【コラム】中国はどんな国になろうとしているのか

 中国国営通信社・新華社の慎海雄副社長(47)が6月末、共産党の理論誌「求是」に長文を掲載した。タイトルは「なぜ中国共産党が強力な中核的領導(指導・統率)をすべきなのかを語る」だった。慎副社長は「常に人民に根差し、人民の幸福をつくる共産党は永遠に失敗するはずがない」「過去90年以上にわたり共産党員たちが奮闘し、成し遂げた奇跡は決して偶然ではない」と主張した。ここまではまあ普通だ。だが、注目すべき部分はその次だ。

 「西方の各政党は全て利益集団を代表する道具であり、互いを排斥する。西方の各政党は個人資本の支援を受けているため、金銭政治が避けられない。多党制競選とは『金持ちたちのお遊び』『金の入った袋の民主』にすぎない。(二大政党制の)米国には『金持ちの党』しか存在しない。米国の金持ちたちが決心さえすれば、ホワイトハウスや国会に影響力を行使するのは『朝飯前』だ」

 慎副社長は「中国共産党が領導している多党合作(共産党が率い、複数の政治団体が協力する政治方式)こそ内部的な消耗を減らし、社会全体を保護するのに最も信頼できる制度だ」と結論付けた。事実上の一党独裁国家・中国の知識人が西欧民主主義の価値を一刀両断にしたのだ。

 韓国を含む民主国家の国々が一つの政策をめぐって長い間消耗的な論争を繰り広げているのを見ると、慎副社長の主張に一理ないわけではない。共産党は長期的な戦略の下、強力なリーダーシップで中短期計画を一貫して推し進めるという長所を持っている。そのおかげで中国は約30年余りで超大国になった。権力集中に伴う腐敗などの副作用もあるが、中国国民が共産党を誇りに思うのは当然だろう。

 問題は、自国の体制や制度、政治文化に対する自負心が、ほかのシステムや制度に対する非難や攻撃となって表れることの危険性だ。そうした独断による内部的損失は、文化大革命時と同様、中国全体で被ることになるが、それが外に出たときにはファシズムのように周辺国に害を与える可能性もある。

池海範(チ・ヘボム)北東アジア研究所長
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース