癒し屋キリコの約束 #11【早まる友を止める方法】 2015.08.17


(カッキー)
私が店長を務める東京の下町谷中にある純喫茶昭和堂は神棚とさい銭箱が恭しく置かれた異様な空間です
オーナーのキリコさんは非常な読書家なのですが大酒飲みの大酔っぱらい
でも悩みを抱える人の心を癒やしいつの間にかもめ事を解決してしまうという不思議な能力があるのです
及ばずながらそんなキリコさんの癒し屋稼業のお手伝いをしているのがカッキーこと私柿崎照美
卓球場を経営する入道こと都幾川敦也さん
谷中の猫まんじゅうで有名な和菓子屋の跡取り小出清助さん
ストーカー騒ぎがきっかけでスタッフに加わったキララちゃん
そしてバイク便のライダー上山涼君の力強い五人衆
しかし真っ赤な血で彩られた熊の縫いぐるみと「キリコオマエヲノロッテイル」「ヨミチニハキヲツケロ」という不気味な脅迫状がキリコさん宛てに東京太郎なる人物から送りつけられてきたのです
キリコさんは平静を装い冗談好きの友達からだと笑い飛ばしたのですが私は知っています
夜一人になったキリコさんが普段人に見せたことがないような真剣な表情で脅迫状をじっと見詰めているのを
ああ。
キリコさんの身の上にいったい何が?
私にとって衝撃的な事件はそんな真夏のある夜に起きたのです
(カッキー)はい。
もしもし。
(すすり泣く声)もしもし。
千香ちゃん?
(すすり泣く声)千香ちゃんなんでしょう?こんな夜遅くにどうしたの?
(千香)カッキー。
(カッキー)うん?
(千香)私死んでもいいかな?
(カッキー)えっ!?
(千香)今から死ぬね私。
(カッキー)ちょっと千香ちゃん。
(千香の泣き声)
(カッキー)千香ちゃん。
いったいどうしたの?何があったの?
(千香の泣き声)
(カッキー)行く。
あのう。
すぐにお部屋行くから。
(千香)来ないで。
(カッキー)えっ?
(千香)来たらすぐその場で手首切る。
(通話の切れる音)
(カッキー)千香ちゃん!?
(キリコ)・「恋人に」
(男性)引っ込め!・「ふられたの」
(男性)下手くそ!・「よくある話じゃないか」
(男性)マイク返せ!
(カッキー)出てよ。
キリコさん。
(呼び出し音)
(カッキー)もう。
何やってんの?
(呼び出し音)・「淋しいなら」
(男性)早く引っ込め!・「この僕がつきあってあげてもいいよ」・「涙なんかをみせるなよ」お客さまは神様です。
あっ。
おひねり大歓迎。
(一同)引っ込めよ!早く帰れ!
(カッキー)ちょっと。
何やってるんですか?見れば分かるでしょ?歌姫。
はあ?
(一同)マイク返せ。
もういいよ。
もう。
・「ベッドで泣いてると」
(一同)帰れ帰れ。
帰れ!泣いてるんですよ。
・「涙が耳に入るよ」
(一同)早く帰れ!マイク返せ!わんわん泣いて涙耳からあふれでてるんです。
(カッキー)スター気取ってる場合じゃありません。
はい。
歌姫やってたんです。
(カッキー)早く。
行きますよ。
ごめんね。
もっと聴きたかった?
(カッキー)いいからもう。
(カッキー)何回かけ直しても千香ちゃん電話に出ないんですよ。
あのさ。
カッキー。
(カッキー)はい?あの店出てから今721・722・723歩。
(カッキー)はい。
もう。
昭和堂まであと300歩近く歩かなきゃなんない。
(カッキー)それが?あんたさっきまで昭和堂いたんっしょ?
(カッキー)はい。
後片づけしてましたけど。
昭和堂から千香ちゃんの部屋まで何歩?
(カッキー)えっ?えーと…。
数えるまでないっしょ。
すぐ裏なんだから。
(カッキー)あっちが表ですけど。
あっ!えっ?
(カッキー)ガスの元栓切り忘れた。
嫌…。
(カッキー)ガスガスガス。
ガス。
ガスガス。
ほんの表と裏。
つまりここにいたあんたと千香ちゃんの距離はそれだけ近かった。
おっ?「千香と近い」プッ。
ハハハ。
なんちゃって。
嫌だ。
ハハハ。
なのにあんたは約1,000歩分走って走って同じ分だけ今度は歩いて歩いて引き返して無駄な時間を費やしてる。
カッキー。
何で彼女の部屋にすぐ駆け付けなかったのよ?だって私が行ったらすぐにその場で死ぬって。
あんたは殺し屋かい?違います。
じゃあ何?昭和堂の店長です。
それちょっと違う。
えっ?雇われ店長。
と同時に癒し屋のアシスタントっしょ。
ハハハ。
なのにあんたは人を癒やすことを二の次にして私んとこに駆け付けた。
火事場に向かわずに警察に駆け込んだ消防士のようにね。
プッ。
ハハハ。
あんた今すぐ死のうって親友より私の顔見たかったわけ?フフフ。
いや。
そうじゃなくて。
何でこうなるんだろう?はあ?はい。
そうです。
下手に私が駆け付けてとんでもないことになるのが怖くってキリコさんを頼ろうって。
「キリコさんならどうするだろう?」って。
どうやって助けるかって?はい。
無理して助けなくていいじゃん。
えっ?死にたいんっしょ?死にたがってるんでしょ?人間には自分で死ぬ自由があるって日本国憲法に書いてあるよ。
えっ?ホントに?ダハハ!嘘に決まってんじゃん。
バーカ。
ガス止めたら行くよ。

(ドアの開く音)62・63・64・65・66。
ほら。
昭和堂からならわずか66歩。
フゥー!・「GetyourkicksonRouteSixty−six!」なんちゃって。
(カッキー)あのう。
千香ちゃん。
2階に一人で住んでるんですけど。
(カッキー)よかった。
生きてます。
・「男と女が」
(カッキー)ちょっと。
ちょっと…。
(カッキー)千香ちゃん。
・「ため息ついているよ」
(カッキー)もう。
千香…。
・「夜が終ればさよならの」・「はかない恋のくりかえし」
(千香の泣き声)いいんだぁ千香ちゃん。
そんな親身になってくれる友達がいて。
私なんかさ家出したって命落としたってそんな友達一人もいないもん。
電話借りるよ。
あんたの騒ぎのために携帯代払いたくないもん。
あっ。
料金はあの世から払ってよ。
(敦也)何?今から?何時だと思ってやがる。
(清助)千香が!?嘘だろ。
あのバカ娘。
(キララ)何だか知らないけど相乗りできてラッキー。
千香ちゃん。
テレビの2時間ドラマ見たことないの?自殺すんならやっぱ樹海か切り立った崖だよね。
そういう場所ってさ霊界におびき寄せられるみたいにこうすーっとあっちの世界に引き寄せられちゃうんだよね。
なのにさ何だろう?さっきのあの千香ちゃんの部屋。
そういうヤバい雰囲気何も感じなかった。
(敦也の気合)
(敦也)うーん。
結界じゃな。
(キララ)アッちゃん。
結界って何?
(敦也)まあ簡単に言えばこの世とあの世の境界線みたいなもんじゃよ。
うんうん。
だってさ家具なんてみんな新品だったしベッドなんてまだ値札付いてたじゃん。
(涼)相変わらず観察鋭いな。
ぶっ高いベッドだった。
霊感商法にでも引っ掛かった?キッチンの備品もみんな新品だったしステンレスなんかぴっかぴかの1年生。
(カッキー)つい最近全面的にリフォームしたばかりなんだよね?千香ちゃん。
前にはあの場所でご両親と一緒に暮らしてたんっしょ?
(カッキー)ご両親は団子坂のマンションに小さな部屋買ってそこに最近引っ越されたんだよね?千香ちゃん。
カッキー。
うるさい。
あんたいつから官房長官になったの?がきじゃないんだから一人でしゃべれるっしょ。
どう見てもありゃ新婚家庭用だったね。
・「燃えたあの口づけ楽しいおしゃべり」・「二人のアルバム…」千香ちゃん。
あんた結婚決まった?
(カッキー)えっ?そっか。
そういうことか。
そういうことってどういうことなんですか?カッキー。
あんた千香ちゃんとの親友歴何年?えっと。
このお店にお世話になるようになってすぐ親しくなったんだから1年と…。
1年と1カ月ちょっとです。
そんだけ付き合ってて毎日のように会っててあんた何にも知らなかったわけ?何にも気付かなかったわけ?あんただって結婚歴あんだから…。
あっ。
(一同)えっ?
(カッキー)キリコさん!
(一同)えーっ!?ごめん。
私酔ってる。
(涼)カッキー。
バツイチだったの?いや。
えーと。
どうだったかな?
(キララ)へえー。
これはまた意外な展開ですね。
バツイチじゃないの。
あのね。
まだ別れてないの。
ねっ?
(一同)えっ!?ごめん。
カッキー。
ああ。
もう何かさっきの店で変なお酒飲まされたみたい。
だってママもお客もやたらめったら私のこと何だか敵視すんだもん。
お前の歌を聴いたら誰だってお前を殺したくなる。
失礼ね!
(千香のすすり泣く声)でさ千香ちゃん。
あんたいつ死ぬの?
(カッキー)キリコさん!私放浪の旅してたときいろんな経験してきたけどまだ目の前で人が死ぬとこ見たことないんだよね。
見たいな。
(清助)おいキリコ。
いくら何でもそれは言い過ぎじゃねえのか?あら清ちゃん。
じゃああんた何でこんな真夜中にここに来たわけ?
(清助)あっ?そりゃお前千香が心配で。
あんなに仲悪いのに?こんな狭い商店街にお菓子屋は2軒もいらないっていつも言い争ってんじゃん。
洋菓子屋の後継ぎの千香ちゃんが死んじゃえば猫まんじゅうも安泰だね。
キリコ。
てめえ!あっ…。
フッ。
驚いた。
普段はクールなのに今夜の清ちゃんやけに熱いねぇ。
(清助)あっ。
いや。
あのう。
そのう。
あのう。
ご…ごめんな。
ついついつい。
つい何?
(清助)いや。
うーん…。
まあいっか。
千香ちゃん。
あんた幸せだよ。
カッキーだけじゃなかったもん。
あんたのこと真剣に心配してくれんの。
それでも死にたいって言うならもう誰も止めません。
あんたもうあの死に場所に引き揚げてもいいけど死ぬ覚悟を決めた若者に私から一つだけお願いがある。
死ぬのは夜が明けてからってことにして朝までにお店で千香ちゃん自慢のバタークッキーをできるだけたくさん焼いてちょうだいな。
(千香)バタークッキーを?そう。
材料があるだけいっぱい。
朝の9時にカッキーが受け取りに行くから死ぬならそれからにして。
でも何で?決まってんじゃん。
あの乃池のおすしと一緒に…。
えー。
あんたのお通夜で参列者に振る舞うのよ。
ほら。
結婚式だって引き出物ってもんがあるでしょ?お葬式に出ても葬儀屋が用意したハンカチとかお茶だけで香典返しだって死んだ人には縁もゆかりもない品物ばっか。
ねっ?だからさせめてあんたのお通夜には…。
《ご参列の皆さま。
今皆さまに召し上がっていただいておりますのは故人が生前に最後に焼きあげたバタークッキー…》《はなはだ残念なことに故人は死への旅立ちを選びました》ってな具合にさみんなで泣きながら食べて出棺のときに叫ぶの。
「愚か者」「勝手に死にやがって」「残されたご両親が気の毒だ」って。
(涼)そういや子供が先に死ぬと逆縁っていって両親はお葬式に出られないってとこがあるよね。
そうよ。
ご両親お気の毒ね。
一人娘に勝手に自殺して亡くされてお別れの言葉も言えないなんて。
その点私たちは言いたい放題言えるからさ。
「この親不孝者」「不義理しやがって」「閻魔さまに舌抜かれろ」って。
あっ。
カッキー他に言うことない?
(カッキー)大バカ者の裏切り者!うんうん。
さああんたたちも後先考えずに死んじまった千香ちゃんに罵詈雑言…。
あっ。
違った。
お別れの言葉を。
勝手ばっかするやつはさっさと死んじまえ。
バカね。
もう死んだんだってば。
(敦也)ああそっか。
閻魔さまによろしくな!単細胞はそんなもんか。
じゃあ次はキララちゃん。
はい。
(キララ)千香ちゃん。
最低だよあんたは!うん。
涼君。
(涼)死んで花実が咲くものか。
よっ。
文学的。
じゃあ最後は清ちゃん。
(清助のせきばらい)
(清助)ち…千香。
お前僕よっか若えのにバッカじゃねえのか?赤飯屋だったお前んちが洋菓子屋始めたときお前んちの父ちゃんと母ちゃんてんてこ舞いでまだちっちゃかったお前の世話僕頼まれちゃって。
毎日のように銭湯連れてってやったんだよな。
お前をシャボンで洗ってやって一緒に湯船に入ってよ。
こんなこと言ったことはねえけどよ。
あのころのお前はかわいかったんだよな。
それがだんだん小憎らしくなって「ムッシュ清助。
ノンノンノンノンノン」だと?生意気言ってんじゃねえぞ小娘が。
いいか?僕はお前の全部を知ってんだぞ。
(千香)バカ!清ちゃんのバカ!そんな恥ずかしい話私のお葬式でしないでよ!バカ。
バカ。
バカ!ああああ…。
さてと。
みんなからのありがたい弔辞が終わったところでそろそろお開きにしますか。
私酔いが回ってきちゃったわ。
いい?千香ちゃん。
朝の9時までにありったけの材料でバタークッキー焼くのよ。
それを私たちもだけど大親友のカッキーが死ぬほど食べっからさ。
あっ。
「カッキーがクッキー」なんちゃって。
はい。
解散。
こんなことでいいのでしょうか?
千香ちゃんはホントに大丈夫なんでしょうか?
でも私はかけることにしたのです
これまでたくさんの難題を解決してきたキリコさんの指示を信じる
そういう賭けをしたのです
あーっ!閉鎖的に内に向いている意識をいかにして外に向けさせるか。
さて。
うまくいったか?いかなかったか?5分前。
5分前。
(カッキー)あっ…。
(カッキー)あっ。
えっ?えっ?千香ちゃん?
(千香)千香。
約束守りました。
これ出前です。
あっそう。
じゃあそろそろ葬儀屋さんの手配しなくちゃね。
(千香)キリコさん。
葬儀屋さんが用意するのはハンカチとお茶だけじゃありません。
一番肝心なのは清めのお塩ですよ。
そうね。
そうだった。
(千香)でもねキリコさん。
もし私が死んだらお清めにはお塩じゃなくてお砂糖を出したいと思います。
私は洋菓子屋の跡取り娘ですから。
そう。
じゃあそのように伝えるわ。
でもね年からいってキリコさん。
私よりあなたが先に死ぬと思います。
香典返しは缶ビールの詰め合わせってことでいかがでしょうか?千香ちゃん。
あなたはね私と違って周りのみんなに優しさを配ってあげられる人間なの。
そういう人間はねバカなこと考えて人を裏切るようなことしちゃいけないの。
はい。
人間っていうのはね他人に「ありがとう」って言われるために生まれてきてんの。
だから人の役に立って人に喜んでもらえたときにはその人の使命が果たせてるってわけ。
んで使命が果たせたときに人は自動的に幸せってなっちゃうわけ。
ねえ千香ちゃん。
幸せを感じながら死ねるわけないっしょ?でも千香ちゃん。
どうして死のうとなんか?カッキー。
私…。
私ね。
結婚詐欺に遭ったの。
(カッキー)千香ちゃん?2015/08/17(月) 13:25〜13:55
関西テレビ1
癒し屋キリコの約束 #11[字][デ]【早まる友を止める方法】

今週はキリコ(遼河はるひ)が癒し屋の仲間を癒す!洋菓子店の千香(月船さらら)を騙した結婚詐欺師に、カッキー(前田亜季)を苦しめた別居中の暴力夫に天誅お見舞い!?

詳細情報
番組内容
 夜遅く、カッキー(前田亜季)のもとに、洋菓子店の跡取り娘・千香(月船さらら)から思いつめた様子で電話が掛かってくる。悲嘆に暮れる千香に何があったのか尋ねるカッキー。しかし千香の言うことは要領を得ず、今から千香のもとに駆けつけると告げると、「来ないで!来たら死ぬから!」との叫び声とともに電話が切れてしまう。
番組内容2
 一人で千香を訪ねる勇気のないカッキーは、場末のスナックで気持ち良く音痴の歌を披露し、客から大ブーイングを浴びていたキリコ(遼河はるひ)を見つけ出し、一緒に千香の部屋に突入!すると、そこには放心状態の千香の姿が。
 この異常事態に、キリコは涼(戸塚祥太)たち癒し屋のアシスタントを集める。
番組内容3
カッキーは泣きはらした顔でポカンとする千香を心配するが、何があったかお見通しのキリコは、皆の前でワザと千香を突き放すようなことばかりまくし立て…。
出演者
有村霧子:遼河はるひ 
柿崎照美:前田亜季 
上山 涼:戸塚祥太(A.B.C−Z) 
小出清助:長谷川朝晴 
都幾川敦也:小林正寛 
キララ:中山来未 
本城 栞:吉原茉依香 
小笠原千香:月船さらら ほか
スタッフ
【原作】
森沢明夫『癒し屋キリコの約束』(幻冬舎文庫)
【脚本】
佐伯俊道 
【演出】
星 護 
【プロデュース】
市野直親(東海テレビ) 
高橋萬彦(共同テレビ)
【音楽】
森英治 
【主題歌】
「ThankYou For The Music」ラストヒロイン(中山来未)(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
【制作・著作】
共同テレビ
【制作】
東海テレビ
ご案内
【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/iyashiya_kiriko/
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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