(鶴丸りん)おはよう…。
(鶴丸あや)おはよう。
(りん)何やってんの…?え?見ればわかるでしょ?チンを待ってる間馬に乗って草原を駆け巡ってるの!ホーゥ!フフフ。
(電子レンジの音)あチンだ。
また変なもの買っちゃって…。
え〜?章ちゃんがね知り合いに誘われて乗馬を始めたんですって!夫婦円満の秘訣は相互理解よ!趣味の共有はその最たるもの!何か違うと思うけど…。
「章ちゃんいつか2人で白い馬に乗ろうね。
ラ…ブ…」アハハハハ!ホーゥ!
(バスのクラクション)
(平沢秋子)宏之さん!
(小沼宏之)何でいるんだよ?会社の人に訊いたら昨日から有給取ってるって言うから…また三隅川で渓流釣りだなって思ったの。
そしたらやっぱり…。
どう?釣れた?荷物…持とうか?いいよ。
ねぇどっかでお茶でもしない?これやっぱり持つ…。
放っといてくれよ!式挙げる前から…女房気取りやめろよ!
(北村鉄男)う〜よし…よしっ!もう一軒行くぞ!
(堀川正太)飲み過ぎですって!バカ野郎!お宮入りって言われてる事件片付けたんだぞ。
今日ぐらい堂々と飲ませろ!北さん…北さん!
(小沼)オラー!とことん飲むぞ!浴びるほど飲んでやる…。
ブッ潰れるまで…一晩中飲みまくってやる…!あ〜みっともない。
北さんもあぁいうふうになりたくないでしょ?ティッ!あんなのと一緒にすんじゃねぇよ。
俺はまだまだゴー!まだまだって言ってるうちはもう終わりって事なんですよ!もう帰りましょう…ちょっと!危ねぇなぁ…!痛ぇな!なんやおっさんコラ!?はよ帰れや。
足元来とるやんけ。
(小沼の叫び声)
(ビンの割れる音)
(男のうめき声)
(悲鳴)
(女)誰か!誰か来て…!誰か来て…!
(女)誰か…!救急車!先輩!オイ!オイ!?俺じゃなくって救急車呼べ!バカ!はい!やっぱはしご酒は無理か!
(堀川)もしもし!?
(電話)
(平沢信雄)う…あ痛…。
あ…痛たたた…。
あ!お父さんあたし出るから!あぁ…。
はいもしもし?
(小沼)「秋子…?」宏之さん…?どうしたの?今どこ…?ぶつかっただけなのに…。
(秋子)「どうしたの宏之さん?」やっちゃったよ…。
俺はもうおしまいだ…。
そっお前はもうおしまい。
あーちょっと待った!
(小沼のうめき声)警察へゴー!ほら行くぞ!「
(北村と小沼の声)」宏之さん…?宏之さん!?
(小沼)すべて刑事さんにお話したとおりです。
体がぶつかったという理由だけで見ず知らずの方を傷つけてしまいました。
相手の方の回復を願うばかりです。
申し訳ありませんでした。
あなたは…「ムシャクシャしていたから」ビール瓶で相手を殴ったと警察の取り調べで供述していますが…。
そのとおりです。
その「ムシャクシャ」の原因は?
(咳払い)何ですか?太田事務官。
(太田勇一)いえ…痰が…。
事件の夜相当お酒を飲んでいたようですね?会社で何か嫌な事でもあったんですか?いえ…特に…。
前日の夜から一泊で三隅川へ釣りに行ってますがそこで何か…。
そんな事ありません!とにかく…ここんとこずっとムシャクシャしてたんです!理由は…自分でもよく…。
(鍵崎ナナ)今日は我々修習生にとって大変実り多い一日でした。
検事の鋭い質問の数々にあたしは感動さえ覚え…!ね?出口さん。
(出口恒雄)鍵崎さん…!ん?
(出口)鶴丸検事はまだお悩みのようだよ。
(ナナ)え!?悩む事なんてないでしょう!今日の取り調べは一点の曇りもなく見事に終了…。
鍵崎!
(ナナ)はい?見え透いたおべんちゃらは軽薄を通り過ぎ醜悪!この部屋に太田事務官は2人はいらない。
検事どういう意味でしょう?おべんちゃらを言う人には裏があるという事です!
(倉木民子)同感です。
しっかし…ただムシャクシャしてるからってビール瓶で人の頭なんか殴るかなぁ?ねぇ太田さん?あなたストレスがあるからってそんな事する?ま可能性は…。
そんな事しません。
発言中だよ!小沼宏之…犯行直後に婚約者に電話してる…。
彼は結婚を2か月後に控えて希望いっぱい夢いっぱいだったはずじゃないの…?披露宴の打ち合わせや引き出物の準備…それに上司や親戚への挨拶で忙しくてムシャクシャしてる暇なんかないはずよ?しかし検事結婚というものは…。
結婚というものは何?ん?いつも東京地検特捜部だって嘘ついて祇園のお姉ちゃん片っ端から口説いてるけどいまだに結婚に至らない太田さんが結婚というものはって?まぁ〜そんな卑劣なマネを…!いや1回だけだし…若気の至りっていうか…。
とにかくあの男には何かあるわ!ピンと来た!あのそれってひょっとして…。
そう!主婦の勘!
(サイレン)目の前で人を殴った奴がいたからパクっただけだろ?それのどこが気に入らねぇんだ?そこまではいい。
その後方々でうちの署の悪口言いまくってるそうですね?いやいや俺はホントの事しか言ってねぇよ?中京署の連中は早いとこお家へ帰ってお母ちゃんの作ったオマンマが食いたいお坊ちゃまばっかりだってな!夜遊びばっかりしてたまにしか母ちゃんの顔見ないから逃げられたんでしょ?おたくは。
ハッハァ相変わらず面白いね!残念ながらうちは円満な協議離婚だよ!
(池内)俺はあんたが…。
検事に会わせてくれ!え?もう一度検事に会わせてくれ!いいから来い!検事に会わせろ!大人しくしろ!
(もめる声)うるせぇな!何なんだよ!?人が仲良くおしゃべりしてんのにお前は?検事に会わせろ!検事?あぁいいよ。
担当誰だ?鶴丸検事だ!…物好きだね君。
私は誰も殴ってません!人を傷つけてなんていません!あなたは今までの供述は全部嘘だったと言うんですね?…そうです。
刑事たちに朝早くから夜遅くまで「やったな?やったな?」と責めたてられて…。
やってもいない事をしゃべらされたんです。
では事件のあった夜あなたはどこにいたんですか?確かに私は四条河原町で飲んでいました。
飲み足りなくて秋子ともう少し飲もうと思って携帯をかけた…。
秋子というのは婚約者の…えー平沢秋子さん?そうです。
そこへいきなりあの乱暴な北村って刑事が…!僕を犯人と間違えて逮捕したんです!検事さっきの小沼の話まともに聞くおつもりですか?すでに全面自供で片が付いてるんです!即刻起訴しましょう。
書類は全て揃っております!はい!修習生のみな皆さ〜ん!皆さんも考えてください。
いったん全面自供した被疑者が所轄署に戻った途端「検事にもう一度会わせろ」と暴れ供述を全て翻し無罪を主張した。
この後担当検事はどう対処すべきでしょうか?はい!はい鍵崎。
被疑者は初めての検事取り調べを終え事件の重大さ被害者への責任の重さに押しつぶされそうになり錯乱状態に陥って供述を覆したものと思われます!彼が錯乱状態に見えたの?はいデブチ!はいっ!わかりま…せん…。
ハァ…聞いたあたしがバカだった…。
あのぉ…。
君は発言を求められてない。
発言許します!はい!被疑者の真意はわかりませんが現時点での起訴は早計である事に間違いありません。
倉木!君は私を差し置いてしかも反対意見を表明するとは君こそ早計だ!お黙り太田!!小沼宏之の婚約者平沢秋子に会って話を聞いたらすぐ戻ります。
検事!今日は夜までスケジュールがびっしりです!有能な太田さんならそれぐらいのスケジュール調整わけないでしょ?えぇまぁ。
(高原純之助)鶴丸君!はい?今…鍵崎君から聞いたんだがあのあれだよ?いちいち被疑者の供述に振り回されてたら…。
ねぇ副部長これ…!いいスーツですねぇ。
奥様のご趣味ですか?ねぇ素敵よねぇ?副部長!もっと言ってください鶴丸検事に!うん。
僕の言う事なんか聞く彼女じゃないよ。
今までそれでやってきた。
なぁ太田君?きっと何かある。
楽しみに待とう。
この京都地検の鶴丸シフト…いつかあたしがぶっ壊してやる!秋子さんはよぅお願いね!はい!桜の間終わったら桔梗の間お願いね。
はい。
平沢…秋子さん?小沼さんは「大変な事をした」と切迫した声で電話をかけてきたと供述されてますが…?そのとおりです。
小沼さんはあなたとお酒が飲みたくて電話で呼び出そうとしたんじゃないんですね?あ…違います。
やっぱりそうでしたか…。
あ…あの!宏之さんそう言ってるんですか?あたしとお酒が飲みたいから電話したって…。
えぇ。
でもあなたはそんな話は聞いてないんでしょ?あ…宏之さんがそう言うなら…宏之さんそう言ってたかも。
え…?あたしの父足が悪いんです。
それであたし仕事が終わったら親の世話をするために真っ直ぐ家に帰って大抵家にいるんです。
それで宏之さん時々「気晴らしに出て来いよ一緒に飲もう」って電話してくれて…。
あの日もそうだったのかも…。
じゃあ記憶違いだったと?宏之さんがそう言ったんですよね?なら間違いない。
検事さん…宏之さんが人を殴ったなんて何かの間違いです!あの人は心の優しいいい人です。
あたし…お見合いの時一目見てピーンときました。
小沼さんとお見合いを?…えぇ。
初めてのお見合いでいい人と巡り会えた。
でも小沼さんは傷害事件を起こしてしまったのよ?これ…!綺麗でしょ?宏之さんがくれたんです。
秋子さーん!団体さんお着きやでー!はぁい!失礼します。
(ため息)ねぇねぇねぇねぇ!この中でさお見合い結婚の人いる?
(桜井麗子)おたくそうなんじゃないの?
(吉川香織)何言うてんの!?うちとこはめっちゃ熱烈な恋愛結婚やで!
(漆原さやか)左に同じ。
あんたとここそ!あ〜うちは紹介結婚!うちの旦那の会社の上司とあたしのおじさんがお友達で。
それはお見合いです!違います!紹介結婚!ねぇどうしてそんなにさぁお見合いだって事隠そうとすんの?認めたくないの?も〜だから〜お見合いじゃないって言ってるでしょ!
(3人)え〜!お見合い言われてムキなんのはな自分がもてへんって言われてるよな気なりはんのや。
もてない事はないと思うわよ。
麗子さん綺麗じゃない。
…首から下は。
(香織)鞄はきれいやな。
女は内臓よ!ファイトー!
(柿野たまこ)ありがとうございましたー!あやさ〜ん!たまこさ〜ん!ねぇねぇ今週のオススメは!?京唐辛子と小豆のスペシャル・アンチエージングジュース!もう10歳若返っちゃう!特別サービスだから飲んでって!ホント!?あらいいの?悪いわねぇ〜!ハァ〜!カラ!でもさぁこの美貌がよ?10歳若返っちゃうわけでしょ?ウフフ!もう怖いぐらい!章ちゃんヤキモチ妬いちゃうかも!アハハ!あやさん…気分だけはアンチエージング!さすが…!また供述を変えるんですか!?前回気が動転していたのか錯乱していたのかおかしな事を口走ってしまいました。
私は確かにビール瓶で相手の頭を殴りました。
酔っていたとはいえとんでもない事をしてしまいました。
速やかに裁判を行ってください。
(ため息)一体全体どういう事!?どうもなってませんよ。
事態は正しい方向に向かって粛々と進んでおります。
被疑者小沼宏之傷害罪で略式起訴。
書類全て揃っております!最初はやったと言い…次はやってないと言い…三度目の今日またやったに変えた…。
はいポイントは?二度の供述の変遷です!そのとおり!やったをやってないに変えやってないをやったに変えた。
小沼宏之は二度供述を変えた…。
あの犯人はただでさえ本庁の北村にあげられてうちは面目ないんだよ。
それを今度地検に送ったらあんな簡単なヤマなのに仕事熱心な検事さんが一から調べなおしてるって言うじゃな〜い!おたく北村とグルなのか!?グルになってうちの署に恥かかせようとしてるわけ!?池内さん…。
私あなたの事一匹狼のクールな奴だって思ってたのにいつからそんな出世主義者になったの!?署長の使いっぱで地検にねじ込んでくるなんて…!署長なんて関係ないよ!小沼の完璧な調書は俺が作った!だから…!だからその調書を小沼が見事にひっくり返したんだから仕方ないでしょ!?そして今日!また元に戻った!元に戻った…!?小沼は最初ここに連れて来られた後…ね?署に戻った途端に「検事に会わせろ!」って暴れ出したんでしょ?何でだと思う?地検からの帰り道に車の中から世の中の空気を吸って一刻も早くシャバに出たくなったんじゃないの?冤罪だ!無実だ!ってあたしに言えば早く外に出られるって思ったのかしら?なのに…またひっくり返した。
よく考えりゃ傷害の初犯だろ?相手の怪我も軽いし…。
ま〜せいぜい略式で罰金か仮に起訴されても間違いなく執行猶予になるって弁護士にでも宥められたんだろ。
それよ!
(高原)罪を認めた方が早く出られるっていう弁護士の入れ知恵で小沼は供述を元に戻したのか。
なら筋が通る。
(ナナ)ですよねぇ!普通ならこれで一件落着ってとこじゃないですか!でも鶴丸検事は最初の小沼の変遷がわからないからまだ起訴できないって!君は一体私に何が言いたい?君も習ったろう?検察官は一人一人が独立した存在だ。
例え私が上司であっても鶴丸検事の判断に介入する事は出来ない!それは建前でしょう!あたしはあんな事件処理の遅い検事の下で勉強してて将来のためになるのかと申し上げたいだけです!失礼します!可愛くないね…最近のガキは。
(ドアを閉める大きな音)すいません!平沢さんですか?はい…。
私京都地検の鶴丸と言います。
あの…娘さんの秋子さんの婚約者小沼宏之さんの事件を担当しております。
あ…ご苦労様です。
秋子は母親がおらんし私がこんなもんだから苦労のかけどおしで…。
ようよう結婚が決まったと思ったら相手があんな事になってしまって…。
秋子さんはお仕事ですか?あぁもう帰ってくると思うが…。
本屋に寄ってるのかもしれん。
秋子さん本がお好きなんですか?それだけが唯一の趣味だ。
へ〜どんな本を?何でも読む。
最近じゃ釣りの本。
釣り?小沼君が好きなもんで秋子も真似して勉強しとる。
へ〜いいですねぇ。
夫婦で同じ趣味持つなんてね。
秋子は先月三隅川に釣り行ってペンションに一泊してきた言うとった。
小沼さんとお2人で…。
あぁいやいや秋子1人だ。
私も2人かと思ったら秋子がいない時に小沼君からいないかって電話があった。
1人で三隅川に釣りですか…。
えぇ。
(秋子)お父さん。
どうぞ。
へぇ〜お父さんがおっしゃったとおり読書家なんですね秋子さん。
何かあたしにお話でも?小沼さんが供述を元に戻しました。
事件の夜あなたに電話したのはあなたをお酒を飲みに誘ったのではなく「大変な事をしてしまった」と救いを求めたと。
宏之さんがそう言うなら…そうなんでしょう。
小沼さんは犯行を認めました。
でも私は犯行の動機がずっと引っかかってます。
婚約者のあなたに訊きたいのはそこなんです。
ムシャクシャしたから酔って通行人を殴った…。
私は小沼さんにそのムシャクシャの原因を訊いてみました。
でも…よくわかりませんでした。
秋子さん…あなたはどう思われます?あたしにもよくわかりません。
何か思い当たる事…気になる事はありませんか?あたしまだ…宏之さんの全てを知ってるわけじゃありませんから。
でも知ろうと努力なさってるでしょう?趣味を合わせるために釣りの本まで読んで…。
あ…!釣りは…あの興味を持っただけで…。
でもさっきお父さんから伺いましたよ。
先月三隅川に釣りにいらしたって。
三隅川って確か宏之さんがよく渓流釣りに行ってた所ですよね?確か事件の前夜も行ってた…。
どうでした?釣れましたか?行ってませんあたし!父の勘違いです!宏之さん…釣りの話するととても嫌がる…。
話がなければお引き取りください。
これから夕飯のしたくありますから。
たこ焼き入りま〜す。
美味しそ〜。
ただいま〜!
(2人)おかえり。
よしこの辺出来た。
あれ?北村さん…。
ハァ〜章ちゃんと大恋愛の末に結婚したのになんで家に帰ると章ちゃんはいなくていなくてもいいお邪魔虫がお鍋なんかつついてるんだろな!お母さん。
北村にお鍋作らせたら抜群よ!お母さんより美味しいかも。
今日はなキムチ鍋にたこ焼き入れたキムたこ鍋だ!うんめぇぞ!まぁでもほらお母さん俺のやる事なす事みんな気に入らねぇからな。
食わねぇって言うかもよ。
じゃあ〜2人で食べちゃおう!おぅ!食っちゃおうぜ!いただきま〜す!いただきま〜す!はぁ〜はい。
おぅ。
ねぇ北村さん。
ん?おたく恋愛結婚?それともお見合い?思い出したくもねぇけど一応恋愛だ。
なんで別れちゃったの?
(2人)汚〜い!ねぇりん。
あんたは?恋愛がいい?それともお見合い?う〜んお見合いなんか今時流行んないから絶対恋愛結婚がいい!やめろやめろ結婚なんて。
んなもんしなくたってなこうやってたまに人ん家に来て雰囲気を味わゃいいのよ。
ねぇねぇ北村さん。
ねぇ別れた奥さんの趣味って何だったの?美術館巡り。
へ〜ハイソな感じ。
じゃあさ絵画とか彫刻の事勉強しなきゃ!趣味をあわせる努力を怠ったでしょ!?で相互理解出来なかったでしょ?だから奥さんに逃げられちゃうのよ!うちなんか乗馬だもんね。
そうだよ。
ああいうの買ってこうやって…。
俺だってねぇ最初のうちはちゃんと図書館行って画集とか開いたわけよ。
でもすぐにやめた。
嘘だってわかったからね。
嘘!?美術館巡りじゃなくてパチンコ屋巡りしてたんだ。
パチンコ…!アハハ。
へ〜!はぁ〜そっかぁ…。
趣味なんて人に言ってる事ホントにしてるとは限らないって事か…。
あれ!?ねぇもしかして章ちゃん乗馬じゃなくて…競馬!?どういう事だ?平沢秋子は何かを隠しています。
自分自身の事か小沼宏之の事かはわかりません。
その事が小沼宏之の二度にわたる変遷に関係してるのではないかと。
あやちゃんは三隅川にその秘密があると…こう言いたいんだな?はい。
先月平沢秋子が1人で三隅川のペンションに一泊したのが気になります。
その事を本人が強く否定したのがどーも引っかかるんです。
調べてみますと三隅川にペンションは一軒。
「ペンション時の旅人」。
そこは小沼が渓流釣りに行く時の定宿でもあるんだな?はい。
それがどうも小沼は釣りをしないみたいなんです。
釣りをしない…?これを見てください。
小沼が逮捕時に所持していた釣具なんですが釣りマニアに見てもらったところまったく使った形跡がないと。
ふ〜ん…。
だったら小沼は釣り竿かついで何しに行ってたんだ?さぁ?わかりません。
フン『野晒し』かもな。
え?ん?いや『野晒し』って落語があるんだよ。
釣り竿持って女を釣りに行くって話だ。
もっとも女は…これなんだけどな。
幽霊…!?鶴丸検事話はわかった。
出張を許可しよう。
君が何を釣って来るか…楽しみに待ってるよ。
お任せください!幽霊ごときに怯む鶴丸ではございません!
(バスの走行音)
(扉の開く音)まさか…ホントに出たりしないわよねぇ…?
(川のせせらぎ)
(鳥のはばたく音)うわっ!?まさかね…。
(向井薫)鶴丸様ー?ようこそいらっしゃいました。
よろしくお願いします。
さっどうぞ。
はい。
(踏切の音)
(電車の通過音)
(薫)さぁさ夕飯にしましょう。
はい。
わぁ〜でも幸せ〜!こ〜んな素敵なペンションあたし一人で貸し切りだなんて。
この辺り温泉はもちろん何があるって所じゃないですから。
渓流釣りのお客さんぐらいしか。
もっと営業努力しろっていつもオーナーからしかられっぱなしなんですけど努力のしようが…。
薫さんオーナーじゃないんですか?あ私は雇われです。
こんなペンション私なんかとてもとても…!でも全部任されてるんでしょ?ここで働き始めて何年ぐらい?あ…いいじゃないですか歳がばれちゃう!でも人里離れたこんなとこにいて寂しくないですか?私割合1人は平気なんですよ。
へぇ…。
ねぇ!きっかけは何ですか?ここで働き始めた。
やっぱり失恋とか!?アハハそんなとこかな?さどうぞ。
はいいただきま〜す。
あたしここねガイドブックで見つけたって言ったけどホントは友達の紹介なの。
誰ですか?私の料理が下手なのかリピーターが少ないんですよ。
それもいつもオーナーに叱られる。
フフフ。
平沢秋子さんっていう京都の人。
ほら1か月くらい前に来たでしょ?覚えてないなぁ…。
じゃあ小沼宏之さんならご存知?お客さん小沼さんとお知り合い?あたしは平沢秋子さんの知り合い。
小沼さんと平沢さんが婚約したんででここを紹介してもらったの。
婚約!?…へぇ〜小沼さん結婚するんだ。
結婚したら2人でここへ渓流釣りに来たいって。
ハハ大歓迎ですよ。
どうも〜。
はいどうぞ。
はいはい〜。
わぁ!ねぇ薫さん。
小沼さんって釣りの腕前はどうなんですか?たいしたもんですよ。
へ〜。
小沼さんね釣りはしないっていう噂もあるんですよ。
ここへは何か別の目的で来てるんじゃないかって。
あ…そんな事ありませんよ。
よく釣った魚を私に自慢して…。
次の料理お持ちしますね。
大当たりかも…!ダ〜メ!イケメンなんかダメだよイケメンなんか!自分の事をなぁいい男だと思ってる奴にロクな奴なんかいねぇぞ!まぁかといってだあんまりぶっちゃいくだとさ浮気の心配ないかもしれないよ?でも今度つれて歩くの嫌んなっちゃうだろ?だから…これだよ!これぐらいが丁度いいわけよ!はい。
おぅ!お客さん口上手いけど何やってる人なんですか?見りゃわかんだろ?世のため人のためになるお仕事よ。
…消防士!?惜しい!かすった!
(携帯電話)「はいもしもし?」協力して欲しいの。
あたし今三隅川のペンションに来てるんだけど…。
聞いてる〜!?そこで働いてる女性と小沼宏之の間に何か秘密がありそうなのよ!その女性ねなんか顔を隠すみたいに前髪を下ろしてるの。
額を隠す女性は何か後ろ暗い事があるのよ!歳ごまかしたりそれから過去を隠したり…。
これ主婦の勘!な〜にが主婦の勘だよ。
え!?冗談はヨシコさんだよ!俺はなぁ今夜はハードボイルドで決めると…オイ!?
(不通音)オイ!?
(川のせせらぎ)おはようございま〜す。
薫さん…?薫さん?いよぅ!まぁ…!何よ?食うか?何勝手に入って人ん家の物を泥棒猫みたいに!ごあいさつだねぇ!そっちがSOS出すからさぁモデルみたいないい女との一夜蹴っ飛ばしてすっ飛んで来てやったんじゃねぇかよ。
一体どうやって入ったのよ!?勝手に入ったら不法侵入でしょ!?鍵が開いてたの!表の!ちゃんとねでっかい声で挨拶もして入りました。
自分のイビキで聞こえなかったんだろ。
誰がイビキなんてかいてたのよ!?…鍵が開いてた?あぁ。
え…?じゃあさ会わなかった?ほら昨夜話した前髪でおでこ隠した女の人!いや誰にも会ってねぇよ。
オイオイその女何者なんだよ!だからそれを調べるんでしょ!さ!来て!早く急いで急いで!飯ぐらいゆっくり食わせろ…!
(秋子)待ってください!…秋子さん!?誰?小沼宏之の婚約者。
彼女を逃がしてあげてください!薫さんの事?彼女一体何者なの!?それが宏之さんが一番望んでる事だから…!だからその彼女は一体何者なの?知ってるんでしょ?逃がしてあげて…!お願いします…!!悪いようにはしないから君はここで待ってるんだ。
いいね?行くぞ!…じゃ。
でどこへ参りましょうか?お客さん。
とりあえず最寄の駅!了解!あ…あれ〜!?どうした!?こ…こ…こ…!ん?まさかこいつじゃねぇだろうな?えらいもん釣り上げちゃった…。
薫さん…。
(バッグを落とす音)
(風の音)秋子さん…あなたの期待に添えなかったわ。
薫さん…いえ河端雅子は今逮捕されました。
私…宏之さんが結婚してくれるって言ってくれてすごく嬉しかったんです。
足の悪い父の世話をしながら一緒に歳を取ってそれでおしまいなんて絶対に嫌だった…。
宏之さん…とっても優しかったんです。
私が本が好きだって知ったら押し花のしおりプレゼントしてくれて…。
あたし…男の人からプレゼントもらったの初めてだったんです。
それであたしも宏之さんに何かしてあげたい…もっと彼の事知りたいって思って…。
先月あなたがここへ来たのは釣りをしない宏之さんが度々ここに来るわけを知りたかったのね?あたし…薫さん一目見てすぐにわかりました。
宏之さんが本当に好きなのはこの女の人だ…。
彼彼女に会いにここに来てたんだって…。
でもあたし…薫さんを恨む気持ちにはなれなかった…。
それが…昨日偶然手配書を見て…!薫さん逃がしてあげなきゃ…!あたしただ…宏之さんが喜ぶ事がしたかった…!彼が…!彼が一番望む事したかっただけなんです…!
(嗚咽)秋子さん…。
(小沼)秋子と婚約していたものの一年前に会った薫の事が忘れられずに…。
事件の前日三隅川に行って再度薫にプロポーズをしました。
しかしまた断られた…。
それがあなたのムシャクシャの原因だったのね?まさか…薫が指名手配の犯人だとは…。
あの手配書を見た途端頭に血が上って…。
一刻も早く薫を逃がさなくてはと思った。
そのためには何としても僕が外に出ないと…。
ずっと話を聞いていますが秋子さんに対する言葉が一つもないように思いますが…。
秋子は僕を愛していなかった。
父親の面倒を見るのに疲れて結婚を夢見ていただけで相手は誰でも良かった…。
それは違うわ!秋子さんはあなたを愛していた。
あなたのプレゼントした押し花のしおりをとても大切にしてた。
あれは…!薫のペンションで売っててちょっと秋子に後ろめたかったから土産に買ってプレゼントしただけです。
おそらく秋子さんはその事も承知してたと思う。
でもあなたを思いあなたを許して…あなたの愛した薫さんをあなたのために逃がそうとあたしたちの前に立ちはだかった!何か…伝言はありませんか?彼女はあなたという人を失ってこれから生きてくのよ?彼女の事は心配していません。
彼女は…とても強い人ですから…。
強い人なんていないわ!検事…!これだけは言わせて。
小沼さん…あなたはプロポーズを断られそのムシャクシャを他人にぶつけ傷つけた!弱いから…!弱い人間だから…。
秋子さんだって同じよ!秋子さんに…何か言ってあげて。
すいません。
何も…思い浮かばない。
(ため息)平沢さん!
(ノック)
(ノック)平沢さーん。
(秋子)鶴丸さん?あ…。
大変ねぇ。
お父さん入院されたんですって?いつものワガママ病です。
年中どこか痛いって言ってますから。
今日は…?今日小沼宏之を傷害で略式起訴しました。
そうですか…。
小沼さんからあなたに…。
え?今までどおり本をたくさん読んででもたまには外に出て発散する事も忘れずに明るい笑顔を持ち続けていてくださいって。
検事さん…。
ありがとう。
いえあたしは…!ありがとう!じゃああたしはこれで。
ヘタクソな嘘ついちゃってまぁ…。
小沼はおたくの事なんか何も考えてませんよってホントの事言ってやりゃ良かったじゃねぇか。
ホンットにデリカシーないわよね。
だから奥さんに逃げられちゃうの。
そっちこそなぁそろそろ章ちゃんから三行半じゃねぇか?何で?こんな可愛くて貞淑な妻とどうして別れたいなんて思うの?アッハッハ!
(携帯電話)あ電話だ…。
キャ〜章ちゃん!章ちゃ…あ!もしもし?あ章ちゃんですか?北村ですけどおたくの奥さんねぇ携帯放っぽらかして場外馬券場なんか行ってんすよ。
こいつ嘘つきだから!2015/08/19(水) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
京都地検の女3[再][字]
「逆転供述に潜む罠!前髪で額を隠す女の正体!!」
詳細情報
◇番組内容
名取裕子主演人気シリーズ第3弾!
事件解決のカギは“主婦の勘”。京都地検・鶴丸あや検事が、事件の盲点を主婦ならではの視点で鮮やかに解き明かす!
◇出演者
京都地検検事・鶴丸あや ・・ 名取裕子
京都府警刑事・北村鉄男 ・・ 船越英一郎
中京署刑事 ・池内弘二 ・・ 益岡徹
京都地検事務官・太田勇一・・ 渡辺いっけい
京都地検副部長・高原純之介・・ 蟹江敬三 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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