第2次大戦の終戦から70年を迎えた今月15日午前11時50分、東京都心にある日本武道館で行われた全国戦没者追悼式で、天皇は「歴史を顧み、先の大戦に対する深い反省とともに、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願う」と述べた。天皇が戦没者追悼式で、過去の日本の戦争について「深い反省」に言及したのは初めてだ。戦没者追悼式以外の場では、1992年の中国訪問時と、94年に韓国の金泳三(キム・ヨンサム)大統領(当時)が訪日したとき、「深い反省」に言及している。
天皇はこの日の「お言葉」で、「深い反省」のほかにも、以前には用いなかった表現を二つ用いた。戦後日本の平和と繁栄について天皇は「平和の存続を切望する国民の意識に支えられた」と強調し、「この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき、感慨は誠に尽きることがない」と述べた。歴史認識や安全保障関連法案をめぐる論議の中で、天皇が過去の戦争に対する反省や、平和憲法の維持が重要だという意向を明確に示したものと考えられる。
現天皇は1989年に即位して以降、日本武道館で行われる全国戦没者追悼式に毎年出席して「おことば」を述べてきたが、その内容は毎年ほとんど同じだった。終戦50年を迎えた1995年に「歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願う」という文言を入れたのが、これまでで最も大きな変化だった。
日本経済新聞は、今回の天皇の「おことば」について「歴史認識が政治・外交問題になっている中では、定まった枠の中でわずかな調整にとどめることもできたが、大胆な変更をした」と報じた。読売新聞は、天皇が昨年から、沖縄や長崎、パラオなど、第2次大戦の激戦地や原子爆弾の被爆地を相次いで訪問し、感じたことを「おことば」に盛り込んだとみられる、と報じた。この日の追悼式には、安倍内閣の閣僚や戦没者の遺族など約7000人が参列した。