画像は東京五輪組織委員会サイトのスクリーンショット
東京五輪のエンブレム問題が、炎上を続けている。104作品からコンペで選出されたアートディレクター佐野研二郎氏の作品は、ベルギーのデザイナーが類似性を指摘。
盗用を主張しているオリビエ・ドビ氏は、国際オリンピック委員会をベルギーの裁判所に提訴していることを明らかにした。
■模倣問題は、五輪ロゴ以外にも飛び火
ネットユーザーの注目は、佐野氏による別の仕事にも飛び火。サントリー「オールフリー」のキャンペーングッズであるトートバッグに、第三者のデザインを無断でトレースしたものが含まれていることも明らかになった。
佐野氏は30点中8点のデザインを取り下げ、自社サイトで謝罪を表明したが、「アートディレクターである佐野研二郎の管理のもと、制作業務をサポートする複数のデザイナーと共同で制作した」という表現が、責任逃れではないかという指摘もある。
これは、どういうことなのだろうか?
■アートディレクターとデザイナーの分業・協働
一般的にはなじみが薄いかもしれないが、広告デザインは、以下のような分業・指示系統でつくられている。
トートバッグをデザインした佐野氏の立場は、アートディレクター(AD)。デザイン案の企画やデザイナーへの指示、撮影がある場合にはカメラマン選定や進行管理などを統括する。
その指示のもと、実際のデザイン作業を行なうのがデザイナー。医療や建設などその他多くの仕事と同様に、広告デザインは「チームで進める」のが一般的だ。
もちろん、デザイナーに対する監督責任は免れない。しかし、佐野氏の謝罪・釈明は「責任逃れ」ではなく、通常のワークフローに沿ったものと言える。
また、五輪ロゴ発表からあまりにも早いタイミングで「佐野研二郎デザイン」と銘打ったキャンペーンが行なわれたため、佐野氏に注目が集まったが、本来、広告制作のプロジェクト全体を統括するのは、クリエイティブディレクター(CD)。
ADはCDの指示のもとで作業を進め、そのチェックを受ける。広告主への提案に責任をもつのもチームを率いるCDの役割だ。
■五輪ロゴ問題でもクリエイティブディレクターからの説明がない
CD・AD・Dは、いくつかの役割を1人で兼ねるケースも。佐野氏の場合、トートバッグではADを務め、五輪エンブレムのコンペは個人参加のためADとDを兼任したと発表している。
なお、東京五輪組織委員会のCDと「オールフリー」を担当するCDは、偶然にも同一人物。組織委のマーケティング専任代理店である電通の高崎卓馬氏だ。高崎氏は、エンブレムを選定した8名の審査委員の1人でもある。
佐野氏は、8月5日に組織委と共同で記者会見を開いたが、キャンペーンを統括するはずのCDからは現在まで公式な声明が発表されていない。
燃え続けるトラブルを収束させるためにも、責任者や審査委員の代表者から、なんらかのコメントが出されるべきではないだろうか。
五輪のエンブレムの件。もし審査の段階でベルギーの劇場のロゴの存在に気づいていたら、採用作は「似ている」ということで選外になったはずだ。調査の網の目からこぼれたための入賞だと考えると応募者に責任はない。むしろ選んだ審査員側にある。審査員の説明が必要ではないだろうか。
— 横尾忠則 (@tadanoriyokoo) August 6, 2015
(文/しらべぇ編集部・猫山ニャン子)
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