NHK短歌 題「怒る」 2015.08.16


「NHK短歌」司会の剣幸です。
今日も短歌をご一緒に楽しみましょう。
さて早速ご紹介致します。
今日のゲストは俳優の加藤清史郎君です。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
小さい時からテレビとか舞台で拝見していますが何歳になりましたか?今月で14歳になりました。
14歳…うわ〜自分の事は忘れちゃいますけど月日がたつのは早いなっていう感じですけど栗木さん「NHK短歌」始まって以来の最年少のイケメン君が来てくれました。
いや〜でも存在感大きいですね。
小さい時から拝見してるんで親戚のおばさんみたいな感じで成長を見守ってますよね。
ほんとにそうですね。
14歳っていうと学校とかで短歌は習いますか?この間習ってついこの間のテストに出てきました。
どんな事が出るんですか?「この歌は誰の歌だ?」とか「この言葉の意味を30字以内で答えよ」みたいな…。
ありがちありがち。
作ったりはしないんですか?作ったりはしなかったですね。
じゃあ今日はこの番組に出て頂いてですね是非是非また作って頂けたらと思います。
この3週目はそういう短歌になじみのない方とか初心者の方にも楽しんで頂きたいと思ってます。
だから清史郎君も今日は我々と一緒に楽しんで学んで帰って下さい。
よろしくお願い致します。
ではえりちょす。
はいお願いしま〜す。
私より年下なのにすごくしっかりされてるので…。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
これから栗木さんに選んで頂いた入選九首をご紹介します。
その中で一番いいなと思ったものを私と清史郎君とえりちょすが予想するという感じです。
事前に入選九首は見て頂いてますよね。
そしたら私が読んだあとにこれが一番いいなと思った時にこの札を挙げて下さい。
分かりました。
よろしくお願い致します。
それでは今週の入選歌のご紹介です。
栗木さんが選んだ入選歌はこちらです。
まず一首目です。
はい!選びました。
私ふだんお父さんに怒られてばっかりなんですけどこの年齢になったら私もお父さんを恋しく思う時が来るのかなと思って選びました。
ほんとえりちょす言ってくれたようにねこの年齢になってっていう喜寿っていうのは77歳という事ですよね。
自分もその人生経験を積み重ねて今になって改めて父への恋しさが募ったというねそこがこの歌のいいところですよね。
では次です。
自由題で頂きました。
清史郎君そば屋って行きますか?あんまりそば屋に行く事はないですね。
十一時に暖簾が掛かるっていうのはなじみがないですね。
これは日常の中のさりげない一コマを的確に捉えた歌で「暖簾を掛ける」ってところがねいかにもおそば屋さんの開店という感じでねそこに町の雰囲気がよく出ているなと思います。
では次です。
これはふたりの子供さんが反抗期だった頃にきっと柱とか壁にパンチか何かしちゃって傷を付けたんでしょうね。
でも今はそれもいい思い出になっているという歌で「深浅あまた」っていうところが深い傷浅い傷いっぱいありますよというふうに表しておられてここにね何か思いの余韻があるんですよね。
収め方がうまい歌だなと思いました。
では次です。
清史郎君は怒り肩ではなく程よいきれいな形ですけどね。
スタイルもいいし。
この方の子供さんは怒り肩で先祖の田畑は失っちゃったけれどもそういう体型的な特徴は子供にしかと受け渡しているんだというねその思いもなかなかしみじみしたものがありますよね。
「怒り肩」っていうところで題の「怒る」をこなしているのがとても工夫の跡が見られますよね。
では次です。
自由題で頂きました。
これは本当に季節感をね生き生きと捉えた歌で躍動感のある場面梅雨の久しぶりの晴れ間だと燕も忙しいんですよね。
いろいろ巣作りでね餌運んだりね。
とっても言葉がハキハキしている歌で特に上の句に名詞がテンポ良く並んでいて調べの上からも勢いのある歌だなと思いました。
では次です。
ありますよねこういう事ね。
テレビ見ながら怒っちゃったりね。
最近まあ何か腹の立つ出来事も多いですからね。
この方はそれをプラス思考で捉えておられて怒りさえも健康のために役立てようとしておられる。
その怒り方の加減がとても絶妙でいいなと思いました。
では次です。
今回ねなぜか投稿歌の中に怒りは6秒で薄らぐとか6秒がピークでそのあとだんだん下降線を下るとかそういう歌が何首かあって今そういう説が流布してるのかなと思っちゃったりしたんですけど。
どうですか?皆さん6秒。
種類によりますよね。
怒ってるものに対して…。
でも僕は結構ニワトリっぽいんで3歩歩いたら忘れるかもしれない。
さっぱりした性格なのね。
私も結構寝て起きたら忘れちゃいます。
私もそうですね。
いいですねみんな回復力が…。
下の句でこれ腹式呼吸をしておられるんでしょうね。
この動作が実感が籠もっていてそこもいいなと思いました。
では次です。
(剣加藤)はい!あら重なった!重なっちゃった〜。
どうですか?この歌。
僕野球大好きなんですよ。
阪神ファンなんですけど広島のファンの方もそうみたいですけど阪神ファンはとにかく試合のあと勝っても負けてもすごいしゃべるんですよ。
細かい事を語る。
そういう事を僕も体験した事があるので共感したのでこれにしました。
私全く一緒です。
私もスポーツ大好きで野球も好きなんですけれどファン心理をものすごくうまく書いてありますね。
「すべてに怒る」という事はいろんな試合を全て見ていてそれに対してああだこうだこれものすごくやっぱり自分のひいきのチームを応援しているというところと広島市なんで公園のベンチに座って三人が言ってる雰囲気がすごくよく目に浮かびます。
2人がおっしゃって下さったとおりでね「すべてに」っていうところがいいところなんですよね。
ここにね全ての愛情が籠もっている。
怒るって事はそれだけ好きだっていう事の裏返しなんですよね。
では最後です。
分かりますよね。
一見些細な事だけれども怒り出すほど大事な事ってありますよね。
どうですか?目玉焼きは。
目玉焼きは僕は醤油です。
同じです。
私も醤油かけます。
私ソースなんですけどね。
私もソース。
若い人が醤油なの?まあ譲れないものがねあるんでしょうけどね。
でもこの作者はとってもその相手と仲よしでねうらやましいなと思いました。
以上入選九首でした。
それでは今週の特選歌です。
栗木さんまずは三席お願いします。
梨守道さんです。
では二席をお願いします。
熊谷純さんです。
あ〜出ちゃいました。
二席でした残念ですね。
一位と同列ぐらいいい歌だと思ったんですけどね。
では一席お願いします。
及川三治さんの歌です。
初めて当てられました。
うれしい!複雑な心情の機微をうたった歌でねえりちょすがいいって言ってくれたのも何かうれしいですけどこれは褒められたかったとか一緒にお酒を飲みたかったっていうんじゃなくて怒られたかったと思うっていうところにね先ほども言ったように77歳になったから言える気持ちが人生の深さがあるのかなと思いましたね。
ありがとうございました。
栗木さん私も今回作ってまいりましたのでよろしくお願い致します。
楽しみです。
怒るって裏にものすごく哀しさがあるような気がいつもしてて特に両親とか自分の事を見ててくれた者に対してそれを仁王像はいつも怒ってる顔してるんですけどその裏に哀しげな…それは私の気持ちだったのかもしれないなとも思いますけど。
よく分かります。
剣さんの歌はねいつもそうなんですけど場面がねとても立体的でそこが魅力なんですよね。
この歌も「金網ごしに」というところが仁王像と自分相手と自分って程よい距離感が出てていいと思うんですね。
ちょっと惜しいなと思うのは「哀しげに金網ごしに」っていうところで「に」が続くでしょ?ここがやや気になるんですよね。
ですから語順を入れ替えたらどうかなと思いました。
こんなふうにしてみました。
「金網ごしに」を最後に持ってきてそれで四句目はここで切れるという事をはっきりするために「我を見つめる」というふうに一回終止形で止めて言い添えると「に」の重なるのが気にならなくなりますよね。
倒置でやってみる。
今後の参考にさせて頂きたいと思います。
では続いては「入選への道」。
投稿作品にこうすれば入選に近づくというポイントを伺います。
今日の歌は?僕「詰る」っていう意味が分からないんですけど…。
今あまり日常では使わないんですけれどもねこれは問い詰めるというような「どうしてなの?どうしてなの?」ってわりときつく詰め寄るというような意味があるんです。
この歌は怒るよりも優しさで包んでくれたというお母さんへの感謝の気持ちを表しててとても思いの籠もった歌なんですけど今清史郎君も言ってくれたように「詰りし」って「詰る」っていう言葉がちょっと目立ちすぎるんですよね。
ですからあまり声に出してわ〜っと言ったというよりも無言でお母さんが包んでくれたという歌にした方がいいかなと思うのでちょっと直してみました。
見据えるってじ〜っと目をそらさずに見てくれるっていう。
言葉はないけれども視線で母はいろんな事を教えてくれたっていうのが伝わってね。
より温かくなりますね。
そうですよね。
ありがとうございました。
短歌作りの参考になさって下さい。
ここで投稿のご案内です。
続いては選者のお話。
栗木さんのテーマ…怒りが湧いてきた時にそれを発散させようとしてむやみやたらに体を動かしちゃう事ってありますよね。
お掃除しちゃったりね。
東さんの場合もつい力が入りすぎてお茶わんゴシゴシ洗ってたらあれもこれも割れてしまった。
そうするとまた自分の中に自分への怒りが湧いてきてそれがねさみしさにつながっていくっていうね。
この気持ち分かるなっていうとこありますよね。
「割れてさびしいごめんさびしい」という「さびしい」の繰り返しの中に何かいじらしさもあるし怒りを自分で見つめ直すっていうそういう客観性みたいなものも感じられて共感を覚えた歌でした。
ありがとうございました。
それでは次のコーナーにまいります…今回は短歌によく使われる技法で「比喩」っていうのがあるんです。
それをちょっと勉強したいと思うんですが比喩っていうのは簡単に言うと何かを何かに例えるという事で大きく2種類あるんですよね。
えりちょす知ってます?「胸キュン」で勉強したので分かります。
直喩と隠喩ですよね。
そう当たりです。
清史郎君聞いた事ありますか?はい習いました。
みんなすごいわね。
すごい!改めて説明しますと直喩っていうのは「〜のようだ」「〜みたいだ」とかもうちょっと硬い言い方だと「〜のごとく」というようなそういう言葉を使って例える事なんですね。
隠喩の方はそういうのを使わずに直接的に表すという事で例えば「雪のような肌」って言うと「ような」が入るので直喩。
「雪の肌」とそのまま言っちゃうとこれは隠喩という事になります。
似てるようで全然イメージが違うんですね。
インパクトが違ってきますよね。
今回はねその2つのうちの直喩の方ね「〜ような」とか「〜みたい」を使う方の例え方についてちょっと学んでみたいんですが練習問題を作ってその穴埋めをしながら皆さんに考えてもらいたいと思います。
まず一首目ですね。
杉恒夫さんの短歌ですけど…空欄の所に言葉を入れてほしいんですが…。
難しいですね。
ありきたりじゃ駄目なんで…。
なかなかね簡単そうで難しいんですけど。
じゃあ駄目な例を私は言います。
いやいやそうおっしゃらず…。
「あたたかき真綿」「真綿のような雪ふれば」。
そうですね白くてね。
清史郎君はどうですか?僕は「あたたかき」というとこからとって「笑顔」にしました。
笑顔…ふわっとね。
えりちょすは?私「綿毛」ですかね。
同じですね。
はい一緒ですね。
ふわふわの感じですね。
皆さんとてもいいですね。
発想がね。
雪って冷たいはずなのに「あたたかき〜のような雪」って来るからおかしいなって。
そこからいろいろ真綿や綿毛はあったかいじゃないかとか笑顔だってふわっとして人の心を温めてくれるじゃないかというあたたかさにつなげたところがいいと思うんですよね。
それでは正解は「あたたかき毛糸のような雪ふれば」。
ですから真綿とか綿毛…真綿なんか一番近いですかね。
なるほど雪っぽくなくてもそういう感覚を持って大丈夫っていう事ですね。
白い糸だとふわふわしてて毛糸みたいでそれで肌触りも何となく温めてくれるっていうふうなね。
清史郎君の「笑顔」って物じゃなくてそういう表情で例えてくれたのもすばらしいと思いますよ。
さすが役者さんだなって思っちゃいました。
そういうのがにじみ出るんですよね。
それではねもう一首いきたいと思いますが…。
まずえりちょす。
私「愛犬」だと思いました。
清史郎君は?僕は例えばスーパーとかスーパーじゃないおもちゃショップとかで「これ買って!」って「帰るよ」って言っても帰らない子供っているじゃないですか?だから「子供」にしました。
なるほど。
なるほどね。
そっか。
私も同じですね。
「子犬」。
行きたくないってくわえるリードが掃除機のホースみたいな感覚で…。
正解がいらっしゃいます。
えっ?では正解を。
これはね「子犬のような抵抗をする」。
えっすごいです。
まさにねリードと掃除機のコンセントの発想で大きさ的とか丸っぽさとかねそういうのもね。
えりちょすの「愛犬」っていうのもいいんだけれどもそうすると字余りになっちゃうの「愛犬のような」。
ですからね内容的にはいいんだけれども「子犬」というふうにした方が調べが整う。
清史郎君の「子供」っていうのもお母さんの手と引っ張られてゴロゴロしてる子供っていうね。
じゃあもう1問いきましょうか。
これは難しいかもしれないんですけど…。
これ難しい。
何かありそうでないですけどね。
ありますか?えっじゃあえ〜と…「父親」。
優しい時と怖い時があるんで。
威厳があって怖い時もある。
えりちょすは?私「体育の先生」です。
具体的にきましたね。
私はちょっとそういう人とかじゃなく「富士の樹海」。
お〜すごいね深いですね。
でも全然違うんだなきっと。
それぞれ何か皆さん人生経験がにじみ出てこれはねじゃあね…。
正解をお願いします。
「たとえば無人改札機みたいな」というねピッとやるのありますね。
ちょっと難しいかもしれない。
だからね人間じゃないものに例えたというところがこの歌のポイントかなと思いますね。
何となく人間じゃない気はしたんですよ。
「富士の樹海」っていうのもすばらしい。
楽しんで勉強できました。
清史郎君どうでしたか?最後の問題もですけど楽しかったですね。
短歌に触れて今度は書きたいなって思いました。
そうですよね。
まず自分で作らないとね。
是非いっぱい作ってまた来て下さい。
はい!短歌って面白いでしょ?面白いですね。
言葉で表せるってすごいですね。
いいなと思いました。
言う事もさすがですね。
10代にしか作れない今の気持ちというのがありますからね。
是非是非楽しみにしてます。
またいらっしゃって下さい。
今日はありがとうございました。
ありがとうございました。
栗木さんもありがとうございました。
それでは来月またこの時間にお目にかかります。
2015/08/16(日) 06:00〜06:25
NHKEテレ1大阪
NHK短歌 題「怒る」[字]

選者は栗木京子さん。ゲストは俳優の加藤清史郎くん。子役として人気の加藤くんは現在14歳。今回は短歌初心者の加藤くんに短歌の楽しさを伝える。司会 剣幸

詳細情報
番組内容
選者は栗木京子さん。ゲストは俳優の加藤清史郎くん。子役として人気の加藤くんは現在14歳。今回は短歌初心者の加藤くんに短歌の楽しさを伝える。【司会】剣幸
出演者
【ゲスト】加藤清史郎,【出演】栗木京子,【司会】剣幸

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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