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『Real Infinity Online』VR初心者ゲーマーがテラ神父 作者:tera

黎明を歩む者

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幕間-DUOの大冒険1-

※息抜きとして見てください。別に読まなくてもストーリーにはあまり関係ありません。
※残酷な描写があります
『DUOさん、貴方はどこへ向かっているんです?』

 サマエルが俺に話しかける。
 決まっている。

 俺と同等の力を持つであろう、始祖ヴァンパイヤが居る。
 暗黒地帯ダークサイドフォードだ。
 あの神父に勝つ為には、始祖ヴァンパイヤを倒して俺がその血の力を奪うしか無い。

 ちなみにいうと、俺の種族は半吸血鬼ダンピールだ。
 むろん、リアルスキンモードには種族が人族ヒューマンしか無い。
 だが、俺は吸血鬼の血を持っている。


 あの日。
 ただの色物ロールプレイヤーだった俺は、とあるマンガの悪役『DUO』として生まれ変わった。

『ロールプレイである事には変わらないんですがね』

 バカいうな。
 ヴァンパイヤで、時を操れて、悪党で。
 これだけそろってたらロールプレイの範疇を超えている。

 俺の目指すDUOという人物像は、容姿端麗で、高い知性とカリスマの持ち。極度の負けず嫌いの上昇志向で、どんな汚い手を使ってでも目的を果たそうとする狡猾な野心家である。

『ウィキペ○ィアの引用そのままですね』

 黙ってろ。
 前までは、冴えない日本人という顔つきだったが、半吸血鬼ダンピールと化してからは、容姿もそこそこ日本人離れした顔つきになった。
 ガリもやしだった体格も、ムキムキである。
 肌の色は蒼白になったがな。

『もとから白かったじゃないですか』

 ・・・。
 髪の色も色素が抜けてしまったのか、ブリーチした金髪の様な派手な物に変わっていた。
 『剛毛でくせ毛ですがね』といちいち五月蝿いサマエルを俺はしかとする。


 とにかく、俺は初日。
 右も左も判らない状態。リアルスキンモードの意味すら判っていない状態で、不用意に森へ出てしまい。

 死にかけたはぐれヴァンパイヤに出会い、殺されかけた。







—————
 まだ昼間だというのに、森の中は薄暗かった。
 まぁ死んでも生き返るしっていうどこまでも甘ちゃんな考えで俺は薄暗い森を探検していた。

 木の陰に踞るナニかを発見する。
 ガリガリに痩せてしまった手と、鋭く伸びた爪でガリガリと木の根元を搔き毟っていた。
 人間か?リアルでなら不気味で近寄らない存在だが。
 俺はゲームのイベントだと思い話しかけてしまった。

「おい、どうした。そこで何をしているんだ?」

 金色の目が俺の方を向く。
 その瞳孔は、猫の目の様に縦に開いていた。
 目が合うと、ゾクリと言いようの無い不気味が背中を撫でる。

「………を、よこ、せ……」

 は?

「………血を寄越せ!!!!」

 一瞬にしてマウントを取られ、首元に牙を突き立てられる。
 俺はパニックに落ち入った。

 首元が熱い!
 喰われる!
 誰か助けて!

 耳には、ジュルジュルと血を吸う音が響いて来る。
 血を吸うごとにコイツの腕に力込められて行くのが判る。

「ァぎッ…!」

 押さえつけられていた左腕が圧し折れる音がした。
 かなりの力で握られたんだろう。

 そこからは必死だった。
 運良く、石が近くに落ちていた。
 まだ自由が効く片方の手で拾って側頭部を思い切り殴りつける。

 良い所に当たったのか、吸血鬼は怯む。
 折れた腕から飛び出ている骨すらも支えにして起き上がって。
 蹴り倒してこっちからマウントを取ると、必死に殴った。
 折れた骨を胸元に刺してやった。

 人間追い込まれれば何とかなる物だな。
 そのままボロボロになった吸血鬼の死体の隣で気を失った。
—————






『で、起きたら半吸血鬼ダンピールになっていたってことですね』

 ああ。
 それにしてもゲームであそこまでリアルに驚く事は初めてだった。

『私からすれば、ここも現実世界なんですがね』

 それだ。
 俺はこの世界がゲームだともう思っちゃいない。
 DUOとしてこの世界で生きて行くのだ。

 そう考えるとあの糞神父。
 トコトン神父のロールプレイ極めましたよって格好しながら。
 何がロールプレイではありません、だ。

 次は勝つ。

『はい、頑張ってくださいね』

 ああ。

『DUOさん、DUOさん。次は私と出会った時の話しをしてくださいよ』

 え、なんでだよ。

『いいからいいから』

 仕方が無いな。




 サマエルと出会ったのは、半吸血鬼ダンピールになってから、身分を偽り旅商人の馬車に乗せてもらって東へ向かう途中だった時だ。
 たまたま荷物の中に蛇の仮面があって。

 あ、これロールプレイに使えるなと思って譲ってもらったからだ。
 商人は呪いの仮面を次の商人に押し付ける手間が省けると喜んで譲ってくれた。

『私は不幸の手紙ですか』

 うん、そうだな。
 そして「あれあなた、吸血鬼ヴァンパイアの癖に昼間も行動できるんですね?」と声を掛けて来たのがサマエルだった。

『世界を旅したいといったら、エリックが私をたまたま持ってた仮面に封印してくれましてね、そのまま世界の物流にポイですよポイ。彼って意外とドSなんですよ?』

 そうやって、うざい仮面が出来上がったのか。
 エリックってあの神父の隣に居た奴だろ。
 おまえ、仲良くすんなよ。

『あら、私に嫉妬しているんですか? DUOも可愛いですね。私は知っているんですよ? あなたのHDDに』

 もういい!もういいから!
 それは言わないでくれ。

 サマエルは力をくれるというので、俺の記憶を力の必要な分見せると言う事で契約した。
 異界の知識が珍しかったんだと。
 俺も最初は怖かったから、力を使う時にしか見せないという契約にして、あまり力を使ってこなかったんだが。

 決闘大会では調子に乗ってしまった。
 再契約は記憶全部覗かれる。

 恥ずかしい記憶から、恥ずかしい記憶全部だ。
 忌々しい。

『スタ○ドプレイはなかなか楽しい物ですね。笑』

 紛らわしい言い方をするな。
 だが、俺の記憶を見ているので、ロールプレイする分にはマシだ。
 技の名称を言うだけでそれ通りにしてくれるんだからな。

『時止めは2秒までですよ? 始祖ヴァンパイアを倒したらパワーアップ得点で5秒にして上げます』

 小賢しさくなっちまったがな!!!






 さてと。
 そろそろ暗黒地帯ダークサイドフォードだな。

 毒の沼やら、鬱葱とした不気味な気。
 たしかサマエルが言うには、ここは魔界にも繋がっているらしい。

 いずれにせよ始祖ヴァンパイアを倒し、俺がこの暗黒地帯ダークサイドフォードを支配してやろう。
 俺はDUOだからな。



 俺の気配を感じ取って襲って来るヴァンパイア達を蹴散らしながら、暗黒城へと直進する。



「ハハハハハハーッ! この俺がDUOだ! たった今から貴様らを支配する王だ!!!!」





 RIOの世界じゃこういう事もあるんですね。
 うん。

 DUOの成り上がりです。
 彼は吸血鬼とか悪党とかいいつつ未だ人を殺めていませんよ。笑
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