【函館】カン、カン、カン―。夜、赤いシグナルの点滅とともに降りてくる遮断機。目の前を「青い流れ星」が通過していく。夜行列車だ。
JR函館線の函館―五稜郭間は、札幌方面と本州方面を行き来する列車が函館駅へ入り、向きを変えて出て来るために2回通過する。この区間の踏切は、青い流れ星に遭遇する可能性が他の線区より高いのだ。
ある流れ星は寝台特急「北斗星」として東京・上野へ。または急行「はまなす」として札幌へ、青森へ。10年ほど前までは函館始発の寝台特急「日本海」が大阪まで運んでくれた。今春、北陸新幹線が開通した富山や金沢にも、函館から寝転んだまま行けたのだ。
今春、定期運行から臨時列車に切り替わった北斗星の最終運行が22日夜に迫ることに気付き、眺めに行った。青函連絡船に代わり、華々しくデビュー。近年は一部の車両の塗装がひび割れ、個室の設備は昭和の雰囲気を醸し出していた。
それでも、夜の踏切での姿は美しい。札幌市の自営業川島信広さん(43)は今年、北斗星に3回乗った。「幼少期に帰省で乗った東北線の寝台列車を思い出す。シャワーも備える実用的な列車だけに、廃止は残念」と惜しむ。
あと何回、青い流れ星に遭遇するだろう。北海道新幹線開業で存廃の危機にあるはまなすが、臨時列車として道内区間だけでも残らないか、青い流れ星に願ってみよう。(星野真)