【社説】朴大統領の光復節演説、外交的孤立脱却の契機に

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が8月15日に行った光復節(日本による植民地支配からの解放を祝う日)演説は、誰が見ても派手な雄弁とは言えないものだった。また光復から70年という大きな節目の歴史的意義をことさら前面に出すこともなく、国民の心を動かそうとする言葉や、何かを強く訴えかける表現もみられなかった。ただその一方で、朴大統領が語る言葉の中には、国民、北朝鮮、そして日本に向けた明確なメッセージが込められていた。

 まず朴大統領は国民に向け「これまでの70年は大韓民国の基盤を岩のように堅固なものとするための、非常に偉大な旅路だった」とした上で「4大改革を必ず完遂し、将来の世代に希望の大韓民国を引き継いでいこう」などと呼びかけた。その内容はどれも朴大統領が機会のあるたびに語ってきたこととほとんど変わらず、特に目新しさはみられなかった。また今回も改革に向けた課題を進めていくための具体的な方策などはなく、大統領と政府が先頭に立って何かに取り組むといった意欲的な言葉もなかった。さらに各世代や階層に向けた大統領の強い思いや訴えも感じられなかった。そのため演説の内容について「特に見るべきこともなく平凡な内容だった」「感動もなかった」といった声が様々な方面から聞こえてきたのも無理からぬことだろう。

 朴大統領は今回の演説内容を練るに当たり、北朝鮮と日本に関する内容については何度も熟慮を重ねたようで、それには十分な理由があった。まず北朝鮮は演説が行われるわずか数日前、非武装地帯(DMZ)に地雷を設置し、これによって韓国軍の将兵2人が重傷を負った。また日本の安倍首相は前日の14日に発表した談話の中で、日本による過去の侵略戦争や植民地支配に対する謝罪や反省の言葉を使わなかった。そのため北朝鮮と日本に対する国民の怒りと失望は非常に大きくなっていた。

 しかし朴大統領は今後の対北朝鮮政策、そして対日政策について何か目新しいことを語ることはなく、従来の方針をそのまま続ける意向を示しただけだった。朴大統領は「北朝鮮によるいかなる挑発行為に対しても断固たる対応を取る」と明言はしたが、その一方で南北が共生し協力していくための対話を進める方針も明らかにした。北朝鮮が埋めた地雷によって韓国軍将兵が重傷を負った問題については、逆に「DMZ内に平和公園を設置する必要性が改めて明確になった」と語った。さらに6万人以上とされる離散家族のリストを北朝鮮に渡し、離散家族たちがいつでも互いに面会できる場所を設置することなども提案した。日本に対しては「安倍談話はあまりにも不十分であり、不満が残るのは事実」としながらも「(歴史問題について)歴代内閣の立場は今後も揺るがないと国際社会に向けて明確にした点に注目している」と話した。

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