米デザイナーが佐野氏提訴へ 予告通り自身考案の五輪ロゴも公開
2020年東京五輪公式エンブレムを制作したデザイナーの佐野研二郎氏(43)が監修したサントリーのキャンペーン賞品にデザイン模倣があり、一部が取り下げられた問題で17日、基となるデザインを手掛けた米在住のデザイナー、ベン・ザリコー氏が法的手段に訴えることを検討していることが分かった。現在、法律顧問と相談しているという。また、ザリコー氏はこの日、予告通り自ら考案した五輪ロゴのデザインを公表した。
佐野氏が「スタッフが既存のデザインを描き写していた」と模倣を認め、謝罪したサントリーの賞品デザイン問題が、海の向こうでさらに拡大する可能性が出てきた。
右向きの赤い矢印の看板に「BEACH」の文字が書かれたデザインを模倣されたザリコー氏は、「現在、私の法律顧問と話している最中です。明日(現地時間17日)も引き続き、話し合いを進めていきます」と、法的手段を検討していることを明らかにした。提訴に踏み切れば、佐野氏は、五輪エンブレム問題でベルギーのデザイナー、オリビエ・ドビ氏(52)から国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会を相手取り訴訟を起こされており、自らがデザインしたもので同時に2つの裁判を抱えることになる。
同時に、ザリコー氏が15日に予告しデザイナーとしての“戦い”を挑んだ五輪ロゴの「独自案」が、フェイスブックで公開された。イラストは、赤い丸の下に波が描かれたもの。その下に「TOKYO2020」の文字がシンプルな書体で記されている。
デザインについて、ザリコー氏によると赤い丸は太陽と日本人の精神、そして聖火の炎をイメージ。その下に描かれた波は、聖火のトーチ部分であると同時に、「TOKYO」の頭文字の「T」をかたどったものとしており「これが、日本の人々とオリンピックに対して、私が尊敬している証拠となってくれれば」としている。ただ、組織委はエンブレムについて問題ないとしており、この独自のエンブレムが採用される可能性はない。それでもFB上で発表するところに、あらゆる面で佐野氏に対抗しようとするザリコー氏の姿勢が表れていると言える。
騒動が拡大する中、渦中の佐野氏は、事務所スタッフによると、今後、会見などを開く予定はないという。サントリーは「問題となった賞品を取り下げたことで解決している」とし、今月末まで予定通りキャンペーンを続ける。