池袋暴走:てんかん薬、服用怠った可能性
毎日新聞 2015年08月18日 21時31分(最終更新 08月18日 21時58分)
東京都豊島区のJR池袋駅近くで乗用車が暴走し歩行者5人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反容疑で現行犯逮捕され、てんかんの持病があることが判明した医師、金子庄一郎容疑者(53)=北区王子3=が、定期的に診察を受けていた主治医から「薬は毎日飲むように」と指導されていたことが警視庁への取材で分かった。同庁は金子容疑者が主治医の指示に従っていなかった可能性があるとみて、服薬状況を調べている。
金子容疑者は逮捕後の調べに「歩道に突っ込んだのは覚えていない」と供述していた。同庁は発作による意識障害が事故につながった疑いがあるとして、過失致死傷から、より罰則の重い同法の危険運転致死傷に容疑を切り替えて18日に金子容疑者を送検した。
警視庁が親族や主治医に確認したところ、金子容疑者は大学生の時にてんかんと診断された。2006年11月からは、この主治医の診察を月1回受け、1カ月分の薬を処方されていた。17日の捜索で自宅から診察券や薬が見つかったという。
主治医は同庁に「投薬治療で症状はコントロールされているが、服用を怠ると意識障害が起こる。毎日薬を飲んでいれば運転への影響は少ないと判断していた」と説明しているという。
てんかんなど運転中に意識を失う恐れがある持病を巡っては、02年に一定の条件を満たせば免許が取れるようになり、14年6月からは病状の申告が義務付けられた。金子容疑者は13年12月に免許を更新しており、警視庁は申告状況についても捜査している。
てんかん患者を支援する「日本てんかん協会」の担当者は「免許取得時に病状をきちんと申告するように啓発してきた。今回の事故の運転手の申告や服薬の状況は分からないが、服薬で発作は抑えることができる。今回の事故で適正に免許を取得している患者への偏見が広がらないか心配だ」と話している。【斎川瞳、堀智行】