高倉健「歌」と「旅」:その2止 言葉の本質を伝える低音の響き 「健さん」らしい、哀惜の情

 高倉健は求道的な演技の世界だけで語られることが多いが、昭和の俳優の常で「歌の世界」との接点も少なくない。

 まずもって、高倉の歌唱は、よくも悪くも「役者の歌」であった。歌手としての正規の教育は受けていないものの、森繁久弥のような言葉を本質まで伝える語りの歌と言ってよい。低音の響きのよい、ややかすれた声は、それだけで哀惜の情があり、ファンが多いのもうなずける。... 続きを読む

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