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 滋賀4区選出の武藤貴也衆院議員(36)が19日、自民党に離党届を提出し、受理された。安全保障関連法案をめぐるツイッター投稿が批判されたうえ、金銭トラブルを週刊誌に報じられたことで「党に迷惑をかけた」ことが理由としている。「投票したのを後悔している」「辞職するべきだ」。地元では厳しい声が相次いだ。

■自民県議「早急に説明を」

 19日夕、武藤氏の近江八幡市の事務所では、男性秘書が1人でひっきりなしに鳴る電話に対応していた。離党を知り、説明を求める支持者らからだ。この日、武藤氏本人の連絡はなく、コメントがファクスで流れてきただけだった。「地元では事情は分からない」。取材にそう繰り返した。

 武藤氏は北海道出身。京都大大学院に在学中、滋賀県議会で嘉田由紀子・前知事の与党会派の政策スタッフになった。だが09年の衆院選で自民党の候補者選考に応募し、滋賀4区から立候補。このときは落選したが、12年の衆院選で初当選し、昨年12月には6万460票を獲得して再選した。

 「寝耳に水の話。武藤氏が早急に支持者へ説明するように求めている」。昨年の衆院選で選対の総括責任者だった小寺裕雄県議(自民)は「支持者離れ」への危機感をあらわにした。「安全保障関連法案の審議が大詰めの時期に余計なことを……」。4区内のある自民系市議はそう漏らした。

 自民党県連は近く、役員会を開き、対応を協議するとしている。

■学生団体「情けない」

 武藤氏は安全保障関連法案に反対する学生団体「SEALDs(シールズ)」について、7月末に「自分中心」「極端な利己的考え」などとツイッターへ投稿。批判を浴びた。

 法案に反対する県内の大学生らでつくる団体「しーこぷ。」代表で、大津市の藤川結(ゆい)さん(21)は「なぜ議員辞職しないのか、わからない。説明が足りない。滋賀県の有権者の一人として情けない」。自民党に対しても、「離党したとはいえ、(公募で)自民党から立候補し、議員になった人。党としても、きちんと説明をしてもらいたい」と求めた。

■有権者「頑張ってほしかったが残念」

 滋賀4区の有権者からは厳しい声があがった。

 「投票しなければよかった」。昨年の衆院選で武藤氏に投票したパート女性(33)=近江八幡市=はJR近江八幡駅でそう悔いた。投票したのは、自民党の外交政策を重視したからで、武藤氏個人に特別な思いはなかったのだという。「発言には注意してほしいと思っていた。あの一票は、何だったのか」

 JR甲西駅で取材に応じた湖南市の会社員、中川清和さん(48)は「若手政治家として頑張ってほしかったが残念。一度辞職して、再び政治の世界に挑めばいい」と話した。