7月末から8月頭にかけて、携帯電話会社主要3社の決算が出そろった。NTTドコモが4年ぶりの増収増益を達成するなど、各社共に好調な決算を発表している。一方で、国内の携帯電話事業を見るとソフトバンクが40万件を超える純減を記録するなど不調が目立っている。各社の決算内容から、足元で起きている変化を確認してみよう。
4年ぶりに増収増益を実現したNTTドコモ
LTEのインフラ整備が一段落。NTTドコモがiPhoneの提供を開始し、高額キャッシュバック合戦への批判が収束したことから、主要3キャリア間の差別化要素がなくなった。その結果、競争がこう着状態にあるといわれる昨今だ。だがそうした状況下にありながらも、主要3キャリアの動向には、確実に変化が起きている。
その変化が分かるのが、携帯電話主要3社の決算内容である。7月末から8月頭にかけてNTTドコモ、ソフトバンク、KDDIがそれぞれ決算を発表したが、その内容を見ると大きな変化がいくつか起きていることに気付く。
最も大きな変化となるのは、NTTドコモが好調を取り戻しつつあることだ。実際、7月29日に発表されたNTTドコモの2015年度第1四半期決算では、営業収益が前年同期比0.1%増の1兆769億円、営業利益が12.3%増の2354億円と、増収増益を達成している。同社が増収増益となったのは4年ぶりとのことで、この変化は非常に大きい。
NTTドコモが好調を取り戻した要因の1つは、「dマーケット」などのスマートライフ事業が好調に推移していることだ。最近では「dグルメ」が、提供開始後1カ月で28万会員を獲得するなど好調だ。
そしてもう1つは、通信事業が回復傾向にあることだ。通信事業自体はまだマイナス傾向が続くなど、新料金プラン導入の影響は続いているものの、最近は新料金プランにおいて、「Mパック」以上のパケット定額プランを選ぶ人が増えていることから、収益が改善傾向にあるようだ。