オークション会場にやってきた
…というわけでアートオークションの現場にやって来ました!
あらためましてこんにちは。実写版のカメントツです。
今回は、特に現代美術を中心に力を入れている事で有名なSBIアートオークションさんにお邪魔させていただきました。さすがアートの現場。入り口がすでにオシャレです。ゲームでよくある一定方向にしか進めないアレみたいになってました。
さて中に入ってみましょう。
おお……。おおおおお…。
かなりオシャレな内装で、ちょっとビビってきた。
アートのプロに話を聞いてみた
SBI アートオークションでマネージャーを務める、加賀美 令さん。一般的にあまり知られていない、美術品オークションについて色々とお話を伺いました。
- カメントツ
- 今日は宜しくお願いします!ところで突然なんですが、僕、マンガとかイラスト描いていまして。
- 加賀美さん
- はい。
- カメントツ
- 明日のオークションで、僕の絵を売ってもらえませんか?
- 加賀美さん
- それは無理です。
速攻で断られたカメントツ。
- 加賀美さん
- オークションに出したいアート作品を事前に集めるのですが、それらを審査したうえで1冊のカタログにまとめます。基本的にそのカタログに掲載されている作品しかオークションには出品しません。
- カメントツ
- あ!マンガで読んだ事ありますよ!カタログを手に入れるのにもめちゃくちゃ大金が必要なんですよね!
- 加賀美さん
- いえ…オークションの参加者の方には無料でお配りしています。
これが出品される作品が掲載されているカタログ。数千円くらいするんじゃないの?というくらい、とても見応えがあるんだけど、無料。
- カメントツ
- マンガの知識で恥かいた?!
- 加賀美さん
- 日本のオークションはだいたいこのような感じだと思いますが、海外のもっと規模の大きなオークションだと預金の残高を提示しないと参加出来ないものもありますよ。
- カメントツ
- 日本と海外でそんなに違うんですか?
- 加賀美さん
- そうですね…海外の有名なオークションだと、一晩で600億円くらいのお金が動くこともありますよ。
- カメントツ
- ひ、一晩で600億?!
- 加賀美さん
- そうです。日本のアートオークションの市場が年間100億くらいなので、規模がぜんぜん違うんですよね…。
- カメントツ
- ちなみに…ここSBIアートオークションでは、どれくらいのお金が動くんですか?
- 加賀美さん
- 1回のオークションで、だいたい3~4億円くらいですね。
- カメントツ
- それでも凄い。
- 加賀美さん
- でもやっぱり一晩で600億のオークションと比べると、日本のアートマーケットがいかに小さいか分かりますよね。
- カメントツ
- そもそも日本には、アートを買うという需要があまり無いと…?
- 加賀美さん
- まだ現状はそうですね。もっと盛り上げていかないと。
日本は、アーティストにとってまだまだ厳しい国らしい。評価された日本人の作品がほとんど海外に行ってしまうのは、なんだかちょっと寂しい気がする。
実際に出品される作品を見てみよう
加賀美さんに作品の解説をしてもらいながら、明日出品される作品を見せてもらう。
なるほど…なるほど…。ん?
この絵…サラリーマンの年収くらいあるんですけど。
そんな数百万円の値段の絵がゴロゴロある。ちなみに新人漫画家の原稿料は、だいたい1万円前後だ。
そもそもなんでアートってこんなに高いんですか…ちくしょう…。
- カメントツ
- そもそもなんでこんなにアートって高いんですか?僕も原稿一枚サラリーマンの年収くらいで売りたいんですけど…
- 加賀美さん
- 例えばギャラリーや美術館の展覧会で評判になったり、描いた絵が売り切れたり…。他にも影響力のある批評家がいい評価をする、国際展に選ばれる、
賞を取るといった様々な要因で絵の値段は上がっていきますね。こういった事を踏まえて投資的な目的で落札される方もいらっしゃいます。
- カメントツ
- アートで投資…!
- 加賀美さん
- あとはピカソのように神格化されていたり、作者がすでに死んでいたりすると値段が上がったりもしますね。
- カメントツ
- 僕に出来そうなのは、死ぬ事くらいですね。
- 加賀美さん
- 死なないでください。
- カメントツ
- ありがとうございます。生きます。
生きようと思った。
オークションに参加するには
加賀美さんの解説のおかげでちょっとアートに詳しくなったような気になった。
- カメントツ
- 加賀美さん。僕も何か作品が欲しくなったんですけど、やっぱりセレブしか買えないようなものばかりですか?
- 加賀美さん
- そんな事ないですよ。最低落札価格が2万円くらいのものもありますし。
- カメントツ
- 2万円!高いものばっかり見てたからすごく安く感じる…!
中には新人のアーティストの作品も出品されていたりする事もあり、意外と手頃な値段で落札できることもあるそうだ。中には額縁のほうが高いというケースも…。
- カメントツ
- だいたいどれくらいの予算があれば一枚買って帰れますかね。
- 加賀美さん
- うーん、一概には言えないですけど10万円くらいあれば何かしら落札して帰れるのではないかと…。
- カメントツ
- なんかアートが身近に感じますね。
- 加賀美さん
- オークションはセレブの方だけが参加するもの…というイメージがあると思うのですが、もっと気軽にアートオークションに来てほしいですね。
- カメントツ
- 例えば当日フラッと絵を見に来るだけでもいいんですか?
- 加賀美さん
- 全然大丈夫ですよ、入場料もかかりませんし。具体的な値段が表示されているので、美術館とはまた違った楽しみ方でアートに接することができると思います。
- カメントツ
- なるほどな?!アートオークションでデートとかめちゃくちゃオシャレですね。生で流通してる作品を見れたりするわけだし…美大生とかなら勉強にもなりそう。
作品を見るだけでも大歓迎でドレスコードとかも特にないそうだ。普通に働いている人なら買える値段の作品もあって、なんだかアートをちょっと身近に感じた。
気軽に参加してみよう
翌日。オークション本番の会場にお邪魔させていただきました。
会場は、思ったより静か。もっと殺気立っていたり「〇〇万円!」とか叫んでいるのをイメージしていたけど、想像と違ってスマートに事が運んでいく印象。
モニターや電話が並んでいるのは、現場に来れない人たちが遠隔でオークションに参加しているから。電話を受けているスタッフの人たちは海外からの注文を受けているようで、英語で競っている。海外のコレクターもたくさん参加しているようだ。
外から眺めるだけというのも勿体ないので、ちょっと中に入ってみましょう!
ここがオークション会場。中には談笑しながら入札している人もいるけど、ざわついている感じはない。そんな中、オークショニアの声が響いてくる。
- オークショニア
- 「○○万円…○○万円…」
- オークショニア
- 「○○万円…○○万円…いらっしゃいませんか…△△万円」
- オークショニア
- 「XXX番、△△万円で落札されました!」
ダンッ!
- オークショニア
- 「○○万円…○○万円…いらっしゃいませんか…□□万円」
- オークショニア
- 「XX番、□□万円で落札されました!」
ダンッ!
- オークショニア
- 「○○万円…○○万円…いらっしゃいませんか…??万円」
- オークショニア
- 「??万円…??万円…いらっしゃいませんか…◯△万円」
- オークショニア
- 「XX番、◯△万円で落札されました!」
ダンッ!
みんな静かに自分の番号の札を上げ、淡々と入札していく。一つの作品が2、3分で売れることもあり、とてつもなくスピーディーだ。ちなみにダンッ!という音は、オークショニアが叩くハンマーの音。
決して落札価格が低くてキレているというわけではない。
しばらくオークションを観戦していると、なんだかまわりがザワつきはじめた。
なんだろうか?もしかして有名な作品が出品されたとか…?キョロキョロワクワクしていると…。
- スタッフさん
- 申し訳ございません、仮面の着用はちょっと…。
- カメントツ
- すんません…。
原因は僕だった。仮面は物騒なのでドレスコード以前の問題だそうだ。もしも「仮面をつけて参加してみようかな」と思っている人がいたら、中に入れてもらえないので気をつけて欲しい。
仕方なく会場をウロウロしていると……。
なんと豪華なドリンクコーナーを発見!
うおーーーッ!!シャンパンが置いてあるぅーーッ!!
「オークションで疲れた喉を癒してくださいね」という事だろうか…。これも取材なのでしかたなく頂く事にした。
ゴクッ
???ッ!!!!うめええええええええ!!!!最高!五臓六腑に染み渡るってもんだぜ!コリャ?よ?!
取材とはいえ、アートをタダで鑑賞し、タダ酒を飲む…。こんなに良い思いをしてしまっていいのだろうか…。
オークションに参加する人ってどんな人?
貧乏人丸出しでハシャいでいると、オークションに参加中だというチョイ悪ダンディな人に話しかけられた。
- ダンディ
- シャンパン飲みすぎちゃったよ~飲んでる?
- カメントツ
- す…すごいですね…。
- ダンディ
- 今日は何を買いに来たの?
- カメントツ
- 僕は取材なので特に…。お父さんは何を買いにきたんですか?
- ダンディ
- 俺は、日本人の作品かな。やっぱりアジアのアートにはパワーがあるからね。
- カメントツ
- なるほど?(こういう人がもっと沢山いたら日本のアートシーンも盛り上がるんだろうな…)。
こっそりダンディの購入予定の作品を教えてもらった。
- ダンディ
- 俺はコレとコレ…。
- カメントツ
- おお…すごい…有名(で高い)絵を狙ってるんですね!
- ダンディ
- おうよ?やっぱ欲しいよね?。
- カメントツ
- でも…アレ?この作品のオークション参加しなくて大丈夫なんですか?
- ダンディ
- あ、それは中に人を入れてるから大丈夫。
※おそらく人を雇って数メートル先のオークション会場で数百万円のお金を任せているという意味
土下座したら10万円くらいポンとくれないかな…。
おわりに
というわけでアートオークションの現場を取材してみました。いかがでしたでしょうか?
芸術作品は「セレブだけのもの」「ピカソとか、昔の有名な作家の作品が出てくる」というイメージがあったのですが、出品される作品の中には最低落札価格が2万円〜5万円くらいのものがあったり、今活躍中の若い作家の作品も多く、これからのトレンドが生まれる場所という感じがしました。
ちなみに後から聞いた話だが、「サラリーマンの年収くらい」となっていた作品の落札金額は3,680万円だったそうだ。もはや年収ではなくマンションが買える値段。
掘り出し物から手が出なさそうなものまで…アートの世界は奥が深い。
アートオークションは、まだまだ日本に根付いていないかもしれませんが、そこまで敷居も高くありませんし、ネットでも参加できるとの事なので気軽に参加してみてはいかがでしょうか?
それでは!