新国立競技場の整備主体、日本スポーツ振興センター(JSC)は17日、専門家の視点で整備計画をチェックする「技術提案等審査委員会」の初会合を東京都内で開いた。JSCは9月上旬から事業者の公募を始める予定で、審査委は(1)募集条件の策定(2)提案内容の評価(3)価格の妥当性の検証――の3段階で関与。旧整備計画の反省を踏まえ、工期や整備費が大きく膨らまないよう監視する。
審査委は来年1月をめどに事業者を選定する。委員長に就任した村上周三・東京大名誉教授は初会合で「(2020年春までの)工期に間に合うように保証していきたい」と述べた。
新競技場について、政府の関係閣僚会議は整備費の上限や収容人数、施設概要などを盛り込んだ「新競技場の整備計画」を8月末に決定予定。審査委はこの計画に基づいて事業者の細かな募集条件を定め、JSCが公募する。
閣僚会議は14日に示した基本方針で「日本らしさ」や「バリアフリー」「防災機能」などへの配慮を求めた。村上委員長は「閣僚会議の要望をどう建築(の条件)に落とし込むかを委員会で検討していく」としている。
今後は公募に応じる事業者側が、審査委の示す募集条件を踏まえてデザインや設計・施工の計画などを一括して盛り込んだ提案書を提出。審査委は内容を審査・評価し最も優れた提案を選定、JSCが発注し契約する。
事業者の選定後、審査委は16年12月をめどに工事が始まるまでの間、整備費の妥当性をチェックする。新競技場は20年春に完成予定だ。
審査委は設計、構造、景観などが専門の大学教授7人で構成する。白紙撤回された新競技場の旧整備計画でも、JSCの下に置かれた有識者会議がデザインを選ぶなどした。しかし建築の専門家は建築家の安藤忠雄氏のみで、技術的な検証などは行われなかった。
新たに発足した審査委は専門家の視点から監視することで、工費や工期の大きな見直しを避ける狙いがある。
また前回はデザインのみ国際コンペを行った結果、設計・施工段階で大きくコストが膨らんだ。今回はデザイン・設計・施工を一体で公募する。
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