最盛期のガンホー彷彿させるミクシィの株価
会社四季報オンライン 8月20日(木)22時6分配信
先週木曜日に2015年第1四半期(4-6月)決算を発表したミクシィ <2121> 。その内容は、売上高が前年同期の約3.9倍の500億円、営業利益は同5.2倍の243億円。市場コンセンサスの「営業利益210億円」を上回った今回の決算、文句なしの好決算だった。
実際、13日引け後の決算発表後、好決算に即座に反応した玄人肌の投資家は、SBIジャパンネクストのPTS(私設取引)を利用して5690円(13日東証終値5240円)で買う人までいた。参加者が少ないPTSで素早く仕込み、翌日の東京時間でより高く売り抜けようという狙いである。しかし……PTSで付けた5690円は“幻の高値”となった。
発表翌日の14日、前日比2%強の上昇となる5380円で寄り付いた後に急失速。結局、終日では同2%安の5130円での着地になった。さらに週明け17日は下げ加速状態で、前週末比8%安の4715円で取引終了。「文句なしの好決算→2営業日で株価1割下落」という、投資家が最初に抱いた想像とは反する方向へ大きな振れとなった。
決算発表に合わせるかのように、「ミクシィが中国のIT企業、テンセントとの業務提携の解消で同国市場から撤退する」とも伝わっていた。一部で、「海外での成長に期待していただけにネガティブ」なる市場関係者の声などが流れていたが、これはまったく違う。言葉の壁以上に文化の違いがあり、日本のSNSゲーム(以下:ソシャゲ)が海外で大成しないことは誰もがわかっている。中国からの撤退はむしろポジティブであり、ヘッジファンドも世界一ゲームに課金する日本人相手の動向だけに目を光らせているはずだ。
「文句なしの好決算→2営業日で株価1割下落」。ここで今回、最も投資家が意識したのは先駆者、ガンホー・オンライン・エンタテイメント <3765> の姿ではないだろうか。ガンホーが「パズドラ」の大ヒットで四半期ベースの過去最高売上高を叩き出したのは、2014年1〜3月期。1年半ほど前の話だが、同四半期のミクシィの売上高は48億円足らずにすぎなかった。今の10分の1以下だ。
このパズドラ最盛期に向けて当時、ソシャゲで一発当てたいゲームパブリッシャーは、ガンホーが敷いた道(パズドラのゲーム性)をたどるようなアプリを次々と作っていった。ジャンルは違えど、そのなかで成功したのがコロプラ <3668> であり、ミクシィだったといえる。
ミクシィの第1四半期好決算の理由に、「エヴァンゲリオン」とのコラボイベントを開催したことによる課金増があった。これも、2年前にガンホーが実施したイベントそのものである。8月2日に幕張メッセで開催した「モンストフェスティバル2015」。炎天下にもかかわらず約3万4500人も集まったようだが、これもガンホーが毎年開いている「ガンホーフェスティバル」が参考になっているのだろう。モンストのアニメ化もされるようだが、これもパズドラが先行していた。
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