(晋作)長州を取り戻す!元治元年12月。
高杉晋作長府功山寺にて挙兵。
椋梨藤太を討つべく激烈化した長州藩の内戦は城の奥勤めの美和の周りをも大きく動かしていった。
(美和)私の兄がこの戦の和議をなそうとしております。
何とぞお殿様に兄のお目通りをお許し頂きたく。
(敬親)戦を収めるために参ったと。
(梅太郎)諸隊とは7日の間砲撃はせぬよう申し合わせております。
してどのように収める?椋梨様はじめ現ご政庁の方々を排し民情を鑑みた新しい政にお改め頂きたいのでございます!藩政を正せと申すか。
椋梨様は幕府への恭順を我らに強い従わぬ者をことごとく投獄し処刑しあまつさえ民を困窮と不安に陥れております。
どうか長州が中から崩れ落ちる前に何とぞ!殿がすべて預かられると。
戦は終わりでございます。
(都美姫)おお…。
お目通りのお口添え頂きまことに。
私はあの者に強く請われ取り次いだにすぎぬ。
文…。
このたびはまことに…。
ありがとあんした。
何を笑うておる。
椋梨の役を解き藩政を改めるという決断は直ちに諸隊に伝えられた。
勝ったぞ!おお〜!
(晋作)何じゃ。
戦はもうしまいか。
もちいとこいつをぶっ放したかったんじゃが。
(利助)まだ足りんのですか。
空砲とはいえあんだけ派手に撃ち込んじょって。
あの夜功山寺へ駆けつけてくれたお前たちのおかげじゃ。
高杉さん…。
(都美姫)城表で出入りを阻まれた由にございます。
奥なれば殿にお目通りかなうのではと…。
会わぬ!わしは会うてはならん。
(日出)椋梨様。
間もなく七つ時。
門を閉める刻限でございます。
どうかお引き取りを。
(椋梨)七つ…そうか。
(日出)お待ち下さいませ!椋梨様!椋梨様!お待ち下さい!椋梨様!椋梨様!どなたか!どなたか!・
(日出)椋梨様!お待ち下さい!どなたか!椋梨様…。
(椋梨)椋梨にございます!お目通りを!殿!お目通りを!
(園山)椋梨殿!なりませぬ!御前様…どうかお目通りを!ならぬ。
殿のご意志である。
殿の…。
そなたの目通りを断って後殿は一服の茶も一箸の膳もとってはおられぬ。
殿も痛みに耐えておる。
殿が…。
(都美姫)美和。
この者をお送りせよ。
あとは私が。
お前が私を追い出すというのか。
御前様のお言いつけでございます。
わしをうつか?回想お前に何ができる?おなごの分際で。
伺いたい事がございます。
(テーマ音楽)・「愚かなる吾れのことをも」・「友とめづ人はわがとも友と」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「燃ゆ」椋梨様は長く長州の政に携わってこられました。
そして私の兄をおとしめ夫を追い詰め多くの方のお命を奪った。
それほどまでして椋梨様が守らねばならんものとは何だったんでございますか?政とは変わらぬ営みを守る事じゃ。
それだけにすぎぬ。
その道をひたすら生きた。
久坂も同じでございました。
椋梨様からどれほど幼くおぼつかない姿に見えようと同じように政に志を抱きその道を生きたのでございます。
それを言おうとここまで来たか。
ただ一人奥に入って。
一人ではございませぬ。
大切な人たちの思いと共に歩んでまいりました。
うぬぼれるな。
お前は無力じゃ。
何も変わらぬ。
お前だけではない。
人ひとりの力などしょせん大きな流れの中で無力じゃ。
お前も私も。
何も持たぬという事が私には力でございました。
おごらずただ目の前のものを敬い出会う人たちから学びそうやってここまで…。
お引き取り下さいませ。
城で最後に会うたのがお前とはの。
椋梨の失脚によりすべての幕府恭順派は一掃されようやく内戦は終結を迎えた。
(産声)そして…。
銀姫様無事おのこご出産。
お世継ぎ様のご誕生にございます。
おお…でかした!よう頑張られました。
(潮の泣き声)
(銀姫)お前が泣くな。
(笑い声)毛利家に生まれた待望の男子は興丸と命名された。
姉上。
(亀)文さん!よういらして下さいました。
お元気そうで。
はい!何か急な御用が?父上のお体がちいと…。
えっ?
(亀)このところひどくお疲れのようで…。
もし見舞うて頂けたら父上もお喜びになるのではと。
父上が…。
無理ですよね。
お宿下がりなんて。
私はまだ奥から外へ出られる立場では…。
うんよしよし。
美和。
湯じゃ。
あっ…はい。
何をぼんやり考えておる。
こうしておるとつい父の事を…。
父。
お前のか。
赤子の世話などとてもするような人には見えんかったのに孫が生まれたとたんやれ湯を注げ水をさせ手拭いじゃってそれはもう大騒ぎで。
楽しい父上じゃ。
よい家族じゃの。
(潮)姫様。
何をされているのです。
興丸様のお世話なら乳母が致します。
このような事が御前様に知れたら…。
(都美姫)銀姫!
(園山)まあ〜…なんという事を!姫が手ずから湯に入れるなど!できるだけ己の手をかけこの子を育ててまいりたいと思うだけでございます。
ご…ご自分でお育てする…。
私は興丸の母でござりますれば。
お世話は守り役に任せよ。
承知致しました。
では守り役と共にこの子を育ててまいりとう存じます。
うん。
守り役の美和と共に。
えっ?
(森木)美和様をお守り役に!?
(志乃)まだ決まった訳ではない。
そのような大役御前様や園山様が美和様に仰せつけるはずもない!
(日出)何をしておる!興丸様のおしめが足らぬ。
ぐずぐずするでない!
(一同)はい。
本来なら日出様がお守り役になられてもよいのに。
無理でございます!どうぞお考え直し下さい。
(銀姫)ならぬ。
奥勤めの長い方ならほかにいくらでも。
それに…。
何か障りがあるのか?いえ。
どうかお考え直しの程。
美和。
私は気まぐれで言ったのではない。
こたびの戦で思ったのじゃ。
これからの城の政は変わる。
ならば興丸を育てる守り役もまた古いしきたりにとらわれる事なく闊達に自在に臆せず物事に向き合おうとする者に託したいと。
守り役となれば己の暮らしを顧みるいとまなどなくなるやもしれぬ。
それでも力を貸してくれぬか?興丸と私とこれからの皆のために。
かしこまりました。
私でお役に立てるのでしたら。
一方そのころ獄にあった者たちも次々釈放されていた。
(伊之助)あなたは出ないのですか?
(久子)私はここに残ります。
これからもずっと?ええ。
でも…この13年獄の中で命を懸けて世の中を変えようとする方々をあまた見てまいりました。
最近ふと思うのです。
それほどまでにして命を懸けてつくり直そうとする世の中があるというのならどのようなものか見てみたいと。
ぜひ。
ぜひ!どうか末永くお達者で。
まことにございますか?
(鞠)小田村伊之助様無事出獄された由にございます。
兄上が…。
(敬親)京での敗北以来我が藩は幕府への恭順をもって生き延びんとしてきた。
じゃがこのままでは日本国の危機を救う働きはできん。
これからは幕府に対し恭順を示しつつもひとたび事あらば武力をもって決然とあらがう事も辞さず。
これを藩是と致す。
(一同)御意!
(元徳)他藩を巻き込む策も欠かせぬかと。
(前原)おそれながら。
太宰府に移られた五卿よりお墨付きを頂くというのはいかがでしょうか。
更にもう一つ。
幕府との戦に備えいま一度山口への城移りをお考え頂きたく。
そうせい。
(一同)はっ!萩へ参ったと思うたらまた山口か…。
興丸様は新しいお城でお育ちになるんですね。
萩はよい所じゃった。
もう戻る事はないかもしれんがの…。
(日出)美和殿。
急ぎ美和殿にお目にかかりたいという者が七つ口に。
えっ?亀様と申されております。
姉上様かと。
お父上のご容体の事ではありませんか?・
(銀姫)美和。
はい!会えませぬとお伝え下さい。
美和がお宿下がりを望んでいると?心の内ではきっとそのように。
おかわいそうに。
お父上が病では心労も重なりましょう。
お守り役も務められるかどうか…。
(都美姫)美和。
はっ。
守り役の話だが美和が山口に参った後身を賭して務めるというのなら考えてもよいと思うておる。
(銀姫)まことでございますか?ただし美和が今後一切の私情を捨て奥と興丸のためだけに尽くす覚悟があるならの話じゃ。
美和?まずはこの城移りをつつがなく終えよ。
それがなった後改めて考えよう。
よいな?はっ。
(寿)美鶴様。
椋梨様の行方をお伝えに参りました。
津和野で…。
(美鶴)捕らえられたのですね。
どんな気持ちです?私にそれを伝えて。
ただ夫を信じ支える事。
それを教えて下さったのは美鶴様でした。
憧れておりました。
あの人は城から逃げたのではない。
ただ己が巻き込んだ者たちを逃がしてやりたかったのです。
そういう人です。
これからどちらへ…?どこへも。
どこへ落ち延びようとたとえ石もて追われようと私は椋梨の妻美鶴です。
生きてこの世を見届けます。
どうぞお達者で。
寿が見たそれが美鶴の最後の笑みとなった。
(潮)明日萩をたち我らは山口へ向かう。
新たな奥の始まりである。
皆心して励め。
(一同)はい!
(銀姫)美和。
はい。
半日の宿下がりを許す。
家へ戻り父上を見舞え。
潮より子細を聞いた。
つらかったであろうの。
銀姫様…。
山口へ行けば二度と萩へ戻る事はない。
今のうち会うてまいれ。
明日の出立までには戻れ。
おそれながら。
それはできませぬ。
何じゃと?美和。
これは恩情ではない。
命令じゃ。
お前の家族の話をもっと聞かせてほしいのじゃ。
家族?幼き頃私は生まれた城を離れ江戸で養女となった。
物心付いて周りの者らが家の話を始めると羨ましく寂しかった。
興丸にはそのような思いさせとうない。
殿と私で大切に慈しみさまざまな家族の話を聞かせてやりたいのじゃ。
私が語れぬ分お前からも。
私の話を…。
お急ぎなさい。
家には知らせを出しております。
申し訳ございませぬ!美和?違うんです。
遠慮なんか…遠慮なんかしておりません。
怖いんです。
怖い?帰ったらもう二度とお城には戻れんくなってしまいそうで…。
奥に入れて頂きここまで無我夢中でした。
今までの自分や家族も捨てる覚悟で奥に入って…。
やからどんなに心細うても決して弱音を吐いてはならん。
そう言い聞かせてやっとの思いでここまで…。
美和…。
やのに今…家の明かりや懐かしい温かいものに触れてしもうたら私…とてもその手を振り払う事なんて…。
お前…。
それでもよいではないか。
振り払えず二度とここに戻れなくなったとしても。
姫様…。
そのように懐かしく温かいものを何より大事にするそなただからこそ私はお前を信じた。
姫様…。
ここまでよう…まことによう尽くしてくれました。
急ぎなさい。
父上を大切に。
(小太郎)母上!どねぇしたん…。
文さん!ただいま戻りました。
文さんが!
(滝)文!母上。
まあまああか抜けてしもうて。
(豊)ええ匂いが致します。
えっ?ええ。
風呂に入れるんが惜しいぐらい。
風呂?もうですか?帰ったら入るんです。
それがうちの決まりです。
はい。
(百合之助)おう。
もうしばらくすりゃあちょうどええ湯加減じゃ。
父上…。
今日の風呂は自分が沸かすとまあ朝からわがままを。
(百合之助)おい火が消えかかっとるぞ。
梅太郎まきを足せ。
はい。
滝!水をもちいとな。
旦那様!かぶを抜いてくれんですか?夕げの汁にしますけぇ。
よし!わしが抜こう。
梅太郎あとは頼む。
えっ!?やりっぱなしですか?男がこまい事を言うな!あっあっ…父上!大丈夫ですか?うむ。
手伝うてくれるか?はい。
ぬくい。
土がぬくいぞ。
本当に。
お前には謝らにゃならん事がある。
ずっと昔の事じゃ。
まだ幼いお前に寅次郎の力になれと言うた事がある。
それがお前のためでもあると思うての。
もう少し早うここから解き放ってやればお前はもっと穏やかで幸せな暮らしを送る事ができたかもしれん。
父上…。
私はこの家に生まれた事を今まで一度も不幸と思うた事はありません。
この家に生まれて父上の娘で幸せです。
これからもずっと。
文…。
文…。
もっと呼んでつかぁさい。
子どもの頃みたいに。
文。
はい。
花が…。
桜か。
まことは私…戻ろうと思うて来たんです。
この家に。
父上の娘に。
ハハハハ見よ。
散っておりますね。
散っちゃおらん。
解き放たれとるんじゃ。
人も花と同じじゃ。
放たれて旅立つ。
己を惜しみなく降り注ぐ事ができる場所への。
父上。
美和!美和はどこへ行った!銀姫。
美和を知らぬか?出立だというに興丸のお世話をいかが致すのじゃ。
美和ならばおりませぬ。
おらぬ?興丸は私が連れてまいります。
銀姫。
興丸様でしたらこちらに。
お前…。
美和…。
興丸様今朝は大変機嫌ようされております。
今までどこにおったのじゃ。
この大事な時に興丸に何かあったらいかが致すつもりじゃ。
私がおそばについておりますゆえ。
これからもずっと。
美和…。
興丸はお世継ぎというだけではない。
新しき政を始める長州の皆の心を一つにまとめる希望である。
この命守れるか。
この身に代えましても。
本日この時より美和を興丸の守り役と致す。
御前様…。
皆様そろそろ出立でございます。
皆の者参るぞ!幕府との戦に備え長州藩は再び山口に城を構える事となった。
高杉は新たな野望を抱いて長崎へ向かい伊之助は藩の命運を背負って太宰府を目指す。
そして…。
旦那様。
これからが始まりでございます
坂本龍馬ぜよ。
薩長同盟組むなら急がねば。
(桂)この話はなしじゃ。
長州一の英雄。
(椋梨)私一人を斬首せよ。
(都美姫)ご公儀との戦はもはや避けられぬ。
藩の内戦を収めるため萩では吉田松陰の兄梅太郎らが中心となって和平交渉が進められました。
彼ら武士団は鎮静会議員と称し毛利家の菩提寺東光寺に集まります。
彼らは藩に意見書を提出して政権交代を求めました
藩主毛利敬親はこれを受け入れ椋梨藤太は窮地に追い込まれます。
そんな折鎮静会議員が萩郊外で襲われる事件が起きました。
諸隊は首謀者の処罰を求め城下へ進軍。
椋梨は捕らえられかつて松陰らがつながれた野山獄に投じられます
幾度となく繰り返されてきた藩の政権争いはここに終止符が打たれたのです
2015/08/16(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
花燃ゆ(33)「花となるために」[解][字][デ]
高杉晋作(高良健吾)が起こした内乱が終息した。そして銀姫(田中麗奈)が無事男の子を出産すると守り役に美和(井上真央)を指名。異例の大抜てきで奥御殿は大騒ぎに…!
詳細情報
番組内容
美和(井上真央)の働きもあり、高杉晋作(高良健吾)が起こした内乱は終息する。保守派の椋梨藤太(内藤剛志)は政権から追放されることになったが、藩主・毛利敬親(北大路欣也)との面会を求め、憤然と奥御殿に入ってくる。そこで最後のたてとなった美和と最後の対決が…!そして、銀姫(田中麗奈)は元気な男の子を出産。皆が喜びに沸き立つ中、銀姫は美和を世継ぎの守り役に指名。異例の大抜てきの発表で奥御殿は大騒ぎに…!
出演者
【出演】井上真央,大沢たかお,高良健吾,北大路欣也,原田泰造,優香,久保田磨希,劇団ひとり,佐藤隆太,大野拓朗,音尾琢真,北見敏之,内藤剛志,檀ふみ,長塚京三,若村麻由美,永岡佑,石井正則ほか
原作・脚本
【脚本】宮村優子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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