共働き家庭の増加とともに都心部などで保育園の新設が相次ぎ、近隣住民とトラブルになるケースが後を絶たない。「騒がしい」など従来の静かな環境を維持したい高齢者らの苦情を受けて開園を延期したり、「平穏な日常生活が侵害された」として、開園後に訴訟に発展したりするケースもある。「子供の声は騒音なのか」をめぐる議論は各地に広がり、波紋を呼んでいる。(中井なつみ)
「子供の声が騒音になり、悩まされている高齢者がいます」。今年4月、東京都中野区立公園の一部を利用して認可保育園が開園した。園の向かいにある住宅には今、こう訴える大きな看板がいくつも並ぶ。
その家に住む80代の女性は、公園が開園した約40年以前からの住民で「長い間、公園を自分の家の庭のように思って過ごしてきたのに、納得できないまま工事に入られた」と訴える。公園完成以降、遊びに来る子供たちの安全のため、道に立って交通整理もした。
ところが、意に反して保育園が開園した後は、「公園を見るのも辛くなった」といい、子供の声が耳障りになった。
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