バンコク爆発:首都で異例の大規模テロ 犯行声明なし

毎日新聞 2015年08月17日 23時55分(最終更新 08月18日 01時00分)

爆発が起きた現場=バンコクで2015年8月17日、AP
爆発が起きた現場=バンコクで2015年8月17日、AP

 タイの首都バンコクで17日夜起きた爆弾事件で、タイ政府はテロとの見方を強めている。だが、犯行声明は出ておらず、背景は不明だ。昨年5月のクーデターで軍部が政権を握った国内では政治対立が続くが、これほど多くの死傷者が出る爆弾事件は極めて異例。タイ南部では分離独立を求めるイスラム過激派らによる爆弾事件が頻発しているが、これまでバンコクで大規模なテロ事件を起こした例はない。

 現場のエラワン廟(びょう)周辺はバンコクきっての観光エリア。AFP通信によると、プラウィット副首相兼国防相は「外国人を標的にタイ観光や経済に打撃を与えるのが狙いだ」との見方を示したが、犯人につながる証拠や声明は明らかになっておらず、動機や背景は不明のままだ。

 タイでは2013年11月以降、反タクシン元首相派による反政府デモが激化し、衝突や襲撃で30人以上が死亡した。しかし、昨年5月にクーデターでタクシン派政権を打倒した軍部は治安態勢を強化し、目立った混乱は起きていなかった。

 今年2月にはバンコクの繁華街で爆発が起き、男性1人が負傷。ただ、爆弾の威力は弱く、警察は「殺傷ではなく混乱を狙った犯行」との見方を示していた。

 一方、マレーシアに近いタイ南部3県ではタイからの分離独立を目指すイスラム武装勢力が爆弾テロを繰り返している。しかし、爆弾などによる死亡事件が多発しているものの発生は南部3県に集中している。【岩佐淳士】

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