・「胸に残る蟠り」・「一日寝れば取れる」
(二郎)
当たり前のようにワサビを醤油に溶かしていた。
何の疑問も持たずに…
(大貫)え〜!ちらし寿司っすか?病院食ばかりじゃうんざりだろ?超うれしいっす!しかしまさかアパート全焼とはな…。
(みふゆ)びっくりしたわ。
俺が消防署の番号探すの手間取ったから…。
先輩のせいじゃないっすよ。
そんな事よりこのちらしめちゃくちゃうまそうじゃないっすか!まさか病院でありつけるなんて思ってなかったっすよ。
(大貫)よっと。
えっ…。
(大貫)ワサビを載せてっと。
頂きま〜す!ちょっと待った〜!な…何すか?ワサビを醤油に溶かさないのか?え?ちらしってのはワサビ醤油をかけて食うもんだろう。
あ〜いや前はそうしてたんすけどね。
一度うっかりワサビを入れ過ぎて…。
回想ううっ!
(大貫)全体にかけてしまった以上後戻りも許されず最後まで激辛のまま味わうはめになって…。
その日以来やめたんす…。
私も子供の頃はワサビ醤油だったけど大人になって周りのやり方見てるうちにワサビを醤油に溶かすのは子供っぽいかなって…。
こ…子供っぽいだと?た…ただのかっこつけじゃないか!にいさんさっきから声でかいよ。
あっすいません。
じゃあさウニはどうすんだ?ウニをいちいちつまんで醤油につけてたらこぼれて食べにくいだろ?ガリを使うわよ。
ガリ?ガリを醤油に浸してはけの要領で塗るの。
軍艦巻きもそうっすよね。
ああ一緒一緒。
(大貫)割と常識っすよね。
自然に覚えちゃうもんだよね。
もしかして俺の住んでる世界ってみんなとは全く別の場所にあるんじゃなかろうか。
みんな当たり前に知ってる事を俺だけが知らない。
ちらしの食べ方もガリの使い方も…
お前たちいつもどこへ帰るんだ?えっ?いつも俺と別れたあと別の世界への入り口が開いてそこへ帰っていくんだろう?はっ!教えろみふゆ!どこだその入り口!にいさんて!・どくフラワー!・こっち向いて!・こっち向いてどくフラワー!・お〜い!こっちこっち。
この人たちも俺とは別の世界へ帰るんだろうか。
俺だけがこの世界に独り残されて…
(ため息)
(靖雄)二郎さんお疲れさまです。
(近藤)靖雄お前次からどくフラワーに入れ。
(靖雄)えっ!今何て?どくフラワーでいる事にあぐらをかくな。
お前にはお客さんの顔がまるで見えていない。
もっと一人一人の顔をよく見るんだ。
お前にとっては毎回同じようなイベントでも来てくれているお客さんは毎回違うんだ。
しばらくどくフラワーから離れてみるのもいいだろう。
ま…待って下さい!近藤さんはちらし寿司のワサビはどうしてるんですか?醤油に溶かしてかけるのか。
溶かさずネタに載せて食べるのか。
どっちですか!俺は溶かさずにネタに載せて食べる派だ。
くくっ…くっ。
(近藤)なあジロちゃん。
寿司屋のカウンターでちらし寿司を食べた事あるか?
(大将)いらっしゃい。
ちらし2つお願いできますか?はいちらし2つですね。
ここ高いんじゃないっすか?
(大将)お待たせしました。
開けてみろ。
お〜!ランチとはものが違う。
大将ちらしってのはどうやって食べるのがいいんですかね?いや〜決まりなんてないですよ。
お好きに召し上がって下さい。
大将はどうやって食べます?私は…醤油にワサビを溶かして上からかけてかっ込みますね。
え!醤油の染みた酢飯が好きなんですよ。
それに丼ですしね。
ちらしの具には刺身である事を諦めてもらいますね。
…だそうだ。
好きに食べればいいんだよ。
しかし極上のネタにワサビ醤油はもったいなさすぎる。
う〜ん!どうだ?ワサビの香りがダイレクトに来ますね。
この食べ方悪くない。
手間はかかるがその分一つ一つのネタが丁寧に味わえる
あの…気付いた事が。
(近藤)何だ?ワサビ醤油が合わないネタもあるって事です。
例えばこの玉子。
そうだ。
よくそこに気付いたな。
俺がちらしにワサビ醤油をかけなくなったのも玉子はただの醤油で食べたいからだ。
そうか…。
今までは一つ一つのネタをよく見てなかった。
味も食感もみんな違うのに。
(笑い声)俺たちの仕事も同じだ。
え?今何か言いました?
(近藤)まあいいから飲め。
ああ!すいません。
(呼び出し音)今日はごちそうさまでした。
(近藤)お疲れ!お疲れさまです。
おっ!おっと…。
まだ起きてるかな。
おかけになった電話番号は現在使われておりません。
あれ?変だな…。
おかけになった電話番号は現在使われておりません。
番号をお確かめの上…。
突然の事だった。
どくフラワーを降ろされたその日の夜みふゆが消えた
いらっしゃい。
(ケンドーコバヤシ)大将ちらし寿司。
はいよ。
みんなはちらし寿司どうやって食べてるんやろ。
マグロから食べます。
半分ぐらい食べ終わったところでワサビ醤油に溶いて上からかけて…。
外で食べんのもおいしいですね。
魚河岸で食べてるっていう感じがするんで。
いろんな種類を食べながら…醤油がついてとてもおいしく食べれると思います。
マグロが大好きです。
さすが大将。
俺が見込んだ男だけあってなかなかやるなあ。
ありがとうございます。
ただ俺にもこだわりがあるんや
ネタだけを先に食べる
酢飯はガリと食べる
ガリ酢飯最高!
みふゆはショートケーキの苺を最後まで取って置く人だった。
それを見て「この人は信じられる」そう思った。
俺にとって苺は特別な存在だ。
幼い頃は親が買ってきた苺のショートケーキを家族で食べるのが何よりも楽しみな時間だった。
苺を食べてしまうとその時間が終わってしまう気がしてぎりぎりまで苺を食べずに取って置いた。
だから同じように苺を最後まで取って置くみふゆを信じられると思った。
しかしそのみふゆが音信不通になってしまった
(千夏)またけんかでもしたの?うん…。
この間ちらし寿司の事で変な切れ方されて…。
電話番号とメアド変えちゃった。
(千夏)マジ?別れるの?分かんないけど…。
私ジロちゃんとは合わないのかも…。
(千夏)食事の相性って大事だもんね。
合わないと思うんならやめちゃえば?千夏って最初に苺食べちゃうんだね。
うん。
だって邪魔じゃない?あると食べにくいからさっさと食べちゃうの。
みふゆは違うの?私は…。
心の声あっ…この人私と同じだ。
みふゆ?
(子供たちのはしゃぐ声)
(亜希)押さないで〜。
ほら!ひまりんも握手したいって。
ひまり〜ん!
(子供たち)ひまりんじゃやだ!どくフラワーがいい!
(亜希)あ〜んもう〜。
はぁ〜。
(靖雄)二郎さん。
靖雄。
話…あるんですけど。
(靖雄)やっぱりどくフラワーは二郎さんがやるべきだと思うんですよ。
何言ってんだ。
お前のどくフラワー調子いいじゃないか。
正直俺がやってた頃より…。
(靖雄)駄目なんです。
え?鼻水が出ないんです。
鼻水?二郎さんどくフラワーをやったあと必ず鼻水を垂らしてるでしょ。
え?そ…そうなの?そうなんです。
それがどうしたってんだ?まだ分かりませんか?どくフラワーは鼻水垂らしキャラじゃないですか。
二郎さんはいつもどくフラワーになりきっているんです。
完全にシンクロしてるんですよ!だから自然と鼻水が垂れるんです!俺は鼻水出ないんです。
悔しいですけど…。
お前いいやつだな。
気持ちはありがたいよ。
だけど今の俺には…。
(近藤)自信がないか。
あっ!近藤さん!
(近藤)悪いが俺には今の二郎にどくフラワーが務まるとは思えん。
好きな女が離れていくのをただ黙って見ているだけの男にはな。
(近藤)どうするんだ?二郎。
諦めるのか?どくフラワーもみふゆさんも。
みふゆは多分俺に失望してて…。
もうきっと俺の事嫌いだと思います。
そうかな。
苺は俺にとって特別でな。
子供の頃は苺のショートケーキにわくわくしたもんだった。
スーパーできれいに並んだ苺のパックをいつか自分の稼いだ金で買うのが夢でな。
大人になって自分の金で買ってみてがく然としたよ。
きれいに並べられていたのは上の1列だけだったんだ。
苺狩りにも行った。
取れたてはさぞおいしかろうと思ったら…。
(近藤)ぬるかった。
夢はあくまでも夢。
現実の苺はパーフェクトな存在なんかじゃない。
だがそれでも俺はいまだに苺を最後まで取って置いてしまうんだな。
好きっていうのはそういう事だろ。
そう簡単に嫌いになれるもんじゃ…。
二郎!?
(ドアの開く音)世話のかかるやつだ。
ハアハアハア…。
心の声みふゆ…。
みふゆ〜!
行け。
行くんだ二郎。
スイーツを制する者が世界を制するんや
そや。
大将ショートケーキ買うてきてん。
ありがとうございます。
一緒に食べへん?ありがとうございます。
みんなはショートケーキどうやって食べてるんやろ。
手でつまんでそのまままるまる…。
苺のショートケーキは好きです。
めったにない機会なんですけども。
非常に研究熱心でまじまじと見せてもらいました。
ケーキというのは層になってますので上から下までを一口で口の中に入れるのが僕はおいしいんじゃないかと…。
俺は何事にもおくてだった。
でも今日から俺は…
う〜ん苺うまっ!
そういやあの2人どうなったんかな…
ハアハアハア…。
みふゆ!みふゆ…みふゆ…みふゆ…。
あっ…。
みふゆ。
そ…その…。
何て言うか…。
みふゆと苺のショート…食べたい。
え〜っ!苺が特別だから最後まで残すんじゃないのか!?大きい声出さないで。
あっごめん!じゃ…じゃあ一体何で…。
実は私生クリームって得意じゃなくて…。
先に苺食べちゃうとクリームの多いとこが甘すぎて食べられないの。
だからクリームと一緒に食べるために苺を最後まで取って置くの。
それが理由。
あ…。
あ…駄目?いや…。
フッ…そうか。
そういう理由か…。
そういう理由もあるのか。
アハハハハ…!駄目な訳ないだろ。
俺は俺みふゆはみふゆだ。
(店員)お待たせ致しました。
2人でゆっくりゆっくりと味わった。
この時間が少しでも長く続くようにと…。
だけど苺のショートはしばらくいい
2015/08/16(日) 03:35〜04:00
NHK総合1・神戸
アニメ 目玉焼きの黄身 いつつぶす?「最終夜」[字][再]
当たり前と思っていた食べ方は、実は当たり前ではないのかもしれない…ある日、自分の食べ方に疑念を抱いた男が、滑稽なまでに苦悩する姿を描く異色のアニメ!
詳細情報
番組内容
▽「ちらし寿司(ずし)にワサビ醤油(じょうゆ)かける?」:二郎は、ワサビ醤油(じょうゆ)を直接、ちらし寿司(ずし)にかけて食べていた。しかし、自分以外の人が、ワサビをネタにのせて食べていることを知り…。 ▽「ショートケーキの苺(いちご) いつ食べる?」:思いがすれ違う二郎とみふゆ。二人は、交際のきっかけとなった“いちごのショートケーキ”のことを思い出していた。
出演者
【声】福原耕平,白石涼子,松原大典,【出演】ケンドーコバヤシ
原作・脚本
【原作】おおひなたごう,【脚本】ラレコ
監督・演出
【監督】ラレコ
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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