「棒を球に当てる感覚」をつかむ事ができます。
単純な動きに見えますが棒を引く時に肩や腕を連動させて動かす練習にもなります。
是非遊んでみて下さい。
東京電力福島第一原子力発電所の事故から4年。
いまだ12万の人々が各地で避難生活を余儀なくされています。
「住み慣れた家を出ていかざるをえない状況に追い込まれ金もなし。
もう帰れないので諦めるしかない。
自殺を考えて楽になりたくなる」。
原発事故に翻弄される福島の人々。
自ら死を選ぶ人が後を絶ちません。
NHKではこの冬大学と共同でアンケートを実施。
住まいや仕事心の状態など100項目にわたる質問で4年目の現状を尋ねました。
その結果4割を超える人が深刻な心の障害を抱えているおそれがある事が明らかになりました。
中でも長期間ふるさとに帰る事ができないとされる人々。
そして比較的線量の低い地域から自らの意思で避難した人々の苦しみが特に大きい事が分かりました。
避難生活を送る福島の人々を追い詰めているものは何なのか。
アンケートから読み解きます。
こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日は原発事故から4年が過ぎた今も避難生活を送る福島の人たちの現状を見ていきます。
まずはこちらをご覧下さい。
福島県から県内外に避難している人の数です。
今年4月の時点で11万5,000人余り。
その内訳は国による避難指示を受けた区域からおよそ7万9,000人。
そのほかの区域からおよそ3万6,000人となっています。
では避難している人はどのような状況に置かれているんでしょうか。
NHKと早稲田大学では自治体の協力を得てアンケート調査を実施しました。
ご覧の8つの市町村の1万6,000世帯余りに配布しおよそ2割の2,800世帯余りから回答を得ました。
ありがとうございました。
調査では住まいや仕事帰還の見通しなど生活状況について詳しく尋ねるとともに心の状態についても質問しました。
その結果実に4割を超える人がPTSD心的外傷後ストレス障害を抱えているおそれがある事が分かりました。
PTSDというのは深刻な心の障害で恐怖の体験が原因となって強い不安や不眠症状フラッシュバックなどに悩まされる事があります。
ではなぜこれほど心が追い詰められているんでしょうか。
原因を探るため避難者をもともと住んでいた地域ごとに分けて分析しました。
ご覧のように福島県は国の避難指示の種類によって5つの区域に分けて考える事ができます。
帰還の見通しや受けられる賠償などに違いがあり抱えている問題や悩みが異なるためです。
分析した結果2つのグループで特にPTSDのおそれがある人が多いという事が分かりました。
まずは放射線量が最も高い濃いピンクの帰還困難区域とそれに次ぐピンクの居住制限区域。
もう一つのグループが避難指示が出ておらず自主的に避難した人がいる白の区域です。
何がこの区域の人たちを苦しめているんでしょうか。
最も心の痛手が大きい帰還が難しい区域の人々の回答には特徴的なものがありました。
「ふるさとを失った事がとてもつらい」と答えた人が60%を超えたのです。
家や自然地域の人々とのつながりなどに加えて生きがいや人生といった大きな価値観まで失われたと感じている人がほぼ半数に達しました。
「自然に囲まれて自然とともに生きてきた私たちにとってふるさとの野山に立ち入れないのがつらいです。
豊かに生きるって豊富な物に囲まれて生活する事ではなくて精神的な豊かさだと思います。
中間貯蔵施設が出来る事線量を考えても帰還して町を再生させるなど考えられません。
人間が生活できるようになるのは何年後ですか」。
「お金なんていくらもらったって心は晴れません。
全てを返して。
一生働こうとしていた職場も奪われ想像もしていなかった専業主婦…。
こんなはずではなかった。
今頃本来ならと考えるだけで悔しくて涙が止まりません」。
帰還が難しい区域に次いで苦しむ人が多いのが避難指示が出ていない地域。
自主的に避難している人々でした。
回答で特徴的だったのは「帰る事ができるか分からない」という人が半数近くに上った事でした。
先行きが不透明な状況の中で迷いを感じている事が読み取れます。
自主的に避難している人々はどんな事に迷い苦しんでいるのでしょうか。
山形市で2人の幼い息子と避難生活を送る女性です。
事故から4年がたつ今も福島へ戻る気持ちにはなれないといいます。
先の見えない避難生活はさまざまな苦難をもたらしてきました。
昨年末女性は離婚しました。
仕事のために福島を離れる事ができない夫と放射線への意識などが食い違うようになった事が原因の一つだといいます。
同じような問題を抱えている自主避難者は少なくありません。
「震災前より家族関係が悪化した」という人は29%に上りました。
(泣き声)離婚後女性の家計は一気に苦しさを増しました。
月々の収入は母子手当と夫からの養育費合わせて10万円足らずです。
避難指示が出ている地域の人々に対し東京電力が支払っている月10万円の精神的損害賠償。
自主的に避難している人々には支払われる事はありません。
更に国が家賃を負担する借り上げ住宅の制度も来年3月での打ち切りが検討されています。
自主避難者の74%が「生活に困っている」と回答。
全体の平均を大きく上回りました。
もしもしばあばでっか?はいはい。
福島へ帰れば両親の暮らす実家があります。
経済的な苦しさと放射線への不安。
そのはざまで戻るべきかどうか判断がつかずにいるといいます。
(取材者)今一番何が大変?スタジオには福島の実情に詳しい2人にお越し頂きました。
まずは調査を共同実施した早稲田大学人間科学学術院准教授で心療内科医でもいらっしゃる内也さん。
そして原発事故後の行政の動きや避難者の支援制度に詳しい福島大学行政政策学類教授の今井照さんです。
よろしくお願いします。
(2人)よろしくお願い致します。
今の映像にもありましたように避難している皆さんそれぞれ異なる深刻な悩みを抱えていらっしゃいましたが福島の方たちのPTSDというのはどんな特徴があるんでしょうか。
まず一般的なPTSDのお話からしたいと思うんですが戦争や事故といった一過性の激しいトラウマ体験が基になっている急性単発型のPTSDとそれから日々の日常の中で虐待であったりドメスティックバイオレンスDVであったりそういった暴力にさらされてなる慢性反復型のPTSD。
この2つがPTSDの中に含まれているといわれているんですね。
今回の福島のPTSDはこれはあくまでも私どもの仮説ではあるんですけれどもこの2つが複合的に合わさったものではないかというふうに考えています。
この一番左の大きな波を見ますと原発事故後の恐怖というのが単発型の大きなものでそのあとの波の形が…。
慢性反復的に人生を左右するような出来事に次々にさらされていっているという事だと思うんですね。
そしてこちらの図なんですけれどもさまざまな…。
要因ですね。
こういったトラウマ的な出来事。
強いストレスと言ってもいいと思うんですが。
例えば「ふるさとの喪失1.7倍」というような数字があります。
この数字は何を意味しているんでしょうか。
これはPTSDの可能性のリスクの強さを表している数字でしてふるさとを喪失したというふうに感じてらっしゃる方は感じてらっしゃらない方の1.7倍のリスクがあるという事ですね。
これ例えば「ふるさとの喪失」「不動産の心配」単独ではなくてそれぞれの方が複合的に抱えているという事もあると思うんですね。
そこが非常に重要なポイントでこのそれぞれが重なって同時に生じた場合にこれかけ算をする事になるんですね。
2倍のところとそれから更に2倍が重なると4倍になるという事で更に大きなトラウマストレスというふうにそれが同時に降りかかるという事になります。
今井さんはこの状況をどういうふうにご覧になりますか。
自分の置かれた環境と自分の気持ちとのギャップがあってそこに強いストレスとか避難生活不安定にさせてるような要因があるんではないかなというふうに思います。
その象徴はやはり住まいの問題で住まいの問題というのは避難生活の最も基礎的なところなんですけれども。
今までの災害救助の仕組みというのが自然災害の対応になっていてこのように原発災害のように非常に超長期的なあるいは全国に広がってる広域というのに対応してないというところに原因があるかなと思ってます。
でも住まいの問題というのは本当に大きいと思うんですよね。
打ち切られるとかこの時期になったら出なくてはいけないとか。
今井さん住宅の支援というのはどうしていったらいいんでしょうか。
いろんなタイプがあるんですけどもみなし仮設と呼ばれているアパートなどに住んでらっしゃる方ですけども。
例えば10年20年というふうにして設定するという形で避難を続けていく事ができるようにしていくという事が考えられるかなというふうに思います。
それぞれ環境全部違いますから自分のそれぞれの環境に応じたあるいは自分の考え方に応じたスタイルの避難生活を支えますよみたいな事がこれからの最も重要な柱だと思うんですがなかなか現実はそうなっていないと。
なので強いストレスをみんな感じてらっしゃるという事だと思います。
一方で国が家賃を負担する借り上げ住宅についてなんですが「無償ゆえに帰還の妨げになっているのではないか」というような声もあるんですが。
そういう話もありますけれどももし避難されている方の住まいを支える仕組みをやめたとするならばいつかは帰ってくる人たちいつかは自分の住まい自分の自治体に帰ってくる人たちを見捨てていくような事になってしまうので自治体としてはやはり前の住民でもあるし将来の住民でもあるという方々を支え続けなきゃいけないという責務はあるんじゃないかと思ってます。
実際アンケート調査でも自主避難されてる方で帰りたいと思ってらっしゃる方も確かにいるんですね。
特に若い世代の方たちが戻らないで自主的避難をしているという現状を見ますと超長期的に避難するという事を承認していく。
そういった承認してサポートすると。
そういう仕組み作りが不可欠ではないかと考えます。
原発事故から4年。
一部の地域では避難指示が解除され始めました。
しかしそうした青色の区域でも苦しみ続けている人が少なくありません。
福島第一原発からおよそ20キロに位置する広野町。
町の判断で一時全町避難をしましたが事故の翌年の3月いち早く帰還を宣言しました。
しかし3年以上がたつ今も戻った住民は半数以下にとどまり3,000人以上が避難を続けています。
アンケートには帰還するか迷う住民の苦悩が数多くつづられていました。
「一時死にたいと考える事がありました。
毎日のように考えが変わるのです。
広野町に帰ろうかいわき市にこのまま移住しようかと。
そんな事を考えていて頭がおかしくなりました」。
回答を寄せた…隣町の借り上げ住宅で2人の息子と避難生活を送っています。
遠藤さんは商店街で電気店を営む一家の一人娘として生まれ育ちました。
町には両親が築いた家も残っていますが事故後は一度も寝泊まりをしていません。
(取材者)やっぱり戻って住もうっていう事は…。
遠藤さんが戻れないと考える理由の一つがふるさとの姿が大きく変わった事だといいます。
町は第一原発の南の玄関口にあたり廃炉作業の拠点となりつつあります。
(取材者)ダンプもすごいですね。
そうなんです。
「帰りたいという気持ちはあります。
でも廃炉まで40年。
広野に帰ったら一生原発とともに生きていかなければなりません。
原発があんな状態で戻ってまた避難だとなったらどうしようと思うと決断がつきません。
考えても個人ではどうする事もできない問題です」。
隣町へ移住しようにも経済的な余裕はありません。
避難指示が解除された町ではその1年後をめどに精神的損害賠償が打ち切られる事になっています。
遠藤さんが移住に必要な資金を手にするには家を売るしか方法がありません。
しかし自宅には遠藤さんの家族のこれまでの人生が詰まっています。
あっ起きてた?ああ。
大丈夫?起きらんね。
起きらんね?介護施設に暮らす…亡き夫と2人店を切り盛りして家を建てました。
自宅を手放すべきかどうか。
遠藤さんは迷う思いを素直に母に告げられずにいます。
さきざきの事を決められないという不安が本当に大きいという事がよく分かります。
ではこちらをご覧下さい。
広野町や4つの市町村の一部では国や自治体から出ていた避難の指示が解除されて青の地域へと変わりました。
1年たった所では月10万円あった精神的損害賠償は打ち切られました。
更にピンクの居住制限区域と緑の避難指示解除準備区域を2年後の2017年3月までに解除する事が今与党内の一部で検討されています。
内さんこの現状をどうご覧になりますか。
非常に難しいとこだと思うんですが。
今回のアンケート調査では確かに既に帰還した方のストレスが低いという事は確認されてるんですね。
しかし先ほどのVTRでも映されていた方のように常に原発を意識し続ける環境で戻る事はトラウマを抱えた方には非常に難しいという事もありますし。
そこにいるという事が大前提なんですね。
そういう事から考えると原発事故で非常に大きなショックを抱えた方が戻るっていう事はこれは本当に酷な事だと思いますね。
今井さんはどうお考えになりますか。
これから今報道されてるように避難指示が一気に解除されるとかそうでなくても徐々に避難指示が解除されていくと思うんですけどもそこで生じるのは自主的に自主避難者の人が新たに大量に発生するという事だと思うんですね。
従って避難指示を解除するのであれば同時にやっぱ避難を続ける仕組み。
帰りたいんだけども帰れないという人たちが避難を続ける仕組みを合わせて作らないといけないと。
子ども・被災者支援法っていう法律があるんですけどもそこには避難するにしてもあるいは住み続けるにしてもあるいは帰還するにしても移り住むにしてもそれぞれ選択は被災者の自分の意思で決められますよというふうに書いてあってそれぞれの選択に応じた支援をしますよっていうふうに法律では書いてあるんですね。
それがなかなか行き届いていないというのが現状かなと思います。
本当に先ほどの映像の遠藤さんのようにどうしたらいいのか…。
同じような思いがアンケートにも数多く寄せられています。
いくつかご紹介します。
こういった声今井さんどういうふうにお感じになりますか。
やはり今が一番大事だという視点から問題に対処していかなければいけないんだと思うんですね。
特にもう避難してから4年過ぎて避難先でも生活が出来上がっている訳ですからそちらの生活も大事にしなきゃいけない。
でもどこか自分はその町の人ではないというような気持ちがあってちょっと肩身の狭い思いをせざるをえない。
なので私は二重の住民登録…。
こっちの住民でもあるしこっちの住民でもありますよというような制度が必要ではないかというふうに言ってます。
二重の市民権という…。
そうですね。
例えば避難先で暮らしていく時にその町の一人の市民としてやはり生活をしていくという事は大事だしもう一つこちらの元の町でもこれからどうやってこの町を復興していこうかと。
どういう計画作っていこうかと。
こういう町なら帰れるかもしれないというような事に関わっていく必要がある。
こちらも元の町の市民として関わっていく必要があるという意味で2つの市民権を必要じゃないかという意味です。
内さんこのほかにどのように長期に避難している方の支援というのがあるでしょうか。
日本全国でこの原発事故そして東日本大震災をきっかけにして各種の民間団体の方たちが助け合っていくそういった仕組み作りを民間の力として方々で始められてる。
これはすごく希望が見いだせるところで埼玉でも民間のいくつもの団体がありましてそこに県の被災者支援課避難者支援課の方が顔を出しに来て下さってそういった官民一体型の支援体制みたいなものが自発的にこう出来上がってきてますのでゆるやかな横のネットワークを作っていってそしてみんなで支え合っていくようなそういった仕組み作りができればこれはひいて言えばもう日本全体の財産になっていくだろうというふうに考えてますね。
今日は避難している福島の方たちの現状をお伝えしました。
まだまだ息が長い支援が必要です。
今日はどうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
「きょうの健康」です。
今週は「肝臓病」をテーマに2015/08/18(火) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV▽原発事故・避難者アンケート〜何が福島の人々を苦しめているのか[字]
今も避難生活を送る福島の12万の人々。最新のアンケート調査で4割の人が心の障害PTSDを抱えている恐れがあることが判明した。原因と必要な支援策を考えていく。
詳細情報
番組内容
原発事故から4年が過ぎた今も避難生活を余儀なくされている福島の12万の人々。NHKでは大学と共同で避難者1万6千世帯にアンケート調査を行い、住まいや仕事、心の状態など100項目にわたって現状を尋ねた。その結果、4割を超える人が深刻な心の障害(PTSD心的外傷後ストレス障害)を抱えている恐れがあることが判明した。何が福島の人々の心を追い詰めているのか。そして今後どんな支援が必要なのか、考えていく。
出演者
【出演】早稲田大学准教授…辻内琢也,福島大学教授…今井照,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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