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岐阜県内のミャンマー人技能実習生、失踪急増 難民申請か

岐阜新聞Web 8月18日(火)10時59分配信

昨年以降22人…

 岐阜県内の事業所で働くミャンマー人技能実習生の失踪が相次いでいる。岐阜県警によると、行方不明者数は2013年は0人だったが、昨年は9人、今年は6月までの半年で13人と急増。実習生の受け入れ企業は、実習生が失踪後も日本にとどまり、難民を申請し、別の好待遇の企業に就労したのではないかとの見方を強めている。難民申請期間中は、指定実習先以外で働くことを認める制度を利用した可能性があるという。

 岐阜県羽島市の受け入れ団体は昨年7月以降、ミャンマーから女性約50人を受け入れ、同市や岐阜市の縫製会社にあっせんした。ところが3カ月経過すると、1人、2人と姿を消し、これまでに約15人が失踪した。関市の受け入れ団体も昨年7人を受け入れたが、全員が姿を消した。

 難民認定制度は2010年に改正され、在留資格を持つ外国人が難民申請し6カ月たてば、結果が出るまで就労可能となった。失踪した実習生も技能実習の在留資格の期限が切れる前に申請すれば、6カ月後から実習先以外で働ける。再申請を繰り返すことも可能で、働き続けることができる。研修・技能実習の在留資格を持つ外国人の難民申請数は全国で、2012年の49人から昨年は418人にまで増えた。

好待遇の別企業で就労?

 岐阜県本巣市の縫製会社から今年5月末〜6月上旬、3人が働き始めて3カ月で逃げ出した。3人の失踪後の行方を知るという男性は「今後の選択肢は、帰国か難民申請だ」と打ち明ける。難民を装い、別の企業で働くことを目的とした“偽装難民”ではないかとの指摘に対し、男性は「ミャンマーの政情はまだ不安定。帰国すれば迫害の恐れがあると本人たちなりに認識している。偽装難民という決めつけはできない」と主張する。

 ミャンマー人実習生が失踪し、難民申請する事態は日本国内で以前から問題化していた。ミャンマー政府は09年、04年から08年までに384人を送り出したが158人が失踪し、うち多くが難民申請したとの実態を明らかにし懸念を表明。10年に送り出し企業の認定をいったん取り消した。実習生の来日は13年5月に再開されたばかりだ。

 ミャンマーは旧軍事政権による弾圧があり、日本がこの30年間に認定した難民は国籍別で見ると最も多い。昨年の申請は13年比54人増の434人で、ネパール、トルコ、スリランカに次いで4番目。

 法務省入国管理局の担当者は「ミャンマー人実習生の難民申請は増えている」と認め、「全てがそうではないが、多くは就労目的の申請かなという推測が働く」と示唆する。法務省は6月に公表した入国管理基本計画改正案で、明らかに難民に当たらないとみた申請は、本格調査に入る前に振り分け、手続きを迅速に処理する方針を打ち出している。

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最終更新:8月18日(火)10時59分

岐阜新聞Web

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