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「こうのとり」打ち上げ成功 米ロ失敗で増す存在感

2015/8/19 22:44 (2015/8/20 0:24更新)
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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は19日午後8時50分、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を届ける無人補給機「こうのとり」5号機を載せた大型ロケット「H2B」を種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げた。15分後の9時5分に、こうのとりを予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。

 昨年10月以降、米国やロシアの無人補給船で相次いで事故が起きており、今回の打ち上げ成功でこうのとりの存在感が増している。JAXAの奥村直樹理事長は打ち上げ後の会見で「(各国の)失敗直後という大変大きなプレッシャーを跳ね返した」とした上で、「打ち上げ技術の信頼につながる」と期待した。

 こうのとりはステーションに滞在している宇宙飛行士の食料や水、衣服など約5.5トンの物資を運ぶ。宇宙空間を満たしていると考えられながらまだ確認されていない暗黒物質(ダークマター)の観測を目指す装置なども積んでいる。観測研究の代表者の早稲田大の鳥居祥二教授は「20年来の計画がようやく実験にこぎ着ける。我が子の打ち上げは感激だ」と白い歯をこぼした。

 24日午後8時ごろにステーションに到着し、滞在中の油井亀美也さんがロボットアームで捕まえて25日未明にドッキングする。ドッキングでは、宇宙飛行士の若田光一さんが地上で交信を担当し、油井さんと連携して作業を進める。

無人補給機「こうのとり」5号機を搭載して、上昇するH2Bロケットの光跡(19日午後8時50分から約8分間露光、鹿児島県の種子島宇宙センター)=共同
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無人補給機「こうのとり」5号機を搭載して、上昇するH2Bロケットの光跡(19日午後8時50分から約8分間露光、鹿児島県の種子島宇宙センター)=共同

 無人補給船にはこのほか、米国のシグナスとドラゴン、ロシアのプログレスがある。しかし、昨年10月以降、ロケットの爆発や異常で相次いで失敗。こうのとりは米国の補給船で送り届ける予定だった積み荷を緊急で積み込んでいた。

 当初、打ち上げは16日の予定だったが、悪天候のために2回延期されていた。H2Bの打ち上げは2009年の初飛行から5回連続して成功。エンジンなどが共通するH2Aと合わせると27回連続の成功となり、成功率は97%(33回中32回)になった。現在両機の打ち上げを担当する三菱重工の商業衛星受注に弾みがつきそうだ。同社の阿部直彦宇宙事業部長は「売りである信頼性が世界から認められたと思う」と話した。

 ▼こうのとり 国際宇宙ステーション(ISS)に食料や水、実験装置などを運ぶ国産の無人補給機。全長10メートル、直径4.4メートルの円筒形で大型バスほどの大きさ。地上と同じ1気圧に保たれる与圧部と、真空にさらされる非与圧部があり、最大6トンの物資を搭載できる。補給後はISSの不用品を積んで切り離され、大気圏に突入し燃え尽きる。〔共同〕

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