青森発“行政とタイアップして進めるEM環境改善事業” |
青森県におけるEM活動の経緯と進展
「善循環の輪」の取りまとめ役である木村将人氏が、比嘉照夫教授の「地球を救う大変革」に接したことから始まった青森県におけるEMによる環境改善のボランティア活動は、同じ志を持つ人々との連帯と努力により、平成16年4月には県内68市町村(市町村合併前)の内、42市町村(62%)を網羅するまでに広がった。これらの地区において、学校での環境学習への支援、河川・湖沼の浄化、安全で安心できる農産物の生産を目的としたEM農法への支援、地域の環境改善に関する啓蒙活動等が推進された。
その結果、中学校における先輩から後輩へと途切れることのない河川浄化活動の伝承、地域が一体となって米のとぎ汁醗酵液を投入することにより、ヘドロと悪臭の河川を、鮭や河豚が遡上する河川に改善した事例などが各所で見られ、また悪臭で悩んでいた養豚農家の悪臭の低減等、目に見える大きな成果が上がってきた。
企業組合『縄文環境開発』の立ち上げと実績
EMによる環境改善の効果の確認はできたが、ボランティア活動だけでの環境改善には限界があるとの想いから、木村氏等により、利益を生むことでEM活動を継続して実施できる組織を立ち上げる目的で、青森県知事指令第1679号に基づく企業組合縄文環境開発(里村理事長)が、平成14年6月8日に設立された(設立趣旨等は平成14年7月号にて既報)。設立後、ボランティア活動の支援も継続しながら、EMを活用した汚染土壌の改善、ゴルフ場の池の改善、河川の悪臭源対策、潟のヘドロと悪臭対策、村の環境改善指導、劣悪な土木工事現場の環境改善工事等を受注し、確実に成果が上がってきている。
例えば、産業廃棄物処理事業を廃業するために設備解体を行おうとした企業が、ダイオキシンの問題で解体処理の中断を余儀なくされたが、そのときにこの企業から相談を受け、早速解体対象物にJKK液(特製EM活性液)を散布したところ、国の基準を大幅に下回る値(国の基準の1/50以下)に改善(約19万分の1に減少)することができ、解体処理を完了させることができた。
また、市浦村のヘドロと悪臭の潟(平均深さ2mで約8ha)に毎週2.0tのJKK液を4ヶ月継続して散布したが、半年後には魚介類が復活し、野鳥の楽園状態になるほどの改善がなされた。
さらに昨年度、鯵ヶ沢漁港海岸事業(高潮対策として全長120mの堤防移設改良工事)でも成果を上げた。基礎工事のため海岸を掘削したところ、長年流入した生活排水の影響で掘削部の溜まり水の透視度はゼロ、悪臭が強く、水中工事を行っている潜水士は、皮膚の湿疹や下痢などの健康障害で3名が2名になってしまった。なお、この改善工事に要した費用は受注会社が負担したが、実態を把握していた県の担当者(白戸氏)が、作業環境改善業務は受注範囲外とすべきではないかとの判断で、県の関係者と協議し、国の事業負担者である農水省に要請した。その結果、農水省の了解も得られ、今年度の工事における作業環境改善工事費は改良工事とは別途に国と県が負担することとなり、今年も作業環境改善工事は縄文開発で受注することとなった。
受注会社(地元建設会社(株)丸重組)の社長は苦悩し、藁にも縋る思いで縄文環境開発に協力を依頼。木村氏は直ちに現場を確認して、現場の状況にあったJKK液を作り、合計10tの液とEM団子2,000個を6回に分けて投入した。一回目の投入の翌日には、早くも悪臭が緩和し、2週間後には透視度が1mにも改善された。その上、作業完了後に潜水士の身体にJKK液を散布したところ、以前は潜水後になかなか取れなかった臭いもすぐに取れ、かゆみや湿疹もうそのように取れたとのことであった。
鯵ヶ沢漁港海岸事業(作業環境改善工事)
JKK液散布
このように目に見える実績が上がってきたことから、縄文環境開発は今年度、青森市から誘致企業団地の調整池の水質改善工事、つがる市の津軽広域水道事業団(企業長は弘前市長)からは、水源地ダムの浄化作業を受託することとなった。
企業組合『縄文環境開発』主催による県民フォーラム開催
以上のような実績と県内への啓蒙の進展により、6月3日に「大いに語ろう青森県の環境問題」と銘打った県民フォーラムが、縄文環境開発主催、U−ネット共催、青森県・青森市・鯵ヶ沢町・中泊町・板柳町・むつ小川原地域産業振興財団・青森県中小企業団体中央会の後援で開催された。里村縄文環境開発理事長の開会挨拶、蝦名青森県副知事の来賓挨拶、佐々木青森市長の歓迎挨拶の後、まずU−ネット関係者によるEMの概説や、京都大原の呂川など、河川浄化の事例発表のほか、青森西中学校の生徒達によるこれまでの活動内容をまとめた「沖館川に、鮭が来た!」の発表があった。次に、副知事、EM実践者、鯵ヶ沢漁港改良工事関係者、支援者をパネラーとした県民フォーラムが行われ、最後に比嘉教授による「EMの基礎技術が、地球の“負の遺産”を退治する」の講演があり、参加者はあらためてEMの有効性と有用性を再確認したフォーラムであった。
実績を積み上げたことにより、青森県では県や青森市を初めとする行政の理解を得て、EMによる環境改善事業がスムースに展開されている。今後、EMに携わる皆様の力で、このような状況が日本中の行政に広がることを期待したい。
食の博覧会・大阪 イベント会場でEMボランティア160名が大活躍! |
ゴールデンウィークのまっただ中、4月28日〜5月8日までの11日間、インテックス大阪で、「食の博覧会・大阪」が大々的に開催されました。今回はEM研究機構と圓石本店(代表:河口貴賦氏)が共同でブースを出展しました。この長期にわたるイベントのブースには、延べ60名のボランティアにご協力いただきました。
今回の特徴は、ブース出展だけではなく、このイベント自体のサポートボランティアとして、関西のEMグループから、U-ネットの皆さまをはじめ、約100名が登録されたことです。食博覧会実行委員とタイアップして、一般参加のボランティアで、クリーン&セイフティ(イベント会場の衛生管理)担当者は、EM使用が義務付けられました。その活動内容は
・EM活性液の製造、希釈、ボトリング
・各号館(1号館〜6号館)の事務所へEM活性液を配布
・出展業者のシンクや排水口からEM活性液を投入
・ゴミ集積場やトイレ、喫煙コーナーの灰皿などにEM活性液を噴霧など
EMの消臭効果がもっとも顕著に表れたのはやはりトイレ。日を追うごとに、EMへの関心は高まりました。EMメンバーが配付するEM活性液だけでは足りなくなり、自らEMブースへ取りにくる清掃業者のパートさんや、一般のボランティアが増えていきました。EMブースで製造したEM活性液は11日間で約1.8t。(株)イーエムテックフクダの培養器2台をフル稼動して、1日培養で対応しました。
薄い色のEM活性液は大変好評。pHは常に3.2前後で安定していました。噴霧ノズル付ボトル(500ml)600本、500mlボトル450本に10倍希釈液をつめて配付しました。
EM活性液は、出展業者のシンクや、各号館の排水口から毎日終了後に大量投入しましたが、朝会場に来た時に排水溝の臭いが上がっていないと大好評でした。イベント期間の後半には、実行委員会から油を多用する中華料理のエリアを何とかしてくれと要請がきたので、そこには専門の清掃業者も協力してEMボカシを散布しました。毎日ボランティア作業を続けていくうち、EMに関心をもつ業者さんも増え、消臭効果とPR効果の一石二鳥の活動ができました。
ボランティア支援隊の活動で施設復旧が着々と進行中! 〜中越地震で壊滅的な被害を受けた長岡市の地域循環ネットワーク〜 |
学校給食生ごみの完全リサイクルなど<生活者による地域循環型社会づくり>(U-ネット通信2002年9月号掲載)で注目されている新潟県長岡市のNPO法人地域循環ネットワークは、2004年10月発生の中越地震により壊滅的な被害を受け一時再興が危ぶまれていたが、金子理事長や渡邊牧場主の再興への想いと千人近くのボランティア隊の支援により道路や畜舎の復旧が着々と進められている。同地震と地震前の集中豪雨による被害は、テレビ報道された山古志村に匹敵する規模で、連絡道路の遮断と牧場斜面の各地崩落に加え、生ごみリサイクル施設、牛・豚・鶏の畜舎、ログハウス、バーベキューハウス、竹炭焼き小屋、体験教室など全ての建物・施設が倒壊ないし半壊により使用不可能となった。「これで我々の活動も終わりかと思った。」(金子理事長談)という。復旧工事は、雪が溶け出した2005年3月26日以降本格的に進められ、県内外から各250名、長岡市内及び同NPO関連から各200名のボランティアが精力的な支援活動に参加し、散乱する倒壊物の整理と牧場各施設と竹炭施設を中心とした復旧作業が進められている。なお、同NPO活動の中心である学校給食の回収とリサイクルは、同市内のリサイクル施設の協力を仰ぎながら、学校給食の再開と同時に復活されている。
健康野菜のお店を展開中!
生ごみリサイクルで元気野菜の生産・販売
排水路と化した旧新発田川を浄化中!
とよさかEM普及会(旧豊栄市、平成17年4月から新潟市)では、永井会長(U―ネット善循環の輪会員)を中心に平成10年からEMぼかしによる健康野菜づくりと販売を開始し、平成14年からは生ごみの堆肥化・リサイクルもスタートさせている。平成16年には行政も参加した健康野菜第三号店(長浦地区)も開店し旧豊栄市地区の環境改善・健康増進活動を軌道に乗せている。この間<環境保全の重要性を深く認識し適切な実践活動により優れた成果をあげた>として旧豊栄市長から最優秀賞を授与されている。
元気野菜店を展開する仲間たち
(長井会長、右から3人目)
木崎コミュニティセンター(新潟市旧豊栄市地区)では、地区内を流れる新発田川が、水路変更に伴い家庭や工場から排出される排水のみのどぶ川と化し、悪臭に悩む住民から苦情が出て問題となっていた。EM活用による河川洗浄化の事例を知った木崎コミュニティ会議(近藤環境部会長、木崎自治会長)は、平成15年に百倍利器を導入して米のとぎ汁EM発酵液投入による浄化活動を始め、悪臭の解消と堆積ヘドロの減少を実現ている。
近藤会長は、「効果が徐々に出ているので、更にEM活用世帯(現在30世帯)の増大と上流のコミュニティ地区への参加拡大を進めたい(近藤会長)。」としている。
地域に密着し、自立した展開 〜NPO EM・エコ郡山の活動〜 |
資金面では、助成金申請により補助金を得ているため非常に自立した活動といえる。今年度は福島県のサポート事業及びうつくしま信託基金から計450万円の助成金を受け、EM資材等の提供をしながら学校を含めた地域住民の協力を得ている。地域に密着したこの活動は、資金の流れも明確で、効率的なものといえよう。
福島県郡山市にて活動を展開しているNPO EM・エコ郡山(武藤信義理事長、七海喜一郎副理事長ほか約30名)。水質浄化として芳賀池、南川、亀田川、安達太良川等を地元学校の生徒達やボランティア、大東銀行、東北電力などの協力も得て手がけ、大腸菌85%減や小魚の復活など、好結果が新聞にも取り上げられた。
NPO EM・エコ郡山の皆さん
(右端が武藤理事長)
メンバーはEMインストラクターとして小中学校での環境学習も行っている。今年度、市内の小・中全85校のうち43校がEMによるプール清掃を実施する計画で(無料提供)、過半数を越えることで教育委員会の理解を得て、来年度は全校実施が実現できればと期待も大きい。
EM培養装置は現在2基。うち1基を酪王牛乳(福島県酪農業協同組合 乳牛部)の敷地内に置き、製造もしてもらっている。石綿次長(兼)総務課長は 「以前は牛の管理指導をしていましたので、お話がきた時にはすぐに返答をしました。酪農家の仕事は微生物の管理といってもいいですからね。」とにこやか。以前からEMには関心があり情報は得ていたとのことで、タイミングの良い呼びかけがスムーズな展開を生んだ。「今までは排水処理の規定を守っていても川を汚しているのではというイメージが強かった。地域貢献したいという思いもありましたから、地元とのつながりを持ちつつ環境浄化も手がけているというのがいい。」乳製品を手がける同組合は微生物の専門家であり、安心・安全をモットーに食品を扱うだけに、衛生面での信頼も得られたと考えてよいだろう。
様々な分野の協力を得ながら確実に活動は広まり、メンバーのアイディアから冬場の発酵を促進できる培養ボックスもつくった。シンプルなつくりながら効果は抜群で、現在特許を申請中。最近では郡山市の市民学校講座でも講習会を行うようになり、EMの認知度も確実に上がってきている。今後も培養装置(百倍利器ジャスト)を2台購入する予定で、武藤さんは「夢のある目標を一つずつ達成できるのが楽しい。メンバーみんなが一生懸命です。」と誠実な語り口で答えてくれた。
(NPO EMエコ・郡山ホームページ:http://www.emlabo.co.jp/em/grupinfo/koriyama/koriyama.htm)