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土星の輪「Fリング」の誕生のなぞ解き明かした! 小衛星同士の衝突が起源 神戸大が発表

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土星の輪「Fリング」の誕生のなぞ解き明かした! 小衛星同士の衝突が起源 神戸大が発表

Fリング(左端)を挟んで位置する「プロメテウス」(輪の内側)と「パンドラ」(輪の外側)の2衛星(NASA提供)

 土星の周りにある幅数百キロの輪「Fリング」は、氷や岩石からなる密度の高い「核」を持った小衛星同士が衝突してできたとみられることを、神戸大大学院理学研究科の兵頭龍樹さん(27)らが、スーパーコンピューターのシミュレーションなどによって突き止め、18日付の英科学誌電子版に発表した。

 Fリングは周囲にある衛星「パンドラ」と「プロメテウス」の重力によって輪の形が保たれているという。

 天王星も同様の輪と衛星を持っており、指導した大槻圭史教授(惑星物理学)は「太陽系内外のさまざまな衛星系の起源解明につながる」と話している。

 土星の主要な輪は数万キロの幅があり、Fリングはその外側にある。幅は数百キロと細く、成分は9割以上が氷。2つの衛星は、Fリングの粒子同士が衝突し、拡散するのを防ぐ役割があるという。土星探査機「カッシーニ」の観測により、輪を挟んで位置する2つの衛星には、氷や岩石といった密度の高い核の部分が存在すると考えられている。

 兵頭さんらがシミュレーションしたところ、核を持つ小衛星同士が衝突した場合、完全には破壊されず、2つの衛星がまず誕生し、壊れて飛び散った粒子が両衛星の軌道の間に拡散することでリングを形成。現在の状態を説明できたという。核を持たない衛星同士の衝突では、輪と衛星は形成されなかったという。大槻教授は「地球への天体衝突によって破片の輪ができ、そこから月ができたとの見解もあり、今回の研究は月の形成過程を考える上でも意義がある」としている。

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