【寄稿】ロッテお家騒動、韓国企業に生まれ変わる契機に

 韓国ロッテグループが経済面でどの国に大きな貢献をしているのかを考えるなら、雇用創出、消費者満足、納税などを踏まえると韓国企業に間違いない。だが、普通の人々にとっては貢献度のように計算のややこしい基準よりも、株主の国籍を基に企業の国籍を判断するほうが簡単だ。韓国ロッテグループが日本の株主に支配されていると考えれば、日本の株主が配当金を受け取ったり株を売却して利益を得たりすることを韓国経済にとって不利なことだと受け止めるだろう。人々は韓国政府が特恵を与えて育てた財閥の所有権が日本にあると見なし、裏切られた気持ちになっているのだ。

 ロッテグループをめぐる論争は、韓国経済が開発の時代から市場経済に移行したにもかかわらず、かつての企業への多大な支援に慣れきった政府の役人、企業経営者、そして国民が経験すべき成長の痛みなのかもしれない。この論争が消耗的な大企業たたきに広がらないようにするには、まずはロッテグループの経営者が不透明な経営構造を正し、韓国ロッテグループをより堂々たる韓国企業に変えていかねばならない。主な系列会社の株式を上場して株主構成を透明にし、さらに日本企業一辺倒の株主構成を脱却することは、ロッテグループ会長の最も大きな課題だ。

 併せて、雇用創出、消費者満足、納税といった国の経済のための努力を一段と強化することも必要だ。企業の利益と社会的価値を同時に追求する共有価値の創造をリードするなら、逆に危機がチャンスとなり、国民に親しまれる未来志向的な企業に生まれ変わることができるだろう。

趙東成(チョ・ドンソン)ソウル大経営学部名誉教授
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