で収穫します。
バナナのイラストの色も変わりましたね。
実はこれらのこととフィリピンからの輸入と密接な結び付きがあります。
フィリピンには株分けなどに必要な作業に必要な安い労働力が豊富にありました。
フィリピンの南部には高く売れる日本向けのバナナを育てる大農園が作られました。
日本には病害虫が入ってくるのを防ぐために黄色く熟したバナナの輸入が禁じられています。
輸送の時間が短くて済むので近いフィリピンは地理的に有利だということです。
バナナの輸入は、昭和48年にフィリピン産のものが1位となってフィリピン自身も世界有数のバナナの輸出国になりました。
フィリピン産が多いのには理由があったわけですね。
先の大戦で日本はさまざまな物資を獲得するために東南アジアに力で権益を拡大していきました。
戦後は相手の国と貿易をすることによって共存共栄する道を選んだんです。
外国との良好な関係を築くことで日本にはないさまざまな外国のものを取り入れてきました。
バナナはその代表というふうに言えるのではないでしょうか。
それぞれの時代にそれぞれの事情があったんですね。
日本が統治していた地域から輸入が始まったバナナは戦時中には手に入らなくなりました。
しかし戦後の貿易立国のおかげで遠い国からも運ばれるようになり今は日本が戦争をした国との共存共栄の印にもなっているわけです。
バナナが移り変わっていってこれからどんなバナナを食べることになりますか。
全体としてのバナナの輸入量です。
バナナダイエットのブームがあってから減少傾向です。
新興国の需要が伸びて価格が高騰しているというのが主な原因ですが人の数も右肩上がりに増えてきた戦後の時代と違って今は日本の人口自体も減り始めています。
消費も減っているんですね。
バナナもさまざまなものが登場しています。
1本ずつ小分けにしたものが増えてきています。
さらに自動販売機で売られているものもあります。
現代のライフスタイルに合わせたさまざまなバナナが登場しているということです。
1人で何本も食べられないですからね。
安さを売りにするだけではなくて高地栽培で甘みを増して付加価値をつけたものも増えてきています。
バナナに求めるものも時代によって変わってきているということですね。
バナナは私たちの暮らしに欠かせないものになっていると思います。
まだまだ暑い日が続きますがバナナは、食欲がなくても食べやすい栄養価の多い食べ物です。
疲れたときにはバナナを食べて戦後の日本の食を豊かにして元気を与えてくれた外国の果物の価値に改めて思いを致して見るというのもいいのではないでしょうか。
次回のテーマは、こちらです。
担当は室山哲也解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/08/18(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「産地でたどる戦後のバナナ」[字]
NHK解説委員…広瀬公巳,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…広瀬公巳,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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