今年のセ・リーグは、交流戦でパ・リーグに44勝61敗3分と負け越して、交流戦が終了した時点(6月16日)で首位の巨人が貯金2だった。最下位の広島まで4.5ゲーム差。しかしこの時点ではまだ、リーグ戦に戻れば、いずれどこか抜け出すのではないか、そのように予測することは可能だった。
だが、6月19日からリーグ戦に戻ったものの、8月10日時点(以下同じ)で首位の阪神が貯金4。どのチームも抜け出すことができないでいる。貯金4で首位という状況は、交流戦でパ・リーグに大きく負け越したことが主な理由とは言え、セ・リーグ内での戦いが拮抗していることも間違いない。つまり今年のセ・リーグは、優勝ラインが相当に下がることが予想される。
史上最低勝率での優勝もあるのか。過去に、勝率の低かった優勝チームには、どのようなチームがあったのか、ちょっと振り返ってみよう(前期優勝、後期優勝だった1973年から'82年のパ・リーグは除く)。
最も低勝率でのリーグ優勝は、V9達成時の巨人。
日本のプロ野球が2リーグ制になった1950年以降、最も低い勝率でリーグ優勝を果たしたのは、'73年のセ・リーグを制した巨人である。勝率.524。66勝60敗4分の貯金6で優勝している。
この年は、年間130試合制の130試合目で巨人が9連覇を達成したシーズンだった。巨人は10月11日の試合で、長嶋茂雄が守備中に右手の薬指を骨折。大黒柱を欠く中で、10月22日のシーズン130試合目は、勝ったほうが優勝するという、巨人-阪神の直接対決だった。巨人は打線が阪神の先発・上田二朗を攻略して9-0と大勝、0.5ゲーム差での優勝となった。
2番目に低かったのは'92年のセ・リーグを制したヤクルトだ。69勝61敗1分の勝率.531、貯金8で優勝している。この年のヤクルトは野村克也監督が就任して3年目、球団としては14年ぶりの優勝だった。若手の飯田哲也が盗塁王、古田敦也と池山隆寛がともに30本塁打、そして、わずか113試合の出場だったジャック・ハウエルが首位打者(.331)と本塁打王(38本)を獲得する大活躍で優勝に貢献した。
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