本木雅弘、西川美和監督と初タッグ!「永い言い訳」7年ぶり映画主演
俳優の本木雅弘(49)が第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」以来、7年ぶりに映画に主演することが17日、分かった。西川美和監督(41)が今年の直木賞候補となった自らの書き下ろし小説を映画化する「永い言い訳」で、妻をバス事故で失った人気作家を演じる。妻で女優の内田也哉子(39)が「あなたそのもの」と太鼓判を押したといい、当たり役になりそうだ。来年秋公開。
日本映画界を代表する2人が初タッグを組んだ。本木は2008年の「おくりびと」以来、7年ぶりの映画主演。西川監督は12年の「夢売るふたり」以来のメガホンとなる。
7月発表の直木賞の候補作となった西川監督の同名小説を映画化。長年連れ添った妻を突然のバス事故で失った人気作家を軸に、人と人の別れと出会いを描く感動作だ。
このほどスポーツ報知の取材に応じた西川監督は、本木の起用理由を「二枚目の俳優で、なおかつ難解な内面を演じてくれる人はいないかと考えていた」と振り返った。是枝裕和監督(53)に相談したところ「この映画にぴったり」とアドバイスされたという。
「映画を志した頃から『いつかは』という思いを寄せていた人でしたが、会ってびっくり、恐ろしいほどこの物語の主人公に酷似しているのです。この人しかいない、と思いました」と西川監督。本木自身も、脚本の第1稿を読んだ妻から「あなたそのものじゃない」と言われて、出演を快諾したという。
1年半にわたるストーリーで四季の移ろいも描くため、今年3月末~5月にかけて春編を撮影。このほど夏編を撮り終えた。7割が撮影済みで、12月に残りを撮影する。
女性監督と組むのは初めてとなる本木は「この小説の味わいに翻弄され、悦(よろこ)びを得たひとりとして、読者の期待も裏切らない作品に仕上げたいという思いで努力しています」とコメント。「監督の的確な指示に答えるべく鞭(むち)打たれた興奮から抜けられず、少しの毒と、温かみのある西川演出にハマっています」と、役作りに没頭している様子。同じ事故で妻を亡くしたトラック運転手をミュージシャンで俳優の竹原ピストル(38)、本木の妻を女優の深津絵里(42)が演じる。
◆永い言い訳 長年連れ添った妻・夏子(深津)を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木)。夏子との間に既に愛情と呼べるものはなく、悲しみを演じることしかできない幸夫は、ある日、同じ事故で亡くなった夏子の親友の遺族と出会う。妻の死に憔悴(しょうすい)したトラック運転手の大宮陽一(竹原)と、母を亡くした幼い兄妹。幸夫は自分でも理由が分からぬまま、大宮家へ通い兄妹の面倒をみることを申し出る。
◆西川美和監督 海外映画祭数々の受賞
西川監督は自らのオリジナル脚本でメガホンも執るのが特徴。作品は毎回、国内外で高い評価を受けている。02年に「蛇イチゴ」で監督デビューし、数々の映画賞で新人賞に輝いた。06年の監督作第2弾「ゆれる」は、カンヌ国際映画祭「監督週間」に招待され、ブルーリボン賞監督賞などを受賞。09年の「ディア・ドクター」では報知映画賞の監督賞を女性として初めて受賞した。12年の「夢売るふたり」も、トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門に正式出品された。
今作でも原案、脚本、監督を担当する。「映画化を念頭に書いた初めての小説」だという。直木賞の候補となったことについては「そういう俎上(そじょう)に載せていただけるだけでも光栄です」。ここまでの撮影を振り返り「今までの自分の作品とは全く違うものができてきてるなと感じています」と言葉に力を込めた。