不倫サイト利用者3600万人、氏名リストをハッカーが拡散
2015/08/20 06:31 JST
(ブルームバーグ):既婚者を対象とした出会い系サイト、アシュレイ・マディソンのシステムへの不正侵入を先月表明したハッカー集団は、盗んだデータをインターネット上に公開した。3600万人を超えるユーザーに関する詳細なデータがこれに含まれているという。
公開されたファイルを分析したアトランタの調査会社エラータ・セキュリティーのロバート・グラム最高経営責任者(CEO)は、データは「本物のようだ」と述べた。ユーザーの氏名や電子メールアドレス、クレジットカードのデータの一部、好みのタイプなどが含まれているという。同氏は「すでに複数のユーザー情報が本物であることを確認した」と、エラータのブログにリポートを掲載した。
「インパクト・チーム」と名乗るハッカー集団は、7月にデータの入手を明らかにした際、アシュレイ・マディソンにサイトの閉鎖を要求していた。今回データを公開したのは、同社サイトが閉鎖されていないためだと、「暴露」ファイルの中で説明している。
ハッカー集団は同ファイルの中で、アシュレイ・マディソンの「いかさま」サイトには客寄せ目的で数千人もの架空の女性プロフィルが仕込まれていると指摘した上で、「あなたの大切な男性が世界最大の不倫サイトに登録していても、単に不倫願望があっただけで、まだ何もしていないかもしれない。その違いが重要かどうかは別にして」としている。
アシュレイ・マディソンを運営するアビッド・ライフ・メディア(本社トロント)は、「状況を注視し、データが本物かどうか調査している」との声明を発表。カナダの警察、および米連邦捜査局(FBI)の調査に協力しているという。
「削除は無理」アビッドは今年、ロンドンで株式を公開する方針。当初はカナダで公開する計画だったが、投資家の間で不安が高まったことから棚上げしていた。
アビッドはインターネットからユーザーのデータを削除するため、できるだけのことをすると言うが、ファイルをダウンロードするためのリンクはすでに拡散している。情報はビットトレントというファイル共有技術を通じて公開されており、ドイツのモバイルセキュリティー会社、メディアテスト・デジタルのウルフ・ボルテ最高技術責任者は「容易にアクセス可能で、削除は無理だ」と述べた。
個人情報の暴露が詐欺やスパム攻撃、さらには恐喝に発展する恐れがあると、F-セキュア(フィンランド)のITセキュリティー専門家、ミッコ・ヒッポネン氏は指摘する。
「暴露ファイルに自分の名前があったユーザーが一番恐れるのは、実際に不倫したかどうかにかかわらず、不倫のレッテルを貼られることだ」とヒッポネン氏。「彼らが犯罪の被害者であることを見落としてはならない」と続けた。
原題:Adulterers Take Note: 36 Million AshleyMadison Users Exposed (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ベルリン Stefan Nicola snicola2@bloomberg.net;ロンドン Kristen Schweizer kschweizer1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Kenneth Wong kwong11@bloomberg.net David Rocks
更新日時: 2015/08/20 06:31 JST