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薬師寺東塔から「和同開珎」4枚見つかる 地鎮供養でまいたか
約110年ぶりの解体修理が進む国宝・薬師寺東塔(奈良市)で、土台となる「基(き)壇(だん)」下から古代の流通貨幣「和(わ)同(どう)開(かい)珎(ちん)」4枚が見つかり、薬師寺などが17日、発表した。発掘調査をした奈良文化財研究所(奈良市)は「流通貨幣を地鎮供養のためにまいた国内最古の例」としている。
和同開珎が見つかったのは、東塔建立に先立ち、地盤補強工事が施されていた基壇の上面から約1・7メートル下の地中。直径約2・4センチで、2枚は完全な形、2枚は一部腐食していた。表面の文字の形状は異なっており、複数の場所で鋳造されたとみられる。
東塔の建立は奈良時代前半の730年とされている。奈文研によると、寺院で塔などが建立される際、地鎮のために貨幣がまかれた例は7世紀後半から見られるが、流通貨幣がまかれた例は、奈良時代後半以降に限られていた。
昨年度の薬師寺の発掘調査では、東塔の礎(そ)石(せき)を据え付けた穴からも和同開珎が2枚出土しており、工事の進(しん)捗(ちょく)に合わせて、地鎮供養を複数回行っていた可能性が高いという。
今回見つかった和同開珎は10月1日から一般公開される予定。