【寄稿】うそと不公平の蔓延を克服して先進国を目指せ

光復70年、「不信社会」乗り越え「共和社会」へ

【寄稿】うそと不公平の蔓延を克服して先進国を目指せ

 日本による植民地支配からの解放、「光復」から70年を迎えた。苦難の歳月を経て、韓国は世界最貧国から経済大国に飛躍した。ダイナミックな民主主義も実現した。韓国独自の産業革命と民主革命の末、樹立から100年にも満たない大韓民国が「準先進国」に台頭したのだ。これは世界史でも類を見ないほどの大きな成果だ。

 だが、まだ道半ばであるのも事実だ。人々の生活に余裕はなく、未来も不透明だ。自殺率は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち断トツの1位となっている。不満と不信が渦巻く韓国社会の一角では、国を地獄に例えた「ヘル(hell=地獄)朝鮮」という言葉まで登場した。

 こうした暗部を抱えているものの、全般的な統計指標は韓国が先進国の入り口に到達したことを示している。かつて私たちが「アメリカン・ドリーム」を夢見ていたように、多くの第三世界の労働者が「コリアン・ドリーム」への希望を胸に韓国に押し寄せているのが何よりの証拠だ。だが、韓国が先進国へ向かう道には大きな壁が立ちはだかる。北朝鮮問題、経済再生、福祉充実、政党刷新、公共・教育改革などの難題が山積しているなか、社会的な「信頼の不在」が致命的な障害物となっているのだ。

 OECDが9日に発表した報告書『一目で見る政府2015』は、韓国の素顔をあばき出した。司法制度に対する韓国人の信頼度は27%で、調査対象42カ国のうち39位と最下位レベルだった。司法への信頼度が韓国よりも低いのはコロンビア(26%)、チリ(19%)、ウクライナ(12%)の3カ国にすぎない。反政府組織と極右組織のテロが横行し、麻薬犯罪が絶えないコロンビアの国民の法に対する信頼度が、韓国と同水準だという事実に驚く。「総体的不信社会、韓国」の衝撃的な一面だ。

 司法制度が信頼されていない理由は明らかだ。法曹界の長年の悪習である前官礼遇(元高官などを退任後も厚遇すること)により、国民が「有銭無罪、無銭有罪」(金持ちは無罪、貧乏人は有罪)と疑っているためだ。法の公正性が揺らげば、公的制度に対する信頼は失墜する。OECDの報告書によると、韓国国民の10人に7人は政府を信頼していないという。

 光復70年に合わせてソウル大と朝鮮日報が実施した国民意識調査では、もっと救い難い結果が出た。大統領府(青瓦台)と検察、国税庁、政党に対する信頼度は悲惨なほど低い。これは、政府や法曹界をはじめとする公的機関が、強い権力に見合った責任と義務を果たしていないためだ。

尹平重(ユン・ピョンジュン)韓神大教授(政治哲学)
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