連載
» 2015年08月20日 05時00分 UPDATE

Windows 10 The Latest:アップグレードをやり直さないためのWindows 10フルバックアップ/リストア手順 (1/2)

無事にアップグレードできたWindows 10。でもリカバリしたら元のWindows 7/8.1に戻る!? 1年後の再アップグレードは有償!? そんな事態に備えて、Windows 10のフルバックアップとリストアの手順を解説。

[打越浩幸,デジタルアドバンテージ]
Windows 10 The Latest
Windows Server Insider


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連載目次

アップグレードしたユーザーはシステムのクラッシュに注意

 2015年7月末にWindows 10が正式にリリースされ、既存のWindows 7やWindows 8/8.1のユーザーは2016年7月までは、無償でWindows 10にアップグレードできることになった。さらに今後は数カ月に一度といった頻度で継続的に機能拡張も行われることになっているので、すでにアップグレードしたユーザーも多いだろう。Windows 10へのアップグレードについては以下の記事も参照されたい。

 無償で新しいOSにアップグレードできるのはありがたい。だが、その期間は1年間しかない。もし1年以上経ってから障害が発生して、例えばディスクが壊れてシステムが起動しなくなったら、そのときはどうなるのか、気にならないだろうか?

 このような場合、一般的には新しいディスクに入れ替えてからリカバリディスクを使って最初にインストールされていたWindows OSに戻すことになる。自作PCなら元のWindows OSをまたインストールすればよいだろう。だがその時期が2016年7月以降なら、もう無償アップグレードはできないので*1、少し面倒なことになる可能性がある。リカバリした古いWindows OSのままで使うか、新しくWindows 10を購入してアップグレードしなければならないからだ。

*1 メーカー製PCでは特別なライセンス認証が行われているので、2016年7月以降になると本当に無償アップグレードできなくなるかどうかは、執筆時点で明らかになっていない。とはいえ、バックアップを取っておいて悪いことはないだろう。


Windows 10をフルバックアップする Windows 10をフルバックアップする
万が一に備えて、アップグレードしたWindows 10のフルバックアップイメージを取っておこう。バックアップがないと、システムのリカバリで古いOSに戻ってしまい、いろいろと面倒なことになる可能性が高い。

 これを避けるためには、Windows 10へのアップグレード後にシステムのフルバックアップイメージシステムイメージ)を取っておくとよい。そうすれば、余計な手間やコストを掛けずにWindows 10システムを復旧させることができる。

 今回はWindows 10における各種バックアップ機能と、システムイメージのバックアップの取得方法についてまとめておく。

Windows 10のバックアップ関連機能

 まずはWindows 10における、ユーザーファイルやシステムのバックアップ、復元などに利用できる機能をまとめておこう。Windows OSではバージョンアップを重ねるにつれて、さまざまなバックアップ/復元機能が追加されてきており、現在では次のようになっている。

機能/名称 概要/注意点
「以前のバージョン」 ・ファイルやフォルダーを自動的にバックアップ/復元するための機能
・設定さえ済んでいれば、復元操作はエクスプローラーで簡単に行える
・ボリュームシャドウコピーの機能を使っているため、1ドライブごとに最大でも64セットまでしかバックアップできない
「ファイル履歴」 ・これもユーザーのファイルやフォルダーをバックアップ/復元するための機能
デフォルトではドキュメントやライブラリ、連絡先、お気に入りなど、特定のユーザーフォルダーのみを定期的に自動バックアップする(システムファイルは対象外)
・ユーザーがサインインしていて、アイドル時のみ実行される
・保存先がオフラインの場合は、ローカルのシステムドライブに履歴をキャッシュしておき、オンラインになったときにまとめて更新する
・10分や15分、30分、1時間といった短い時間間隔で自動的にファイルをバックアップできる
「システムの復元」 ・これはシステムの状態を簡単に以前の正常時の状態へ戻せるようにするための機能
・この機能が有効になっていると、ある時点の状態が「復元ポイント」として保存される
・復元ポイントにはWindows OSシステム内のファイルやレジストリ設定などが保存されている
・保存されている過去の任意の復元ポイントへ戻せる
・復元ポイントはデバイスドライバーやアプリケーションのインストール、Windows Updateなどのタイミングで自動的に作成される他、ユーザーが手動で明示的に作成させることも可能
「スタートアップ修復」 ・Windows 8/8.1における「自動修復」のこと。名称が変更されて、Windows 7以前の呼び方に戻った
・OS起動の障害になっているような原因を見つけて、可能ならば自動的に取り除いてくれる機能(とされている)
・OSが自動的な再起動を繰り返すような場合に役に立つ(かもしれない。実際には、システムの復元の方が役に立つことが多い)
「Windows回復環境(回復ドライブ)」 ・システムをWindows回復環境(Windows Recovery Environment)で起動させる機能。この環境でトラブルシューティングを行ったり、システムを再インストールしたりして復旧させる
・回復環境起動用のUSBメモリは、Windows 10のコントロールパネルの「回復ドライブ」機能画面から作成できる。
「このPCを初期状態に戻す」 ・Windows 8/8.1における「PCのリセット」や「PCのリフレッシュ」に相当する機能。プッシュボタンリセット機能とも言う
・Windows 10をクリーンインストールした直後の状態に戻すことができる。ただし更新プログラムやアプリケーション、ユーザーアカウント、ユーザーデータなどは、全て削除するか、残しておくかを選択できる
・Windows 8/8.1における、「PCのリフレッシュ」用のイメージを作成するためのrecimg.exeコマンドは廃止された
「バックアップと復元(Windows 7)」 ・Windows 7互換のバックアップユーティリティ
・Windows OSのインストールされているドライブ全体のファイル(「システム状態」という)をバックアップ/復元できる
・スケジュールを組んで定期的なバックアップなども指定できる
・Windows OSのシステムイメージの他、インストールされているアプリケーション、ユーザーアカウント、ユーザー環境など、ドライブの内容を丸ごと全てバックアップできる
Windows 10で利用できるバックアップ関連の機能
これらの機能はWindows OSのバージョンアップに伴って少しずつ追加されてきたものなので、Windows OSの歴史を知らないユーザーにとっては(知っているユーザーでも?)かなり分かりづらい。

 バックアップ関連の機能は以前のWindows 8.1をほぼ踏襲している。ただし、Windows 8/8.1にあった「PCのリセット」と「PCのリフレッシュ」機能は統合されて、「このPCを初期状態に戻す」機能(「プッシュボタンリセット」ともいう)になった。そしてPCのリフレッシュ用のイメージを作成するための「recimg.exe」というコマンドは削除された(関連記事参照)。

 「PCのリセット」と「PCのリフレッシュ」は似たような機能を実現しており、PCのリセットはほぼ完全な初期化、PCのリフレッシュが一部のデータを残したままの初期化という違いがある。Windows 10ではこれらが1つのメニューに統合されている。

PCを初期状態へ戻す PCを初期状態へ戻す
これはWindows 8/8.1では「PCのリセット」「PCのリフレッシュ」と呼ばれていた機能。Windows 10では少し表示などが変わっている。[設定]アプリの[更新とセキュリティ]−[回復]−[このPCを初期状態に戻す]で[開始する]をクリックするとシステムが再起動して[オプションの選択]が表示される。そこで[トラブルシューティング]−[このPCを初期状態に戻す]とクリックするとこの画面が表示され、どのように初期化するかを選択できる。
  (1)従来の「PCのリフレッシュ」に相当。ユーザーに関する情報を残したまま、システムを初期化する。実行すると、ユーザーのアカウントやファイルは残ったまま、Windows 10のインストール直後の状態に戻る。最初からインストールされていたもの以外のアプリケーションは(基本的には)削除される
  (2)従来の「PCのリセット」に相当。システムを初期化し、ユーザーに関する情報も全て削除する。実行するとWindows 10をクリーンインストールした直後の状態に戻る。アプリケーションなども全て削除される。
  (3)カスタム回復イメージが登録されていたプレインストールのWindows 7やWindows 8/8.1(メーカー製PCに多い)をWindows 10へアップグレードした場合、ここに3つ目のメニューとして、そのイメージへ戻すための[出荷時の設定に戻す]という項目が表示される。工場出荷時の状態(Windows 10アップグレード前の状態)に戻すことができる。

 「以前のバージョン」と「ファイル履歴」は共にユーザー向けのファイル履歴管理ツールで(間違って消したファイルを復旧させることもできる)、それ以外は管理者向けの機能である。それぞれの具体的な使い方については、以下の記事を参照していただきたい。

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