強姦ウソ被害:服役後釈放の70代男性 再審初公判
毎日新聞 2015年08月19日 11時34分(最終更新 08月19日 13時55分)
強姦(ごうかん)罪などで懲役12年が確定し、服役中に被害証言が虚偽と判明して釈放された大阪府内の70代男性の再審初公判が19日、大阪地裁(芦高源裁判長)で始まった。男性は「無実です」と起訴内容を否認した。検察側は無罪判決を求め、即日結審する見通し。
男性は2004年と08年に当時10代だった女性に自宅で性的暴行をしたとして、08年に強姦・強制わいせつの罪で大阪地検によって起訴された。男性は一貫して否認を続けたが、大阪地裁は「暴行された」などとする女性の証言の信用性を認め、懲役12年を言い渡した。弁護側は控訴審で、「診察を受けた」とする女性の母親の調書を基に診療記録の証拠開示を請求したが、検察側は「ない」と回答。高裁は控訴を棄却し、11年4月に最高裁で刑が確定、男性は服役した。
しかし、女性は昨年になって被害を受けていないと証言を翻し、弁護側が9月に再審請求。地検の再捜査で、性的暴行を受けた痕跡がないとする告訴当時の診療記録も見つかった。地検は無罪の可能性が高いとして、11月に刑の執行を停止し、男性を釈放。男性の身柄拘束は逮捕から約6年に及んだ。地裁は今年2月、再審開始の決定を出した。
男性は初公判で「(逮捕・起訴され有罪となった)過ちを解明してほしい」と主張した。弁護側は取り調べ検事らの証人尋問を求めたが、却下された。【三上健太郎、堀江拓哉】