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【東京】

砂川闘争60年 10年前の証言集「今こそ」

砂川闘争の展示の前で「それぞれの思い」を手に、闘争の最前線で活躍した島田清作さん(左)と語る、けやき出版の酒井杏子さん=立川市砂川町で

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 十年前に出版された砂川闘争の証言集が今月、地元・立川市の書店で平積みされている。砂川闘争六十年の今年、他界した人も多い関係者の生の声が詰まったこの本を、今の時代にこそ読んでほしいと願った版元の出版社の社員が地元書店に提案、実現した。(榎本哲也)

 この本は「砂川闘争50年 それぞれの思い」。旧米軍立川基地の拡張に反対し闘争に参加した砂川町(現立川市)の農民ら二十九人の証言などを掲載している。市民団体「砂川を記録する会」代表の星紀市さん(71)が編集、砂川闘争五十年の二〇〇五年に出版した。現在も、一部書店の書棚には置かれている。

 版元の「けやき出版」(立川市)の酒井杏子さん(57)は当時、営業社員としてこの本の刊行に携わり、砂川闘争に関心を持った。

 「外からの力で生活が脅かされる時の、人々の鮮明な言葉がとても印象的でした」。節目の年に、地域の歴史に関心を持ってもらおうと、地元・立川市の大手書店「オリオン書房」の担当者に相談。快諾してもらい、今月十三日、オリオン書房ノルテ店(曙町二、パークアベニュー三階)の新刊書・話題書コーナーに平積みされた。

 「(出版当時の)立川市長の青木久さんは、機会あるごとに『あの砂川闘争があったから、今の立川の街の繁栄がある』と話す。砂川闘争は今の立川、今の日本とつながっている」と、本で証言している一人、元立川市議の島田清作さん(77)は話す。米軍が滑走路拡張を中止して闘争は終結したが、それまでに旧砂川町の農家から国が買い取った基地拡張予定地の跡地利用問題は、現在も続いている。

 「砂川闘争は町ぐるみで米軍基地拡張に反対した。同じことが今、沖縄で行われている。政府が、砂川事件の最高裁判決を、集団的自衛権の合憲性の根拠にしている、このウソを明らかにしたい。砂川闘争と今は、つながっている」と島田さん。現在、十一月五日に同市内で開催予定の、砂川闘争六十年記念集会の準備に携わっている。

 

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