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印南敦史印南敦史  - ,,,  06:30 AM

なにもしない時間こそクリエイティブ。世界のトップリーダーの時間の使い方

なにもしない時間こそクリエイティブ。世界のトップリーダーの時間の使い方

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世界トップリーダー1000人が実践する時間術』(谷本有香著、KADOKAWA)の著者は、金融・経済の専門通信社「ブルームバーグTV」や「日経CNBC」などで経済キャスター/コメンテーターとして活動してきたという人物。ジャーナリストとしての視点を活かしながら、これまでに1000人ものトップリーダーにインタビューしてきたそうです。そしてその結果、ひとつのことに気づいたのだとか。


世界を舞台に活躍する「トップリーダー」には、ある共通点があります。それは「時間」という概念についての考え方です。(中略)彼らは、人生を通して時間の大切さを痛感しています。そして、自分の時間にどれほど価値があるかを知っています。(「はじめに」より)


つまり、自分の時間には大きな価値があり、だからこそ有意義に使わなければならないと使命を感じているということ。本書ではそのような考え方に基づき、著者が実際に見聞きしてきたトップリーダーの「時間を有意義に使う=時間のROA(利益率)を最大限に上げる」方法を紹介しているわけです。

きょうは第2章「世界トップリーダーが支配する、時間に関する3つの法則」に焦点を当ててみたいと思います。


時間を「伸縮」させる


すべての人におすすめできる方法ではないと前置きしたうえで、トップリーダーには短時間しか眠らない「ショートスリーパー」が多いと著者は指摘しています。人一倍やらなくてはならないことが多い人たちなので、活動できる時間を増やすため、睡眠時間を削るという発想に行き着いたということです。


「時間は伸縮自在である」というのは、単なる精神論でもなければ、感覚値でもありません。時間を捻出するためには、アイテムも人もお金も、自分の肉体までもフルに使いこなすのが、ハードワークを経て真の効率化へとたどりついたトップリーダーの作法なのです。(65ページより)


彼らがこのように考えて行動できるのは、時間に対して「ズームイン」「ズームアウト」という正反対の視点を持ち、それを自在に使い分けているから。それはゴールを設定し、人生を長いスパンで俯瞰しつつ、常に「いま」という瞬間に立ち返る感覚だといいます。

たとえば「60歳までに自社でAという商品を開発し、世界をもっと豊かにしたい」という志を持つ、30歳の「未来のトップリーダー」がいたとします。彼はこのことについて人生のゴールから逆算し、次のようにシミュレーションするのだそうです。


・大前提として、60歳までにトップ、もしくは権限を持つかたちでAという商品を開発しているということは、自分自身が大きく昇進する必要がある。

・60歳までに社長になっているためには、少なくとも50代で取締役になる必要があるだろう。

・そのためには、40代のうちに執行役員に抜擢される必要がある。

・ということはいま、30代でできるのは、同期のなかでトップの成績を収めることだ。逆に、それができなければその後の昇進が遅れてしまう。

・確実に昇進するためには、わかりやすく同期のなかで「一番」にならなくてはならない。数字で明確に評価が表されるジャンルで成果を残すのが一番の近道だろう。

・いまいる部署で、どうすれば「一番」という数字が取れるだろうか。
(67ページより)


このように「いま、なにをすべきか」を正確に割り出すために、情報収集をして適宣軌道修正することが重要だと考えているということ。時間にズームイン&ズームアウトし、人生という長いスパンと現在との両面で軌道修正すれば、致命的なミスを防げるという考え方です。そして、それは日常的な仕事の場面でも同じ。つまり、正しい情報をもとに、短時間で、正確な判断をくだし続けることが、効率的にビジネスを展開するための秘訣だということです。(61ページより)


小道具と小さな単位で、時間を「支配」する


トップリーダーは、時間を「支配」できると考えているのだそうです。そして彼らは、本当に時間を自分の思いどおりに操っており、本来見えないはずの時間を見ることができるのだとか。手書きの手帳やアナログの時計などを利用し、時間の長さや流れを目で見て確認しやすい状態にしているということ。つまり意識的に時間を可視化することで、時の流れに対する感覚を研ぎ澄ませているのです。

また彼らは「1時間」ではなく「60分」、1分ではなく「60秒」という単位を用いるのだそうです。どちらも長さは同じですが、単位を「分」「秒」と小さくしていくことで、時間の長さをよりリアルに感じることが可能になるという発想。

そしてトップリーダーのように数分、数秒感を生かし、時間を支配するためのいちばんのポイントは、すべての作業時間を把握することだと著者はいいます。この作業を行うのにどのくらいの時間がかかるのか、すべて把握したうえで隙のないスケジュールを組み、行動しているということ。たとえば、通勤時間がドア to ドアで35分、1通のメール返信に3分、企画書の作成に120分などなど。作業時間を知ることで、さらにスケジュールの無駄を減らすことができ、無茶なスケジュールを組むことも避けられるわけです。(73ページより)


なにもしない時間をつくることが「投資」


1秒たりとも時間を無駄にしない一方、ビジネスに長けたトップリーダーたちは「投資」の必要性も知っているのだと著者。この場合の投資とは、忙しいときこそあえて「なにも仕事をしない時間」をつくること。著者はそれを「バッファ(buffer=緩衝)ということばに置き換えていますが、いわば「未来への投資」だということです。

なにも仕事をしない時間とは、クリエイティブなシンキングタイムであり、リフレッシュタイム。目の前の仕事からいったん離れ、仕入れた情報を整理したり、情報同士を組み合わせてみたりしてアイデアをひねり出し、ビジネスのヒントが降りてくるのを純粋に待つ時間だといいます。

手を動かして決められた作業を進めるわけではないだけに、一時的には作業効率が悪くなったように感じることがあるかもしれません。しかし、こうした時間に得たアイデアは必ず未来に生きてくると著者は断言しています。さらには、思考することさえやめて、その時間を純粋なリフレッシュタイムとして使うのもひとつの手。いま1時間を使うことで、将来的に何倍もの利子が自分に返ってくるということ。


もし本当に切羽詰まった状況で働いているなら、一時的に仕事をセーブしてでも、バッファの時間を作れる環境を整えましょう。その働き方には、人生という長いスパンで時間を俯瞰する「マクロ」の視点が欠けています。(88ページより)


なお継続的にバッファの時間をとるためには、初めから1日のスケジュールにバッファを組み込んでしまえばいいのだそうです。そして、30分でも1時間でも毎日必ず実行する。そんな生活を続けているうちに、「なにもしない時間」ありきのスケジュールが組めるようになり、自然とイノベーティブなアイデアが生まれてくるようになるといいます。(81ページより)



実際のインタビュー経験に基づいた内容であるだけに、説得力は抜群。しかも「時間術」をさまざまな角度から掘り下げているため、とても実用的な内容になっています。時間の使い方で悩んでいる方には、役立つ一冊だといえそうです。


(印南敦史)

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