Bithell氏の二作目は、プレーヤーの集中力を要求する、魅惑的なパズルで構成された傑作だ。その美しさ、ウィット、知性は、静かなる怒りに見事相殺されている。

コンセプト: 戦闘せずにガードをすり抜ける、王道ステルス体験
グラフィック: 飾り気のない演出が、VRシミュレーションに適している
サウンド: 驚異的なサウンドトラックがアクションを完璧にサポート。声優の演技も一流
プレー性: 敷居の低い操作性と楽しい難易度曲線など、取っ付き易いオマージュだ
エンターテイメント性: 最初から最後まで、エキサイティングで充実した体験だ
リプレー性: 高め

最終面をクリアする時、私は奇妙な感情に満たされた。Bithell Gamesが用意したチャレンジを乗り越えた達成感と、本編が終わってしまった失望だ。本作の本編ステージは、プレー中のプレーヤーに欠かせないのと同等の慎重さで作られており、最後まで楽しむことができた。純粋なステルス・ゲームが珍しくなっている昨今、『Volume』はこのフォーミュラの有効性を高らかに宣言している。

良い点:
・ユニークなコンセプト
・豊富なステージ
・バラエティ豊富
悪い点:
・不安定なAI
・チェックポイントが多すぎる

『Volume』には貧弱なデザインのAIや容易に悪用できてしまうレベル・デザインといった問題はあるものの、引き込まれる物語を備えた数多くのやりがいがある部屋や、攻略を待つ豊富な部屋がある。部屋のクリア方法をストリーミングするゲームを生配信することで、部屋のクリア方法を公開することができるというのも、嬉しいメタ要素だ。

良い点:
・美しいビジュアル
・驚異的なサウンドトラックとオーディオ・デザイン
・ユニークなレベル・デザイン
・綿密なレベル・エディター
悪い点:
・貧弱な物語

『Volume』は素晴らしい体験で、あらゆるステルス・ファンに強くお勧めする。ロビン・フッド物語へのユニークなヒネリであり、メインのストーリーラインは期待したほど強力ではないものの、『Thomas Was Alone』でのBithell氏の成功に劣らない出来であることは間違いない。人間の感情を持つ長方形ほど心を鷲掴みにされることはないかもしれないが、それでもプレーする価値のある体験であり、マップ・エディターからどんな傑作が誕生するのか、待ちきれない。

良い点:
・純粋な古典的ステルス・ゲーム・メカニック
・極めて個性的なアート・スタイル
・最高のキャラクターと声優
・比較的シンプルで使い易いレベル・エディター
悪い点:
・プレー方法によってはまとまりがなく感じられる物語
・寛大すぎるチェックポイント・システム
・Figmentの使用判断が困難

『Thomas Was Alone』と比較すると、『Volume』は大幅に野心的かつスケールの大きなプロジェクトであり、二作目のジンクスはほぼ感じさせない。プレー方法によっては的を外していると感じる部分も存在するが、本作は英国の英雄の見事な語り直しに包まれた、古典的ステルスの純粋な形である。

良い点:
・創意工夫に富んだレベル・デザインとタイトなメカニックが、知的なステルス・ゲームを作り出している
・即座に解法を提示することなく必要なヒントを提供するビジュアル・キュー
・素晴らしい声優の演技
悪い点:
・でしゃばりなストーリーテリングがゲームプレーの邪魔をする
・止めたくても止まらないことがある主人公の動き

全体の物語が作り出すバリアーを避けることができれば、『Volume』は傑作ステルスの適正、傑作パズル・ゲームの独創性でステージが流れていく。物語でつまずいているものの、卓越したメカニックの伝達において突出している。

良い点:
・超一流のビジュアル・デザイン
・素晴らしいマップ
悪い点:
・改善の余地があるチェックポイント・システム
・ガッカリな一部の敵AI

『Thomas Was Alone』に次ぐMike Bithell氏の野心的で完成された新作は、その高い完成度を時折損ねる、美しいゲームに仕上がっている。欠点はあるものの、それでも強くお勧めできるゲームである。競争好き、もしくは友達が嫌いなら尚更だ。