最近の経済指標をグラフで確認します。
まずは「実態悪化のGDP」から(紫色の縦線は安倍政権発足の2012年Q4)。名目では増加基調を続けていますが、実質では停滞しています。リフレ派が唱えていた「インフレ転換→実質成長率上昇」は実現していません。
輸出の勢いは減速気味です。
第二の矢も同様です。
設備投資も同様です。
よろしくないのが家計消費です。
家計消費の主な原資の雇用者報酬は名目では増加基調にありますが、実質では消費税率引き上げと輸入インフレによって抑制されています。
賃金指数(現金給与総額)は低迷が続いてます。医療・福祉が全体を引き下げていることが窺えます。
原因となった教育出版の『中学社会 公民』には、介護保険制度が抱える課題を取り上げられ、介護職員の人手不足について「介護の仕事が重労働で低賃金」との趣旨の記述がある。また実教出版の高校生向けの『最新 現代社会』には写真説明の中に「介護現場は重労働で賃金も高くない」とある。
消費者物価指数、特に食料価格に比べた現金給与総額の減少は、低所得層に打撃になっていると推測されます。
一方、就業者数にはアベノミクス効果が見られるようです。
しかし、その多くは趨勢的に増え続ける医療・福祉によるものです。*1
第一の矢(金融緩和→円安)と第二の矢と関係する製造業と建設業では、就業者数は横ばいのままです。
マネタリーベースは増え続けていますが、アベノミクスの推進力は失われつつあるようです。
下の二つの記事は、アベノミクスの先行きに関して対照的な内容ですが、果たしてどちらが客観的な認識でしょうか。
100万人就業者が増えた。ありがたいことにそのうち90万人が女性だった。
ヒットラーの社会革命―1933~39年のナチ・ドイツにおける階級とステイ
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「過去の婦人運動は36人の婦人国会議員と数十万のドイツ女性を大都市の路上に狩り出した」と、ある女性の党支持者は書いた。「それは1人の女性を高級官僚にし、数十万の女性を資本主義的経済秩序の賃金奴隷たらしめた。働く権利を奪われている男はいまや約600万もいる。女だけが、安価でいつでも利用できる搾取の対象として、いまなお仕事を見つけることができるのである」。 *2