日中韓首脳会談:10月打診 韓国、岸田外相訪韓も提案
毎日新聞 2015年08月20日 10時00分
【ソウル大貫智子、米村耕一】韓国が、10月前半に韓国内で日中韓首脳会談を開く案を日中両国に打診していたことが分かった。複数の日韓外交筋が明らかにした。韓国はさらに、9月19、20日にソウルで行われる「日韓交流おまつり」に合わせた岸田文雄外相の訪韓を日本側に提案したという。10月16日にワシントンで開かれる米韓首脳会談を前に、日韓関係改善に取り組む姿勢をアピールしようとしているとみられる。
関係者によると、韓国側は、11月にフィリピンで行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)などの国際会議の前に、韓国で日中韓首脳会談を開きたいと考えている。日中関係に改善の兆しが見られる中、韓国が北東アジアの緊張緩和を主導すべきだとの声が高まっており、メディアや専門家は今月14日の安倍晋三首相による戦後70年談話を批判しつつ、日中韓首脳会談開催を支持。任期5年の折り返しを25日に控え、外交成果を求められている朴槿恵(パククネ)大統領は「原則重視から現実的外交」(東亜日報)への変化を迫られている。
朴大統領側には、安倍首相との初の首脳会談につなげる思惑もある。朴政権は慰安婦問題解決へ向けた進展を日韓首脳会談の事実上の前提条件としてきたが、自国での日中韓首脳会談に合わせれば「外交儀礼」との説明が可能だからだ。韓国側は首脳会談を念頭に岸田外相の訪韓を提案しており、日本側も前向きに検討している模様だ。
ただ、中国は日韓両国の接近に警戒感を示すとみられ、建国記念日である国慶節の連休(10月1〜7日)など日程を理由に難色を示す可能性もある。岸田外相の訪韓も、国会会期末(9月27日)を控え、安全保障関連法案の審議状況などにより流動的な側面がある。