よくゴールが決まる今季のJ1
ここ最近、J1リーグのゴール数が、うなぎ登りになっている。
昨シーズンの2014年前期(1−17節)のJ1総ゴール数は、375点だった。そこから後期(18−34節)は399点に増え、さらに15年J1ファーストステージは407点に増加した。セカンドステージはまだ序盤だが、仮に7節までのペースで得点を積み重ねるとすれば、総ゴール数は415点に伸びる試算になる。
このゴール数は、多いのか、少ないのか?
参考までに、14−15シーズンの欧州トップリーグと比較した。各リーグによってチーム数が異なるため、1試合平均ゴール数からJ1半期分に合わせて換算すると、プレミアリーグは393点、リーガエスパニューラは406点、セリエAは412点、ブンデスリーガは421点のペースになる。15年のJ1は、ブンデスリーガほど多くはないが、欧州トップリーグと比較しても、よくゴールが決まる水準に上がっていることが分かる。
そこで目を向けたいのは、要因だ。なぜ、15年のJ1はゴール数が増加したのか?
データスタジアム社の協力の下、状況別にゴールの内訳を探ったところ、次の3つのケースが、相対的に大きく増えたことが分かった。
●PKゴール数
●ペナルティーエリア外(PA外)からのゴール数
●途中出場選手のゴール数
『PKゴール数』は、19→27と増えている。14年前期から15年ファーストステージの増加率は142%と、大幅な上昇を見せた。
これは昨今に各クラブへ通達されているとおり、ホールディング(相手を押さえるファウル)を厳しく取るレフェリングの基準が影響しているだろう。特に今季は、ボールに絡まない場所でのホールディングで、PKが与えられるシーンも散見される。選手の理解が進めば、今後のPKゴール数は、下降に転じるかもしれない。
G大阪と清水は対策が立てやすい!?
一方、『ペナルティーエリア外(PA外)のゴール数』も38→53と上昇している。14年前期から15年ファーストステージの増加率は139%と、大幅に増えたことが分かる。
その理由は、たくさん打ったから増えたのか、精度が上がったから増えたのか?
PA外のシュート本数を見ると、14年前期は1224本、後期は1225本と、ほぼ同じ。15年ファーストステージは、1332本と少し増えたが、増加率は109%。ゴール数ほどの急激な増加ではない。
ミドルシュート能力が上がっているのか、あるいは守備側が自由に打たせているのかは分からないが、PA外のゴール数が増えた要因は、シュート本数だけでなく、精度の向上が大きいようだ。
チーム別に見ると、15年ファーストステージで、最も多くのPA外ゴールを挙げたのは浦和レッズ(9ゴール)。シュート数は87本で、成功率は10.3%。本数も多いが、精度が高いことも分かる。当然、浦和と対戦するチームは、ミドルシュートを打たせないように警戒しなければならない。
とはいえ、その9ゴールの内訳は、武藤雄樹と阿部勇樹が2ゴールずつ、森脇良太、梅崎司、興梠慎三、宇賀神友弥、ズラタンが1ゴールずつと、点を取る選手が散らばっている。このすべての選手にミドルシュートを打たせないというのは、非常に困難なタスクに違いない。
PA外ゴール2位の6ゴールを挙げた横浜F・マリノスと、3位の5ゴールを挙げた湘南ベルマーレも、決めた選手はバラバラで、各選手が1ゴールずつだ。浦和と同じく、対戦チームにとっては防ぎづらさがある。
逆に、ガンバ大阪はPA外ゴールを3点決めているが、決めた選手は、いずれも宇佐美貴史だ。30本打って3本決め、成功率は10%。逆に、他の選手は53本打ってひとつも決めていない。このようなPA外のゴールが、特定の選手に偏るクラブに対しては、対策を打ちやすいのではないか。
一方、PA外のシュート本数が、際立って多いクラブが3つある。112本のサンフレッチェ広島、106本の鹿島アントラーズ、104本の川崎フロンターレだ。しかし、ゴール数は、それぞれ3、2、2と、成功率が低く、3%を割り込む。
特に鹿島と川崎は、PA内への侵入数が多いため、対戦チームの守備の優先付けとしては、侵入されないようにスペースを消し、ミドルシュートを打たせることが有効だ。残りのセカンドステージでも、焦点のひとつになるのではないか。
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