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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

マイナス成長が明確に示す経済政策の根本的誤り

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第25回】 2015年8月20日
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 GDP成長率はマイナスになった。これは、「デフレ脱却を目標として金融緩和をする」というこれまでの経済政策の行き詰まりを明確に示している。「一時的」として無視するのでなく、経済政策の基本を転換させる必要がある。

要因は消費停滞と輸出落ち込み
日本経済は成長路線に乗っていない

 8月17日に発表されたGDP統計によると、2015年4~6月期の実質GDP成長率は、対前期比マイナス0.4%(年率マイナス1.6%)となった(図表1参照)。

 これまでも、14年4~6月期、7~9月期に対前期比マイナス成長になっていた。また、14年度は13年度に対してマイナス成長だった。

 ところが、14年10~12月期と15年1~3月期が連続してプラス成長となり、しかも15年1~3月期の実質GDP成長率が、対前期比1.1%(年率4.5%)というかなり高い値だったことから、日本経済は成長路線に乗ったという見方が強くなっていた。しかし、そうではなかったわけだ。

 日本経済は、依然として停滞の罠から脱出できていないことを、今回のGDP速報値は明確に示している。

 15年4~6月期における実質GDPの値は、ほぼ13年4~6月期の水準と同じである。後者は、異次元金融緩和発動の直後だ。つまり、異次元金融緩和は、経済成長促進という観点からすれば、効果はほぼゼロだったことになる。

 14年4~6月期、7~9月期のマイナス成長の原因として、一般に指摘されているのは消費税増税である。それは、否定できない。ただし、消費税増税だけが原因であれば、停滞がここまで長く続くことはない。日本経済を長期的に停滞させている原因は、消費税の増税ではない。

 今回のマイナス成長をもたらした原因は、消費停滞と輸出の落ち込みである。これらについて、以下に見よう。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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