先週のコラムでは、マイクロソフトが開発したAI女子高生を「りんな」を取り上げた。現在、その会話能力はお世辞にも高いとは言えないが、今後とも劇的に改善することは(少なくとも当面は)ないだろう、と述べた。
筆者がそう予想する理由は、「りんな」の基盤技術である最先端AI「ディープ・ラーニング」が今、分厚い壁にぶつかっているからだ。それを以下、説明していきたい。
「見て、聞くAI」は「言葉を操るAI」にも応用できるのか?
ディープ・ラーニングは今までのところ「画像認識」や「音声認識」など、いわゆるパターン認識の分野で極めて高い性能を示している。この大きな理由の一つは、ディープ・ラーニングが本格的な脳科学の研究成果、中でも大脳の視覚・聴覚野などに共通する認識メカニズム「スパース・コーディング」を導入したことにある。
つまりディープ・ラーニングとは「人間がモノを見たり、音を聞き取ったりする際の、脳の認識メカニズムを参考にしたAI」なのだ。そうである以上、それが画像・音声認識で高い性能を示すのは合点がいく。
そうした中で今、AI研究者の最大の関心事項は、このディープ・ラーニングを「自然言語処理」、つまり「言葉(単なる単語だけではなく、センテンスや会話まで含む)の意味を理解して、これを自由自在に操る」といった目的に転用できないかということだ。
たとえばディープ・ラーニングの権威であるヤン・ルカン氏(フェイスブックのAI研究所所長)やヨシュア・ベンジオ氏(カナダ・モントリオール大学教授)らが、ここ数年、このテーマに取り組んでいる。
それは言い方を変えれば、「人間がモノを見たり聞いたりする仕組みに基づくAIが、果たして言語を操るAIにも応用できるか」という問題でもある。
-
コンピュータに「面白い小説」は書けるか? 「機械派」作家と「魂派」作家が白熱討論!(2015.08.05)
-
中・韓が黙るのも当然! 安倍首相の戦後70年談話が 評価できる理由(2015.08.17)
-
天津の大爆発は江沢民派の反撃か!? 習近平vs江沢民の仁義なき戦い、いよいよ最終局面へ(2015.08.17)
-
【スクープ】中国株の大暴落は、反・習近平派の謀略だった! 権力のためなら世界経済もぶっ壊す、困った人たち(2015.08.19)
-
ソニー・JAL・みずほ銀行・野村證券…… 一流企業 社史には書かれなかったわが社の「人事抗争史」(2015.08.18)
- ディープ・ラーニングがぶつかった分厚い壁---最先端のAIでも、人間のように言葉を操ることはできない! (2015.08.20)
- 話題のAI女子高生「りんな」とLINEでチャットしてみた(2015.08.13)
- 米諜報機関に盗聴されても「NO」と言えない日本 憲法9条の拡大解釈はもう限界だ!(2015.08.06)
- 日本はこのまま「人治国家」に成り下がるのか!? 安保法制と東芝問題の共通項(2015.07.30)
- マイクロソフトは「Windows 10」で往年の輝きを取り戻せるか?(2015.07.23)
- 「アップルウォッチの売上が急降下」報道は本当か!?(2015.07.16)