仮想通貨「ビットコイン(BTC)」の取引所「マウントゴックス(破産)」からBTCが消失し、口座を不正操作したとしてマウント社CEOのマルク・カルプレス容疑者(30)が逮捕された事件。警視庁の捜査で、犯行の経緯が徐々に明らかになってきた。捜査や従業員の証言からは、カルプレス容疑者のずさんな経営がそのまま破綻を招いた過程が浮かび上がる。
それは、打ち出の小づちとしか呼びようのない権限だった。
カルプレス容疑者は平成23年春に創業者から取引所を受け継いで以降、CEOの権限を使ってマウント社の帳簿上の自分の口座の現金やBTCの残高を何度も100万ドル単位で水増しし、書き換えてきた。
マウント社は顧客から預かった現金とBTC、マウント社の現金とBTCを口座を分けずに管理。現実の口座と、帳簿の数字の突き合わせもしておらず、帳簿上の数字はCEO権限で「いじり放題」だった。
カルプレス容疑者は権限を独占して従業員に知らせず、26年2月までに数十億円分を水増しし、BTC取引に投入。25年までに消失していた数十万BTCを穴埋めする一方で、価格が高騰したBTCを購入したことで、多額の損失を計上していった。
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