福島原発事故:津波想定の東電文書提出 神戸地裁が決定

毎日新聞 2015年08月17日 21時17分

 東日本大震災(2011年)の東京電力福島第1原発事故を受け、兵庫県内への避難者が国と東電に損害賠償を求めた神戸地裁訴訟で、東電が震災前に行った津波のシミュレーションに関する文書を提出するよう、地裁が東電に求める決定をしたことが分かった。原告側弁護団が17日、明らかにした。

 求めているのは、マグニチュード8クラスだった明治三陸地震(1896年)などの津波を基に、東電が08年に福島県沖で大規模地震が起きた場合の津波の高さを試算した文書など。原告側は、08年段階で全交流電源喪失をもたらしうる地震や津波の発生を予見できたと証明するため、文書提出を求めるよう地裁に申し立てていた。同様の訴訟は各地で係争中で、福島や東京では地裁が同様の決定をしたが、強制力がないため東電は文書を提出していない。

 神戸訴訟の原告弁護団事務局長、辰巳裕規弁護士は「事故原因を究明する客観的資料で、東電は速やかに応じるべきだ」としている。東電広報室は「訴訟に関することなので回答は差し控えるが、適切に対応したい」としている。【神足俊輔】

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